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草原の王の衣装は、王子のものよりも、司祭のものよりも布自体にハリがある。
何より、服自体がずっしりと重く、装飾品をつけるとなおさらだ。
「素敵! でも、やっぱり少し大きいわね」
サヴジのサイズで作ってあるというだけあって、肩幅も、丈も、すべてが大きい。
──「コトネ、動くな」
そう、低く、鋭い声とともに手を引かれ、サヴジの背後に置かれた瞬間を思い出す。
遠乗りをしたときも、汗をかき、へばってしまった自分に対し、サヴジは大分余裕があった。
(体が定まっていないからだって言ってたけれど……)
「次は、エリンのを着てもいい?」
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トケイソウの乙女の衣装は、他のどれよりも軽い。
ひらひらとした布から、手足が覗く。動きやすくはあるが、少し落ち着かない。
「かわいいわ、でも少し落ち着かない?」
「う、うん。普段肌を出すことがあんまりないからかな」
「そうね。でもエリン、コトネの普段の格好も好きよ」
「……着てみる?」
「いいの!? じゃあ、今のエリンのと交換しましょ!」
一瞬驚いた後、うれしそうに顔を輝かせるエリン。
うん、と頷くと再びコトネは小部屋へと戻った。
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「どうかしら?」
見慣れない姿だからこそ違和感はあるものの、コトネの装束を着たエリンは、不思議と様になっていた。
ただ、エリンとコトネでは、髪の色も瞳の色も違う。
そのせいか、少しだけ浮いてしまうように感じられた。
「うん、エリンにもよく似合うよ。でも、エリンならもう少し明るい色の方が映えると思う」
「そうね、エリンもそう思う」
そして、エリンの衣装を着たコトネも、悪くはないが、やはり同様だ。
「コトネもいいと思うわ。でも、このドレスよりもう少し濃いものの方が素敵ね」
「うん。これはエリンが着た方が似合う」
お互いの姿を見比べながら装飾品を合わせてみるものの、どこかしっくりこない。
結局すぐに、再び順番に小部屋へと戻り、元の姿に戻ることになった。
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「お着替え会、楽しかったわね」
着替え終わった頃には、すっかり日が沈んでいた。
窓から入って来る心地良い風を感じながら、果実水に口をつけ、ひと息つく。
「どの衣装も素敵だったけれど、エリンはコトネ王子が一番素敵だと思ったわ」
「ありがとう。私は、エリンの司祭も似合いそうだと思った」
「司祭の衣装も素敵よね! エリン、それもやってみたかったの」
そうなの? と驚くコトネに、エリンは頷きながらするりとスカートの裾をまくって見せる。
「そうよ。でもトケイソウの乙女の衣装は、手足が出るでしょう? きっとフェリカは嫌がるわ」
ああ、と思わず納得をしてしまう。
コトネ自身も、先程試着をしてみたとき、手足が出ることに落ち着かなさを感じたものだ。




