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世間知らず

次の日


「憂鬱だ」


その理由が昨日、オランが私の部屋に突撃してきたことにある。着替えていたら急に部屋の扉が開きオランが入ってきた。慌てるように前を隠したのだがオランは気にすることもなく話しかけてきたのだ


「何、買ったらいいか教えろや」


「は、はい?」


「明日の必要なもんがわかんねぇ。教えろって言ってんだよ!」


最初は私が変なのかと思い頭のなかがフリーズしていたけどだんだんと状況が見えてくると顔が一気に赤くなるのがわかった


そして………


「イヤァァァァァ!!」


私は上半身裸なことに気付き思わず悲鳴を上げてしまった。するとオランは焦ったようにおかしなことを言い出したのだ


「なっ? 敵襲か? どこだ? 敵はどこなんだよ? ちっ? 見えねぇ敵かよ?」


こいつが何を言ってるのかわからない。と言うかその時の私には理解が出来ない。だってそれどころじゃなかったから。慌てるように駆け付けてくれたのはシュゲルツさんで状況をすぐ理解したシュゲルツさんはオランの首根っこを引っ張って外に放り投げ扉を閉めてくれた


「クロエちゃん、着替えたら教えてね」


「は、はい!」


私は慌てるように着替えてると外でシュゲルツさんが怒鳴っている声が聞こえていた。そして着替え終わったので扉を開けるとしょんぼりとしたオランと呆れてものも言えないシュゲルツさんがいたのだった


「オラン、取り敢えず謝れ!」


「うっ、わ、悪かった」


「オランも悪気があった訳じゃないんだ。許してやってくれないか?」


「もういいです。何か………わざとじゃないのはわかりましたから」


話を聞くとオランは元々、孤児で他国………スティアーシュゲル聖王国にある学校の校長に見初められて学園へと入学。学問は成績が悪かったものの実技だけは歴史を塗り替えるほどの実力を見せ付け称号を手にするに至ったそうだ


だけど、オランは途中入学で常識と言うものを知らない。殺さなければ殺される環境で生き続けたせいか野蛮な性格へと成長してしまっていて校長でも修正は不可能だった。特に一般常識がかなり欠落していてシュゲルツさんが教えてる最中なのだとか


「本当にごめん! まさか女性の裸を見てはいけないのも知らなかったとは思わなかったんだ!」


「っつうか、バーニアとかエミリアと違ってぺったんこじゃねえか。それでも駄目なのかよ?」


「このアホンダラ!!」


「いってぇぇぇ!!」


「あ、あの本当に大丈夫です。事実だし………こんなんですいません」


どうせ私は十三歳になってもぺったんこですよ。女性としての魅力なんてありませんよ。気にしてないもん………グスン


そこからオランを連れてショッピング。まさか初めての異性とのショッピングがオランとかマジで嫌すぎる。こいつ、すれ違う人を全部睨み付けるからマジで止めて欲しい。みんな、逃げていくし喧嘩買ってきた人には容赦なく煽っていくし………仲裁する身になってよ! 本当にどうなってんのよ!


「もぅ、旅立つ前から疲れたよ」


そんな買い物もなんとか終わらせ次の日、待ち合わせ場所は騎士団の庁舎の玄関で早めに来たつもりだったのに二人は既に待っていた

空気がかなり重たくてギスギスしてるってことは既に喧嘩したってことなんだね。早朝からご苦労様なことです


二人も騎士団専用の装備を貰ったようでしっかりと着替えてる。オランの武器はどうやら拳で専用のグローブがそうみたい。ルミナスは………武器を持ってない? グローブも付けてないし………どうなってんの?


