許すか許さないかは自由だ
「暇でしかない」
怪我を治すのが優先なのは頭でわかってる。でも、気持ちは落ち着かなくてどうしても訓練に参加したいと思ってしまう。同期のルミナスはこの間にもドンドンと実力を付けて実績を積み重ねてると思うと焦ってしまう自分がいた
「まぁ………ああはなりたくないけど」
私は自由に動けるからまだいい。でも、怪我してるのに訓練に参加しようと暴れまわった馬鹿一名は今やベッドに拘束され動けないようにし見張りまでつけられている。なのに、それでも抵抗して逃げ出そうとしてるんだからある意味尊敬はするけど
「怪我の調子はどうですか?」
エミリアさんは定期的に私の怪我の様子を見に来てくれて果物などを買ってきてくれくれる。今日はリンゴを買ってきてくれたようで丁寧に切り分けて食べさせてくれた
「何時もありがとうございます」
「いいんですよ。これは贖罪でもありますし」
「えっ?」
「私の読みが甘かったことが招いた事故でした。確かに最前線ではあるもののここ数年は落ち着きを見せ特異型は姿を見せていませんでした。そこで新人を加入させることを決定させ騎士団を強化させようとしたんですが………向こうは向こうでこちらの様子を探っていたようですね。本当に申し訳ありません」
「あ、頭を上げてください! 私たちにはいい経験になりましたし生きてますから!」
エミリアさんは本当に心から申し訳なさそうにし私に頭を下げた。そんなの気にしなくてもいいと言っても本人は気にするんだろうな。団長は何人も死んだって言ってたし気にしない方が無理か
「そ、その………気になってることを聞いてもいいですか?」
「気になることですか?」
「はい、ルミナスの称号って………」
「あぁ、十三歳の特定の時期じゃなくても手に出来るのかってことですか?」
「はい!」
答えは出来るけど少数派みたいだった
実際に称号と呼ばれるものは本人の奥底に秘めた力を引き出すだけのもので極論、幼児でも称号を獲得することは可能だと言う
だけど、十三歳の年齢に縛っているのは学園に通い努力を積み重ね心を作らないと悪事を働くものもいる
強力な力ゆえ使えるものを制限し誰にでも使えるようにはしないのが国としての定めだと教えてくれた
「国によっては規制が緩く称号持ちが多い国もあります。魔族の国とかはそうと聞いていますよ」
「へぇ。で、でもルミナスはなんで?」
「本人が強く望んだのもありますが国に認められたと言うのが一番の理由ですね。私や団長の推薦もありますし何よりルミナスはあなたに謝罪したいと私に申し出てきたのですよ? タイミングを失っていてどうするか悩んでるようですが。あなたを守る力が欲しい。その気持ちを私と団長は汲むことにしたんです」
「………嘘だ」
あれだけ私を馬鹿にして時には暴力まで振るわれたと言うのに信じれるわけがない。私は何度も死のうと思ったし学校に行くのがどれだけ辛かったかなんて絶対に知らない。それでも学校に行けたのはリブロイ様と言う心の拠り所があったから。そうじゃなかったら私はとっくに死んでいてもおかしくないんだから
「嘘かもしれませんし許す許さないはクロエさんが決めてください。ですが、今回の特異型との戦闘であなたを助けるために動き回ったのも事実ではありませんか? 誰よりも速く危険を察知し助けに向かったのは誰だったか。その事実は決して消えないと思いますよ」
「………それでも私は」
「ですから許す許さないはクロエさんが決めたらいいんですよ。クロエさんの感情とは関係なく私と団長は有能な人物は使い続けます。個人の感情よりも優先されるは人の命です。私たちはこの街を………いえ、国を守るために最も危険な場所で戦ってると言う現実をお忘れなく」
「………はい」
ルミナスが何処にいて何で危険を察したのかわからない。戦って数分で駆け付け私たちの目の前に現れた。それは狙ったのではないかと思えてしまう自分が嫌になってしまう。ルミナスだけが怪我が軽かったのもリスクを負わなかったのではないかと思えてしまう。そんな考え方をしてしまうほど、私はルミナスに追い込まれていたのだから
「………」
窓の外を見ると騎士たちが実践訓練をしていて赤と白に別れて交戦してる。あの中にルミナスもいて行動してるかと思うとモヤモヤしてしまう。私は何でこんなに嫌な人間なんだろう。考えないようにしなきゃ嫌な気持ちのまま過ごすことになってしまう。今だけは少しの間、忘れてしまおう
「………肉体の訓練は出来なくても魔法の訓練は出来るし」
魔法の訓練………魔力操作は座りながら行うことも出来る。瞑想し自分の魔力を全身に巡らせる。魔法を使う上での基礎中の基礎の訓練で最も大切な訓練だ。この訓練をしてるかしてないかの差は大きく魔法をいかに速く展開出来るかに関わってくる。毎日、寝る前に最低一時間はこなしてるけど怪我してる間は十二時間は最低でもこなしてる。他にやることがないのも理由の一つだけど魔法使いとしてやっていくなら魔法の展開スピードは命に関わるものだから
「………駄目だ、集中出来てない」
どうしてと体内にある魔力が乱れてしまい循環が上手くいかない。頭でわかっていても気持ちの整理がついてないから乱れに繋がってるんだ
「簡単に割り切れたらいいんだろうけど私には無理だ」
これはしばらく引きずりそうだ。でも、他にやることもないし続けるしかないんだけどね
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