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トキメキの段
吾輩が人間どもとの共存を夢見たのは、それを実現した魔王も少なくないからである。
城を買う前、情報誌やサイト、あるいは実際によその城にお邪魔させてもらって、人間とほどよい距離と節度を保った領地の実例を見せてもらった。
実家がわくわく人間ランドの吾輩はすべてを信じたわけではないが、適度な圧力でもって支配をすればこんな小さな領地なのだし、理想に近づけるのではと思っていた。
今日、領地に子供の人間がいた。幼く、いたいけでまだ自分が何者かもわかっていない様子の子供だ。数々の人間の種族を見てきた吾輩だが、この子供の種は見たことがない。
小さな手を広げ、ぐったりと眠っている。吾輩の胸に疼くものがあった。この子供となら、かつて吾輩が夢見た人間との共存が叶えられるのではないだろうか。このときめき、大事にしたい。根絶やしは従来の馬鹿どもに一点集中してこの子はしばらく見守ることにする。




