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残り12ヶ月、未性別の皇貴は誰を選ぶ━━三国の王子と王女の国取り婚姻譚  作者: ぬこ@nuko_nuko


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「今日は王国直轄の薬草園に行く。お前も来い」

「薬草園……って、王家の人間以外は立ち入り禁止だって言ってたところ?」

「そうだ」


 北の国ルーシアは、ハーブをはじめ様々な薬草が有名だ。

 

 たとえば心を和ませる、柔らかい香りの精油が取れる植物。

 この種子は、肌を柔らかくし髪に艶を与えるなど、美容に効果的な成分を豊富に含む。


 あるいは美しい花が咲き、その花が眠りを深めたり、傷の痛みを癒やしたりする効果を持つ植物。

 さらには解毒、解熱効果の高いハーブに、胃の調子を整えるものなど実に様々だ。


 いずれも国の重要な産業でもあるが、とりわけ貴重なものは王国直轄の薬草園で厳重に管理されている。

 

「うわぁ……! 見せてくれるの?」


 いつだったか、交流会の際エリンが薬草園を見たいと言い出したことがある。

 コトネも様々な植物が育てられているという北の国ルーシアの薬草園には興味があったからエリンの「コトネだって見たいでしょ?」の言葉に、素直に頷いた。


 ──が、そのときのサヴジの返事は「ダメだ」の一言。


 いくら交流会とはいえ、王家直轄の薬草園は、王家の人間以外自由には見られないと譲らなかった。


「ああ。見たいと言っていただろう?」

「でも、──王家の人間以外、ダメなんじゃ」

「お前がこの国を選べば、何の問題もない」

「あ……」


 サヴジの言葉に一瞬戸惑い、言葉に詰まってしまう。

 そんなコトネを見て、サヴジはわずかに口角を上げ、


「……そうだろう?」

「……、……う、うん」


 でも、まだ──そう言いかけるコトネの言葉をさえぎるように、手を差し出す。


「今はまだ迷っていても良い。だが──最終的には、俺を選ばせてみせる」

 

 (まだ、迷っていても良い……)


 その手をつかんで良いのかと、コトネの指先が僅かに上がる。

 それを見逃さず、迎えに行くようにサヴジは一歩踏み込み、コトネの手を取った。


「さあ、行くぞ。馬を用意させてある」


 今日は天気も良く、程よく風も吹いている。

 遠乗りには最高の日だ。


 コトネは王家に迎えられ、様々な教育を受けることになったが、なかなか身につかず苦労をしたものも多かった。

 ただ、乗馬だけは別だ。

 性に合ったのか、初回から楽しめたし上達も早かった。


 交流会では生憎乗馬の機会はなかったが、東の国ヤコクでは、コトネも時々遠乗りを楽しんでいる。

 

「一緒に乗るか? それとも、別に乗るか?」

「じゃあ、……別でいい? 私も自分で馬に乗りたい」

「かまわん。お前用の鞍も用意させてあるからな」


 

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