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もうひとつの、淡い生成りの布に包まれた包みに手を伸ばす。
しゅるりとほどくと、中には小さな箱が入っていた。
そして、その中にあったのは、
「これ──オルゴールだ!」
以前、交流会で西の国イエリに行ったとき、フェリカに見せてもらったことがある。
とても繊細な部品が複雑に絡み合っているのも、
ネジを回すと美しい音色が鳴るのも、
小さな部品たちが噛み合い、やがてひとつの曲を奏で始めるのも、
すべてが不思議で、時を忘れて見入ってしまった。
以前そうしたように、そうっと指先でネジをつまみ、カチカチ、と回す。
程よいところで手を放すと、
「……きれいな音」
単音から始まり、和音になり、雨がしとしとと降るように優しい音がコトネの手の平を満たしていく。
(フェリカからも、──手紙、あるかな)
曲が途切れたところで、オルゴールをそっと机に置く。
小箱の中身は、空だ。
その下にも、包みの中にも、それらしいものは何もない。
ふと、オルゴールを再び手に取り、掲げて裏を見てみる。
──タイトル:『眠れない夜に』
「……」
もう一度、ゆっくり、丁寧にネジを巻く。
指を放すと、優しい音が流れ始めた。




