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なんとか考えをまとめながらそう切り出すと、
「そうなのかもしれないけど、あんまり考えてなかったわ。だって、エリンはコトネが好き。コトネに選んでほしいし、ずっと一緒にいたい」
「……うん」
「夢で見たコトネ王子、すっごく素敵だったもの。今見たコトネ王子もすっごく素敵」
「……うん」
「でも、今までコトネと一緒にいて、好きになったんだもの」
「……」
確かに、これまで何度も交流会をしてきたが、今回のように衣装替えをしたことはない。
祭りを見に行ったり、音楽を鑑賞したり、湖で穏やかな時間を過ごしたことはある。
茶会をしたり、花を植えたり、催し物を楽しんだりもした。
それでも、皆それぞれ自国の衣装のまま。
何かを演じたようなことは、なかった。
「コトネが選んでくれたら、ずっと一緒よ。そうしたらきっと、コトネは王子様になるのよね? そのコトネはきっと、すっごく素敵。でも、今のコトネもすっごく素敵」
うん、と頷くエリン。
「コトネは、男になりたくないの?」
「それは──」
問われて、言葉に詰まってしまう。
男になったら、サヴジのように体力もつく。
先程は重く感じたあの衣装も、軽々着こなすことができるだろう。
エリンの隣に並べば、今よりもずっとエリンは小さく見えるようになる。
あの時サヴジが自分を背にかばってくれたように、今度は自分がエリンを守れるようになるのかもしれない。
「女になりたい?」
女になれば、フェリカの服を着たときゆるかった胸元も、埋まるだろう。
きつかった腰回りは逆にゆるくなり、しなやかな身体つきになるはずだ。
エリンの可愛らしいドレスも、今よりもっと着こなせるようになるかもしれない。
「……」
(私は、どっちになりたいんだろう)
(──ううん、それだけじゃない)
(どうするかで、地脈の流れが変わってしまう)
前代の皇貴は、南を選んだ。その流れが今も残っているため、地脈は南寄りに流れている。
(私が選ぶのは、私だけの未来じゃない。もし私が北を選べば、今の──豊かなサンティエは……)
(でも、南を選んだら、ルーシアはまた冬が長く続く。そうなれば──)
考えてはみたものの、答えは出ない。
結局いつもの「自分はどうするべきなのだろう」に戻ってしまう。
お渡りを経験し、各国をこれまで以上に知った分、なおさらだ。
答えられずにいるコトネの手を、ぎゅっとエリンが握る。
「大丈夫よ、まだ10ヶ月もあるんだもん!」
その言葉に、うつむきかけた視線がはっと上がる。
(10ヶ月『しか』ないんだと思ってた、でも──)
「10ヶ月あれば、今日植えた種だって花を咲かせるわ。一緒にゆっくり考えていけばいいのよ」