「………」


「なによ?」


「えっと………ぶ、武器は?」


そう聞くと私の頬を何かがかすめていき壁に突き刺さった。見るとナイフが刺さっていて武器はこれだと言わんばかりにそっぽを向いたのだ


「あはは、了解」


改めてナイフを見ると光の欠片となって消えていく。これがルミナスの称号の力ってわけね。よくわかったからもういいや


そんな二人を連れて前回と同じ様に南側から向かっていく。アタッカーはオランで遊撃がルミナス、援護が私とそれなりにバランスはいいチームだ。二人のサポートを完璧にするために二人の着てる装備に陰口をセットさせて貰った。これでバフも回復も行えるから問題無しと


「………空気が重い」


メディアバーニヤを出て一時間も経過したけど会話は全くない。同じ騎士団なのに物凄く険悪なムードで行動しにくい。共通の話題はないかなぁと考えたりもしたけど私をイジメていたルミナスをチラッと見ると腹が立ってきて会話をするのを止めるを繰り返していた。同じ騎士団だから仲良くしないと………って考えるんだけど簡単には受け入れられない。器が小さいと言われてもしょうがないけど私にとって辛くて悲しい時間だったのは間違いないことで簡単に許せるようなことじゃないんだから


「おぃ!」


「ひゃ、ひゃい!」


「村はどれぐらいで着くんだ?」


「あ、明日ですかね?」


急に話しかけてきたと思ったら村に到着する時間を聞かれた。村はまだまだ遠いから着かないんだけど………何かあるのかな?


「なら、問題ねぇか。あっちの方向に大型の魔物がいるぞ」


「えっ?」


「見てくるわ」


私には見えないけどオランにはわかるらしい。その真偽を確かめるためにルミナスが一瞬で消えて走り抜けていってしまった。このチームの斥候としての役割を果たしてくれるのはありがたい。仕事はキチンとしてくれてるんだもんね。すると十分ほどでルミナスは戻ってきた


「いたわ。大型が1、中型が4、小型が20ってところね」


「スポットがあるかどうかも確認出来ましたか?」


「少なくとも周辺にはなかったわ。どうするの? リーダーさん」


「やるよな? てめぇが戦わねぇって言っても俺は一人で行くぞ」


「当然倒しますよ。その前に報告しますけど」


私は団長たちにわかってる現状と場所を報告し討伐に向かう。さて、私は二人の実力を知らないし………どれだけ強いか見学させて貰おっと。決して怖いとかではないもん。後ろからしっかりサポートするし


「援護します!」


【オールブースト】


二人のステータスを底上げしどんな状況になってもいい場所に移動して二人を見守る

オランはどうやら大型の魔物しか興味がないようで真っ直ぐ向かっていった

逆にルミナスはオランとは逆で小型から退治しようとナイフを投げて攻撃を開始した

本当にこの二人は息があってるのかバラバラなのかわからないけど援護する身にもなってよね!


「邪魔なんだよ!」


そんなオランの行動を阻止したのは中型の狼の闇の魔物。完全にスピードタイプでオランを翻弄してしまってる。オランの攻撃が当たれば一撃で倒せるんだろうけど………


「なら!」


【スピードダウン】


陰口から魔法を発動させ四匹の狼の俊敏を落とす。効果は絶大で直ぐ様、効果が現れオランのパンチが当たった瞬間、粉々になって吹き飛んじゃった


「どんな威力よ!」


あれ一応、中型の魔物だよね? 私の魔法で倒すのも苦労するのに………攻撃力の高さは勇者のバーニアさん並みかも


「って、あっちは順調だけど一応………」


【バーストウェポン】


一瞬私の方を見た気がしたけど気のせいじゃないや。明らかに効果をわかった上で集団のなかにナイフを投げて爆発させて倒してる。戦闘経験値なら断然、私なんかより遥かに上だわ


「オラオラオラオラ!」


信じられないことにオランは五メートルを超える大型の人形の魔物と殴り合いをしてる。殴り殴られの攻防戦と言うか本当に野蛮な喧嘩だ。そんな殴り合いを楽しそうに嗤いながら行ってるオランは変態でしかない。今日からドMと心のなかで呼ぼう


「そんなもんかよ!!」


オランの一撃が大型の闇の魔物の胴体に決まった瞬間、吹き飛んでいき転がっていく。大型の魔物の強さは中型の約十匹分と言われてるのに………あり得ないでしょ


「死ねや!」


【フルインパクト】


大型の闇の魔物が立ち上がった瞬間を狙って必殺の一撃を叩き込んだ。胴体に穴が空いて灰になって消えていく大型の魔物を見てオランとは戦いたくないなと思ってしまった

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