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残り12ヶ月、未性別の皇貴は誰を選ぶ━━三国の王子と王女の国取り婚姻譚  作者: ぬこ@nuko_nuko


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「コトネ?」

「心配、したのは──……どうして?」


 いつも優しく話を聞いてくれるフェリカの顔を見て、安心したからか。

 それとも、サヴジの一言が、自分で思っていた以上に心に残っていたからか。

 

 あるいは他にも理由があるのかもしれないが、自分でもわからない。

 ただ、少し残った熱に流されるように、そんな言葉が口からこぼれた。


「……理由が必要かしら」

「うん……聞きたいよ」

「だって、コトネが倒れたと聞いたんだもの」


 こともなげに出た言葉に、心が揺れる。

 

「私、だから……?」

「当然じゃない」


 まっすぐに見つめて、そう言われた瞬間——

 不意に、鼻の奥がツンと熱くなる。


「……コトネ?」

「……なん……でも、ない」

 

 じわりと涙が滲みそうになって、慌ててこらえようとするが、危うくて呼吸が乱れそうだ。

 どうしていいかわからず、コトネは思わずフェリカから目をそらしてしまう。


 だが、


「まだ、少し熱があるのでしょう?」


 ふわり、と優しく抱きしめるように頭を抱えられ、ぽん、ぽん、と背中をさすられた。

 その手のひらの温もりに、張り詰めていたものがほどけていく。


「……っく、……」


 ぽたり、と涙がこぼれ、頬を伝って落ちた。

 一度堰を切ってしまえば、もう抑えが効かない。


「大丈夫よ、熱があるときは、心も弱くなってしまうものなの」

「……うんっ……、──……っ」

 

 いつの間にかしゃくりあげてしまい、声にならない声が漏れる。


「急に環境が変わったのだもの、無理もないわ」


 ぽん、ともう一度背を撫でられる。

 

「少し、気を張り詰めてしまっていたのかしら」

「意外とそういうものは、自分では気づきにくいものだもの」

「でも、忘れないで、コトネはひとりじゃないのだから」


 静かなトーンで丁寧に紡がれる声が、耳と、心とに優しく響く。

 そこからじわりと温かさが広がって、押し寄せた感情の波が少しずつ引いていく。


 とん、と頭を少しフェリカに預けると、ふわりと受け止められた。

 「大丈夫よ」ともう一度、やわらかな声が落ちてくる。


「フェリカ」

「なあに?」


 ──とそのとき、


 「コトネー!!」


 扉が勢いよく開いた。

 

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