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次から次へと従者や責任者だろう人物がサヴジの元に駆け寄り、何事か話し合ってはまた走り去る。
それほどの大事件なのだという恐れや不安。
そして、そこで何もできずただ一人、なすすべなく立ち尽くす疎外感。
その両方で胸がいっぱいになりかけたとき、最初にサヴジが指示を出した従者が声をかけてきた。
「皇貴様、こちらは危険ですので、どうぞお戻りください」
馬車を準備させました、と出口へ促され、思わずサヴジを振り返る。
──一瞬、サヴジと目が合う。
(サヴジ)
だが、コトネが口を開くより早く、書類を手に駆け寄ってきた人物に呼び止められ、サヴジの視線はそちらへと移ってしまった。
「皇貴様、お急ぎください。御身のご安全のためです」
もう一度サヴジを見るが、先ほどの人物と資料を確認しつつ険しい表情で話をしており、こちらを見る気配はない。
さあ、と再び促される。
仕方なくコトネは従者の案内に従い、薬草園を後にした。
***
その後、城に戻ってすぐ、サヴジの指示だと念入りに湯あみをさせられた。
通ってきたルートに例のキノコは見当たらなかった。
換気もされていたけれど、それでも——未性別であるコトネの体に影響が出る可能性は、ゼロではないらしい。
だからだろうか、一人早々に帰され、今は大事を取って部屋で休まされている。
だが、体調面はともかくとしてコトネの気分は晴れなかった。
(サヴジはまだ残って、色々指示をしたり、調べたりしているんだよね)
突然の出来事に、果たして自分はあのように迅速に対応できるだろうか。
そう考えると、不安になる。
(もしサヴジを選んだら、──王妃になったら、多分国に残って、内政面でサヴジを支えるんだろうな)
ルーシアでは、王妃が内政を担い、王が外政に出る。
そう、教えられてきた。
ただ、サヴジは自分に、男でも女でもかまわないと言っていた。
(男になったら、どんな立場になるんだろう。婚姻の儀をするんだから、王妃──だけど、男で……)
考えてみるが、想像がつかない。
男を選べば今より体力も力もつく。その分、今のようにただ守られるだけではなく、サヴジを守れるようにもなるのだろうか。
”お前に足りないものは、俺が補う”
サヴジの言葉が、ふと胸に甦る。
(ならば、私はサヴジに何ができるだろう)
女になれば、サヴジと子を成し、後継ぎを作ることができるかもしれない。
内政への関りなどについては不安があるものの、それはおいおい学んでいけるだろう。
男になれば、強くなる分サヴジを支える余裕ができるかもしれない。
前例がないわけではない、とサヴジは言った。
跡継ぎなどについても、何かしら案があるのかもしれない。




