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残り12ヶ月、未性別の皇貴は誰を選ぶ━━三国の王子と王女の国取り婚姻譚  作者: ぬこ@nuko_nuko


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 ***


 乗馬は割と得意だと思っていたコトネだが、ここ最近は婚姻の儀について学ぶことが多くなり、あまり長時間馬に乗ることはなかった。

 そのせいか、薬草園につく頃にはすっかり息が上がって汗だくになり、馬から降りるのにもサヴジの手を借り、降りるや否や草むらに座り込んでしまう。


「前はこのくらいの距離、なんともなかったのにな」

「しばらく乗っていなかったんだろう? それなら無理もない」

「でも、サヴジだって忙しくてあまり乗れてないって言ってたじゃない」


 少し不貞腐れたように言うコトネ。

 王族としての責務も増えたサヴジは、付き従う者も多くなり、移動の際も馬車に乗ることが増えた。

 それなら自分と条件は同じではないかとわずかに口を尖らせる。


「それは、まだお前の身体が定まっていないからだろうな」

「──そんなに、変わるかな」

「少なくとも、俺は男だ。男としての立場でしかものを言えんが、子供の頃より体力はついた。力も増した」


 コトネに水袋を渡すと、二人が乗ってきた馬にも水をやり、馬装を解くサヴジ。

 手伝おうとコトネが立ち上がるが、座って休んでいろと制され、素直に甘える。


「じゃあ、私が男になったら、サヴジと同じくらい強くなれるかな」

「そうだな」

「そうしたら、もっと馬にも乗れるし、自分でもっとお世話もできるよね」

「その通りだ」


 一通り馬の世話を済ませたところで、サヴジも水袋からぐいっと水を飲む。


「お前が女になれば、男になるよりは体力も力も落ちるだろう」

「……サヴジを選んだら、私は女になるんだよね」


 【皇貴は齢15で婚姻の誓いを交わし、生涯の伴侶と契ることで性別が芽生える】

 それは、四国に住む誰もが知っている事実だ。

 

「俺はお前が男を選ぼうと、女を選ぼうと、どちらでも構わん」

「え!?」


 思いもかけない返答に、口に含んだ水を吹き出しそうになり、コトネは反射的にむせてしまう。

 そんな様子に苦笑しながら、サヴジはコトネの背中を軽くとん、とん、と叩く。

 

「前例がないわけではないしな」


 言われてみれば、どこかでちらりとそんな話を聞いたことがあった気がする。

 だが、子を成し跡継ぎを作ることを考えれば、異性になるのが当たり前だと思っていたし、コトネに教育を施した誰もがそういった方向性で話をしていた。

 

「お前がお前であれば、それで良い。お前に足りないものは、俺が補う」


 その言葉に、胸の奥がわずかに揺れる。

 

「私、サヴジは──私に女になってほしいんだと思ってた」

 

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