✒ 【 正義は誰にあり? 】 ランシティブ公爵邸 / ランシティブ公爵へ物申そう! 3
ブライワレス・フェニルノース
「 クレムレン、お前もだぞ。
お前は自分が大公令息だという自覚を持ち、責任のある行動を取っているのか? 」
クレムレン・フェニルノース
「 勿論です、父上!
僕は自分が大公令息である事に誇りを持って行動を── 」
ブライワレス・フェニルノース
「 誰が誇りの話をしている。
私は “ 責任ある行動をしているのか ” と聞いているのだ。
お前も成人して5年も経っているのだぞ。
何時迄も未成年のように地に足を付けないような振る舞いをしていては大公令息としての威信と沽券に関わるぞ。
ロミバイン君の愚行を誰よりも間近で見ていたのならば、止めなければならない立場だったのは明白であろう。
それを咎めもせず、面白がって見ていたとは……親として恥ずかしい限りだ。
ディグラマス卿に会いたいのなら、きちんと帝国貴族のマナーとルールを守り訪問前に便りを出しなさい!
大公家の家名に泥を塗るような事をするでない!!
恥さらしめが! 」
クレムレン・フェニルノース
「 父上……本当にどうされたのですか?
本当に……父上…なのですか??
少し前の父上はそんな真っ当な事を真顔で言う方ではなかった筈です!!
ランシティブ公爵に何かされたのですか? 」
ブライワレス・フェニルノース
「 クレムレン!
口を慎め!
それ以上、ディグラマス卿を侮辱する事はフェニルノース大公である私が許さん!
実子だと思って調子に乗りおってからに!! 」
クレムレン・フェニルノース
「 父上…… 」
ロミバイン・リゴオンデート
「 親父…… 」
クレムレン大公令息もロミバイン子爵令息も実父の様子と言動が明らかにおかしい事に対して、戸惑いを隠せなかった。
クレムレン大公令息とロミバイン子爵令息が知っている実父は、率先してランシティブ公爵を“ 成り上がり貴族め! ” と罵り、機会があれば爵位を返納させれないか、爵位を剥奪させる事は出来ないかと支持派の貴族を集めては秘密裏に会合を行う程にランシティブ公爵を良く思っていなかったのである。
ランシティブ公爵に対して「 帝国貴族のマナーやルールを守る必要など皆無である!! 」と支持派の貴族達へ公言したのは誰でもないクレムレン大公令息の実父であるブライワレス・フェニルノースなのだ。
自分の知っている父親の突然の変わりように子供が戸惑いを隠せず、オロオロと躊躇うのは至極当然の事であろう。
クレムレン・フェニルノース
「( 一体何がどうなっているんだ?!
大公家を出る時に言葉を交わした父上は、確かに僕の知っている父上だったのに……。
狩りに出掛けた日から今日迄の間に父上の身に何が起きたと言うんだ?? )」
ロミバイン・リゴオンデート
「( 親父がおかしい……。
明らかにおかしいっ!!
どうしちまったんだよ、マジで!!
何であんなに毛嫌いしてた薄毛タヌキと和気藹々と笑って話してんだよ!?
薄毛タヌキを “ 公爵の地位から引き摺り下ろす!! ” って誰よりも息巻いてたじゃねぇかよ!!
頭でも打ったのか??
それとも重い病気でも発病しちまったのか?!
分からねぇ……親父の真意が分からねぇよ…… )」
ブライワレス・フェニルノース
「 ディグラマス卿、使用人達の怪我の具合は如何程だ?
