第26話 硝子のハート
ザワッ…
神聖な教会に邪悪な空気が流れ始めた。
「「!?」」
突然の殺気に、戦い慣れしたソラとルゥとシャーンは素早く武器に手をかけた。
「はにゃ?」
はしゃぐのをやめて小首を傾げる猫耳お姉さん。
この殺気はどこからとソラとシャーンが辺りを見回していると
「!」
いち早く殺気の流出源に気が付いたルゥは、ギギギと機械のように後ろを振り向いた。
「…エリ…姉…?」
そして、恐る恐る彼女のことを呼んだ。
「「?!」」
それに気が付いてソラとシャーンとお姉さんがエリアの方を向く。
エリアからは、どす黒い殺気が溢れ出していた。
おい猫。お前、今何した?
彼女は微笑んでいるが、顔がそう言っていた。
心なしか、なんかゴゴゴゴゴゴゴゴって変な擬音まで聞こえ気がする。
「…ふにゃあ?あたしと殺り合う気かにゃ?ぺったんこお嬢ちゃん?」
「っ?!」
おーっと!!痛いところをついてしまったー!!
そう!!エリアは悲しい程"ぺったんこ"なのだー!!
「ちょっ!お前!?」
「エリ姉だって頑張って生きてるんだぜ!?」
その禁句に慌てふためくシャーンとルゥ。
「短足と白髪チビは黙ってろにゃ」
「「っ!!!?」」
これも痛い!!二人のハートはズタボロだー!!
「…短…足…」
「だっ誰がチビかあ!?」
落ち込むシャーンと反抗するルゥ。
「あはは♪可哀想〜」
Sだー!!ソラだけに彼はSだったー!!
「「ヘタレは黙ってろ」」
ここで反撃に出たシャーンとルゥ。
「うっ…」
Sなだけにソラは打たれ弱かったー!!
「あたしのダ〜リンに何言ってるにゃ!?」
猫耳お姉さんがそう言うと
「「黙れ脇役」」
「にゃっ…?!」
これも強烈だー!!いないのかっ?!ハモりツッコミに勝てる者はいないのかー!?
「…三人とも?ちょっと外行ってくれる?」
「「イエス」」
ここにいたー!!
即答です!!エリア選手、更にどす黒い殺気のオーラを垂れ流しています!!!三人と二匹は速やかに教会を後にしたー!!
「アクアっ!!」
「エアロっ!!」
エリアが出した水の球が、お姉さんの風に掻き消された。
「風使いね…」
エリアが言うと
「にゃは♪水にゃ〜弱っちいにゃ〜♪」
不敵に笑うお姉さん。
ピキっ
エリアの頭に分かりやすい怒りマークが現れる。
「マリンショット!!」
「エアカッター!!!」
ドドドドドッ!!
連射する水と風が、教会内を次々と壊していく。
「バブルインパクト!!」
「ウィンドスパイラル!」
バコ―――――――――ン
どデカい水と螺旋状の風がぶつかり合い、教会内は更に破壊される。
「ハイドロキャノン!!」
「エアロブラスト!!!」
ドカ―――――――――ン
勢いのある水と勢いのある風が互いにビーム状のものになり、直進する。
「ペリッシュオーシャンっ!!!」
「エアリアルアイオロスっ!!!」
ドッカ――――――ン!!
二人の最上級魔法がぶつかり合い、素敵に壊れていく教会。
そして二人は魔法に飲み込まれていった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴォォ…
「「…」」
男たちは教会の外で、ただただ震えていた。