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残り12ヶ月、未性別の皇貴は誰を選ぶ━━三国の王子と王女の国取り婚姻譚  作者: ぬこ@nuko_nuko


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「お着換え会──って、何?」

「エリンね、ルーシアにいるときに話したでしょ、コトネの夢を見たって」

「うん、覚えてるよ。腰に剣を差してたんだよね」

「そう!」


 コトネの言葉に、エリンはぱっと顔を輝かせた。


「あれ、絶対似合うと思うの」

「……うん?」

「ずっとやってみたかったのよね」


 身を乗り出すようにして、エリンが笑う。


「だからね、やってみましょ!」

「……え? 何を──」


 ぎゅっとコトネの手を取る。


「城に戻って、お着換え会!」


 突然の提案に、思わず紅茶を吹き出しそうになるのをこらえる。

 

「今から?」

「今から!」


 満面の笑みでそう言うと、エリンはさっさと片付けを始めた。


「急がないと日が暮れちゃうわ」


***


 「ふう」


 与えられた部屋に戻り、ひと息つく。


(サンドイッチを歩きながら食べるなんて、初めて)


 だが、悪くはなかった。

 少し足に疲れはあるが、久しぶりに気持ちのいい汗をかいた気がする。


(準備をするから、休んでいてって言われたけど──)


 先程湯殿で体を清め、新鮮な果実水を飲んだ。

 窓から入ってくる穏やかな風に吹かれていると、うとうとと眠気がさしてくる。

 

 ゆらゆらと揺れる釣り椅子に座り、背もたれに背を預け、軽く足で床を押す。

 キィ、と小さな音を立て、釣り椅子が後ろへ。

 そしてまた前へ、と静かに揺れ始めた。


(そう言えば、サンティエとルーシアでは、鳥の声が違う気がする)


 熱を出して寝込んでいた間、聞こえていたのは細く長く鳴く声。

 しかし今聞こえてくるのは、高く短い声だ。


(──どうしてるかな)


 ふと、サヴジの顔がよぎる。


『また来い』


 あの低い声が耳の奥で蘇り、思わず小さく笑みがこぼれた。

 

 とそこで、トン、トトン、とドアがノックされる音がした。


「コトネ、起きてる?」

「あ、うん。起きてるよ」


 そう答えると、扉が開き、エリンが顔を覗かせる。


 「準備、できたわ」

 

 吊り椅子から降りようとすると、エリンが手を差し出す。

 その手を取ると、


「きっとコトネ、びっくりすると思うの」


 くすくすと楽しそうに笑いながら、エリンが言った。


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