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「お着換え会──って、何?」
「エリンね、ルーシアにいるときに話したでしょ、コトネの夢を見たって」
「うん、覚えてるよ。腰に剣を差してたんだよね」
「そう!」
コトネの言葉に、エリンはぱっと顔を輝かせた。
「あれ、絶対似合うと思うの」
「……うん?」
「ずっとやってみたかったのよね」
身を乗り出すようにして、エリンが笑う。
「だからね、やってみましょ!」
「……え? 何を──」
ぎゅっとコトネの手を取る。
「城に戻って、お着換え会!」
突然の提案に、思わず紅茶を吹き出しそうになるのをこらえる。
「今から?」
「今から!」
満面の笑みでそう言うと、エリンはさっさと片付けを始めた。
「急がないと日が暮れちゃうわ」
***
「ふう」
与えられた部屋に戻り、ひと息つく。
(サンドイッチを歩きながら食べるなんて、初めて)
だが、悪くはなかった。
少し足に疲れはあるが、久しぶりに気持ちのいい汗をかいた気がする。
(準備をするから、休んでいてって言われたけど──)
先程湯殿で体を清め、新鮮な果実水を飲んだ。
窓から入ってくる穏やかな風に吹かれていると、うとうとと眠気がさしてくる。
ゆらゆらと揺れる釣り椅子に座り、背もたれに背を預け、軽く足で床を押す。
キィ、と小さな音を立て、釣り椅子が後ろへ。
そしてまた前へ、と静かに揺れ始めた。
(そう言えば、サンティエとルーシアでは、鳥の声が違う気がする)
熱を出して寝込んでいた間、聞こえていたのは細く長く鳴く声。
しかし今聞こえてくるのは、高く短い声だ。
(──どうしてるかな)
ふと、サヴジの顔がよぎる。
『また来い』
あの低い声が耳の奥で蘇り、思わず小さく笑みがこぼれた。
とそこで、トン、トトン、とドアがノックされる音がした。
「コトネ、起きてる?」
「あ、うん。起きてるよ」
そう答えると、扉が開き、エリンが顔を覗かせる。
「準備、できたわ」
吊り椅子から降りようとすると、エリンが手を差し出す。
その手を取ると、
「きっとコトネ、びっくりすると思うの」
くすくすと楽しそうに笑いながら、エリンが言った。




