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「コトネ?」
「心配、したのは──……どうして?」
いつも優しく話を聞いてくれるフェリカの顔を見て、安心したからか。
それとも、サヴジの一言が、自分で思っていた以上に心に残っていたからか。
あるいは他にも理由があるのかもしれないが、自分でもわからない。
ただ、少し残った熱に流されるように、そんな言葉が口からこぼれた。
「……理由が必要かしら」
「うん……聞きたいよ」
「だって、コトネが倒れたと聞いたんだもの」
こともなげに出た言葉に、心が揺れる。
「私、だから……?」
「当然じゃない」
まっすぐに見つめて、そう言われた瞬間——
不意に、鼻の奥がツンと熱くなる。
「……コトネ?」
「……なん……でも、ない」
じわりと涙が滲みそうになって、慌ててこらえようとするが、危うくて呼吸が乱れそうだ。
どうしていいかわからず、コトネは思わずフェリカから目をそらしてしまう。
だが、
「まだ、少し熱があるのでしょう?」
ふわり、と優しく抱きしめるように頭を抱えられ、ぽん、ぽん、と背中をさすられた。
その手のひらの温もりに、張り詰めていたものがほどけていく。
「……っく、……」
ぽたり、と涙がこぼれ、頬を伝って落ちた。
一度堰を切ってしまえば、もう抑えが効かない。
「大丈夫よ、熱があるときは、心も弱くなってしまうものなの」
「……うんっ……、──……っ」
いつの間にかしゃくりあげてしまい、声にならない声が漏れる。
「急に環境が変わったのだもの、無理もないわ」
ぽん、ともう一度背を撫でられる。
「少し、気を張り詰めてしまっていたのかしら」
「意外とそういうものは、自分では気づきにくいものだもの」
「でも、忘れないで、コトネはひとりじゃないのだから」
静かなトーンで丁寧に紡がれる声が、耳と、心とに優しく響く。
そこからじわりと温かさが広がって、押し寄せた感情の波が少しずつ引いていく。
とん、と頭を少しフェリカに預けると、ふわりと受け止められた。
「大丈夫よ」ともう一度、やわらかな声が落ちてくる。
「フェリカ」
「なあに?」
──とそのとき、
「コトネー!!」
扉が勢いよく開いた。




