表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残り12ヶ月、未性別の皇貴は誰を選ぶ━━三国の王子と王女の国取り婚姻譚  作者: ぬこ@nuko_nuko


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/61

6

 なんとか考えをまとめながらそう切り出すと、


「そうなのかもしれないけど、あんまり考えてなかったわ。だって、エリンはコトネが好き。コトネに選んでほしいし、ずっと一緒にいたい」

「……うん」

「夢で見たコトネ王子、すっごく素敵だったもの。今見たコトネ王子もすっごく素敵」

「……うん」

「でも、今までコトネと一緒にいて、好きになったんだもの」

「……」


 確かに、これまで何度も交流会をしてきたが、今回のように衣装替えをしたことはない。

 祭りを見に行ったり、音楽を鑑賞したり、湖で穏やかな時間を過ごしたことはある。

 茶会をしたり、花を植えたり、催し物を楽しんだりもした。


 それでも、皆それぞれ自国の衣装のまま。

 何かを演じたようなことは、なかった。

 

「コトネが選んでくれたら、ずっと一緒よ。そうしたらきっと、コトネは王子様になるのよね? そのコトネはきっと、すっごく素敵。でも、今のコトネもすっごく素敵」


 うん、と頷くエリン。


「コトネは、男になりたくないの?」

「それは──」


 問われて、言葉に詰まってしまう。

 男になったら、サヴジのように体力もつく。

 先程は重く感じたあの衣装も、軽々着こなすことができるだろう。

 エリンの隣に並べば、今よりもずっとエリンは小さく見えるようになる。

 あの時サヴジが自分を背にかばってくれたように、今度は自分がエリンを守れるようになるのかもしれない。

 

「女になりたい?」


 女になれば、フェリカの服を着たときゆるかった胸元も、埋まるだろう。

 きつかった腰回りは逆にゆるくなり、しなやかな身体つきになるはずだ。

 エリンの可愛らしいドレスも、今よりもっと着こなせるようになるかもしれない。


「……」


(私は、どっちになりたいんだろう)

(──ううん、それだけじゃない)

(どうするかで、地脈の流れが変わってしまう)


 前代の皇貴は、南を選んだ。その流れが今も残っているため、地脈は南寄りに流れている。


(私が選ぶのは、私だけの未来じゃない。もし私が北を選べば、今の──豊かなサンティエは……)

(でも、南を選んだら、ルーシアはまた冬が長く続く。そうなれば──)

 

 考えてはみたものの、答えは出ない。

 結局いつもの「自分はどうするべきなのだろう」に戻ってしまう。

 お渡りを経験し、各国をこれまで以上に知った分、なおさらだ。

 

 答えられずにいるコトネの手を、ぎゅっとエリンが握る。


「大丈夫よ、まだ10ヶ月もあるんだもん!」


 その言葉に、うつむきかけた視線がはっと上がる。


(10ヶ月『しか』ないんだと思ってた、でも──)


「10ヶ月あれば、今日植えた種だって花を咲かせるわ。一緒にゆっくり考えていけばいいのよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