夏の段
人間は寒い時期より暖かい時期のほうが格段によく働く。
働く、とは書いてみたが奴らの営みは吾輩には理解しがたく一体なにを目的に生きているのだと思う。奴らの働きは吾輩の見たところ大きく分けて二つであり、ひとつは成長で、もう一つは繁殖だ。
そうなのだ、奴らには我々のように仕事をして金を稼ぎ、その金を使って生活をする、というような様式がない。
奴らが経済活動をしているのを見たことがないし、例えばコックさんやおまわりさんみたいな、職に就いている奴も見たことがない。夜も昼も雁首揃えてただそこにいるだけなのだ。
そのくせ成長にはやたら貪欲で、この時期など、吾輩の足の爪よりも小さいくらいのサイズの幼体がいるな、と思うと翌日には急にでっかくなってたりする。でっかくなってない奴でもどういうわけか子供を産んでたりする。
なんなのだ人間。なんかもう存在意義が不明すぎて恐怖さえ感じ始めている。
なんでこんな意味不明の生き物がいるの?屠っても屠ってもどんどん湧いて出るし。
そう、奴らは湧いて出る。冬の間はそうでもなかったのだが、気温の高い最近は屠ったそばから別の種の人間が湧いている。
人間の種類は多岐にわたる。目障りな一族郎党を滅ぼせば、そこを狙っていたのだろう別の種がすかさず湧いて出る。
また、そのそばで仕留めそこなった前一族の残党である子供が孤独に耐えつつ黙々と成長していたりすることもある。
なんとなく奴らは奴らで種族が違うと仲が悪い気がする。
そんな感じなので討伐はキリがない。中には吾輩がせっかく育てた魔物を手にかける不届き者さえ現れた。かわいそうに、静かに暮らしていただけなのに突然やつらに住処を奪われ亡き者にされたのだ。吾輩は手を緩めぬ。我が城とかわいい我がしもべたちを守るため必ずや奴らを根絶やしにする。暑いけど頑張って倒す。




