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「あの衣装だって、絶対サヴジに似合うと思うの。時間がない、なんて言ってたけど、見たらきっと気が変わるわ」
「だから、先に衣装を作ったの?」
「そうよ。だって、皆でやったら絶対楽しいもの」
エリンが楽しそうに笑う。
これまでもこうして、エリンが発端となって皆で様々なことをしてきた。
中にはコトネが想像もつかないようなこともあったし、エリンが提案してくれなければ知らないままだったこともたくさんある。
(お着替え会も、そうだ。最初は少し緊張したけれど、……でも──)
やってみたからこそ、残り10ヶ月を切った今、自分を見つめ直す良い機会をもらえたような気がする。
――「気になるのなら、エリンや、フェリカにも聞いてみるといい」
ふと、サヴジの言葉を思い出す。
サヴジは、『俺はお前が男を選ぼうと、女を選ぼうと、どちらでも構わん』と言っていた。
前例がないわけではない、とも。
年の離れた弟はいるものの、ルーシアの次期王はサヴジだ。
すでに次期王として様々な責務を背負っているし、サヴジが統治している領もある。
(それなのにどうして、男でも、女でもいいって言ったんだろう)
「コトネ? どうしたの、疲れた?」
「──あ、ううん、ただちょっと……考え事をしていて」
「なあに?」
首を傾げ、エリンが尋ねる。
聞いて良いものか、話をしたいことか、話すべきことか、──一瞬戸惑うが、
「何かあるなら聞くわ」
ぱち、と瞬きをして、まっすぐに見つめられ、コトネは小さく深呼吸をする。
「エリンは──」
「うん」
「私に、……男になってほしい、ん……だよね?」
「……んー」
視線はコトネに向けたまま、小首をかしげるエリン。
目をそらすことができず、コトネはこくりと息をのむ。
「エリンは、コトネが王子様だったら素敵だと思うわ」
「それは──」
「でもね、それよりコトネと一緒にいたいの」
さらりと言い切られて、言葉に詰まる。
「それは、……男になってほしい、っていうこと……じゃない?」




