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残り12ヶ月、未性別の皇貴は誰を選ぶ━━三国の王子と王女の国取り婚姻譚  作者: ぬこ@nuko_nuko


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6

 

 次から次へと従者や責任者だろう人物がサヴジの元に駆け寄り、何事か話し合ってはまた走り去る。

 

 それほどの大事件なのだという恐れや不安。

 そして、そこで何もできずただ一人、なすすべなく立ち尽くす疎外感。

 その両方で胸がいっぱいになりかけたとき、最初にサヴジが指示を出した従者が声をかけてきた。


「皇貴様、こちらは危険ですので、どうぞお戻りください」


 馬車を準備させました、と出口へ促され、思わずサヴジを振り返る。


 ──一瞬、サヴジと目が合う。


 (サヴジ)


 だが、コトネが口を開くより早く、書類を手に駆け寄ってきた人物に呼び止められ、サヴジの視線はそちらへと移ってしまった。


「皇貴様、お急ぎください。御身のご安全のためです」


 もう一度サヴジを見るが、先ほどの人物と資料を確認しつつ険しい表情で話をしており、こちらを見る気配はない。

 

 さあ、と再び促される。

 

 仕方なくコトネは従者の案内に従い、薬草園を後にした。




 ***



 その後、城に戻ってすぐ、サヴジの指示だと念入りに湯あみをさせられた。

 

 通ってきたルートに例のキノコは見当たらなかった。

 換気もされていたけれど、それでも——未性別であるコトネの体に影響が出る可能性は、ゼロではないらしい。

 だからだろうか、一人早々に帰され、今は大事を取って部屋で休まされている。


 だが、体調面はともかくとしてコトネの気分は晴れなかった。


(サヴジはまだ残って、色々指示をしたり、調べたりしているんだよね)


 突然の出来事に、果たして自分はあのように迅速に対応できるだろうか。

 そう考えると、不安になる。


(もしサヴジを選んだら、──王妃になったら、多分国に残って、内政面でサヴジを支えるんだろうな)


 ルーシアでは、王妃が内政を担い、王が外政に出る。

 そう、教えられてきた。

 ただ、サヴジは自分に、男でも女でもかまわないと言っていた。


(男になったら、どんな立場になるんだろう。婚姻の儀をするんだから、王妃──だけど、男で……)


 考えてみるが、想像がつかない。

 男を選べば今より体力も力もつく。その分、今のようにただ守られるだけではなく、サヴジを守れるようにもなるのだろうか。


 ”お前に足りないものは、俺が補う”


 サヴジの言葉が、ふと胸に甦る。

 

(ならば、私はサヴジに何ができるだろう)


 女になれば、サヴジと子を成し、後継ぎを作ることができるかもしれない。

 内政への関りなどについては不安があるものの、それはおいおい学んでいけるだろう。

 

 男になれば、強くなる分サヴジを支える余裕ができるかもしれない。

 前例がないわけではない、とサヴジは言った。

 跡継ぎなどについても、何かしら案があるのかもしれない。

 

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― 新着の感想 ―
恋が動き始めるのかなと思った矢先に、不穏な動き。 王族たちの純粋な想いと、その裏にある国家の戦略みたいなのが、やっぱりあるのかなと引き戻されてしまう。 コトネには是非、どんな自分になるかをしっかり見つ…
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