入院が必要か? 」
ディグラマス・ランシティブ
「 …………腫れた部分は冷やしせば大丈夫そうだ。
当分は休んでもらう事になるが…… 」
ルパルデンス・リゴオンデート
「 ディグラマス卿、愚息が済まない事をした……。
公爵家の使用人達へ暴力を振るい乱暴を働く程の馬鹿者だったとは……。
治療費や通院費が必要ならば愚息に全額支払わせる 」
ディグラマス・ランシティブ
「 ルパルデンス卿、病院へ行く程の怪我ではないそうだ。
気持ちだけ頂いておこう 」
クレムレン・フェニルノース
「 ……………… 」
ロミバイン・リゴオンデート
「 ……………… 」
クレムレン大公令息とロミバイン子爵令息は互いの顔を見合いながら目の前で繰り広げられている3人の会話を聞きながら、「 有り得ない事が起きている!! 」とショックを受けながら首を左右に振っていた。
ブライワレス・フェニルノース大公とルパルデンス・リゴオンデート子爵がディグラマス・ランシティブ公爵邸で働いている使用人達の安否を気にしているのである。
痛々しい使用人達の姿に対して、心底心を痛めて心配したり、優しい言葉を掛けているのだがら、有り得ない姿を直視しているクレムレン大公令息とロミバイン子爵令息がショックを受けてふらつくのは当然だろう。
ディグラマス・ランシティブ
「 遠方から態々訪問していただいたのに……。
本日は申し訳無い… 」
ルパルデンス・リゴオンデート
「 ディグラマス卿は何も悪くないではないか。
謝るのは此方の方だ……。
──折角の会談がお前の仕出かしてくれた迷惑行為で台無しになってしまったではないか!! 」
ブライワレス・フェニルノース
「 それを言うならば、私の愚息の所為もある。
日を改めて会談するしかあるまい… 」
ディグラマス・ランシティブ
「 ところで……クレムレン大公令息様とロミバイン子爵令息は私に何用で我が屋敷へ御訪問されたのですかな?
私に無断で領地へ侵入し、無断でテントを張り、無断で怪物狩りをしておられる事を謝罪しに来てくださったのですかな? 」
ルパルデンス・リゴオンデート
「 ──何だと!?
ディグラマス卿、それは事実なのですかな?!
おい、ロミバイン!
お前は本当にディグラマス卿の領地に無断で侵入して怪物狩りをしているのか!?
どうなんだ! 」
ロミバイン・リゴオンデート
「 そ、それは………… 」
ブライワレス・フェニルノース
「 クレムレン、どうなんだ!
お前が傍に居ながら── 」
クレムレン・フェニルノース
「 …………申し訳…… 」
使用人:D
「 旦那様、ベアリーチェ侯爵令嬢様がロミバイン子爵令息様宛に封書を送られております。
ロミバイン子爵令息様が怪物狩りにて捕らえた怪物を不注意で逃がしてしまわれた事に対して、とてもお怒りになっておられました 」
ディグラマス・ランシティブ
「 ベアリーチェ侯爵令嬢がか?
それは何故かね? 」
使用人:D
「 はい。
稀少怪物とされているセブラミゼードドを狩る為にランシティブ公爵領地に無断で侵入されたからで御座います。
セブラミゼードドは怪物の中でも珍しく人間に危害を加えない怪物です。
当然ですが、人間がセブラミゼードドへ危害を加えれば、人間を敵だと認識して襲って来ます。
人間が近付いたり手を出さない限りは安全な怪物で御座います。
ベアリーチェ侯爵令嬢様は人間を襲わない怪物を狩っては楽しむロミバイン子爵令息とクレムレン大公令息に対して、怒っておられました 」
ディグラマス・ランシティブ
「 ベアリーチェ侯爵令嬢が……。
稀少怪物の為に……。
息子の婚約者は優しいのだな… 」
使用人:D
「 旦那様、それだけでは御座いません。
ロミバイン子爵令息が逃してしまったセブラミゼードドの親鳥がランシティブ公爵邸の庭園へ逃げ込んで来ていたのです 」
ディグラマス・ランシティブ
「 何だと!?
それは本当なのか!? 」
使用人:D
「 事実で御座います。
深傷を負い、激しい興奮状態だったセブラミゼードドの親鳥は、庭園で仕事をしていた使用人達へと襲い掛かりました。
庭園を散歩されていたベアリーチェ侯爵令嬢様も親鳥からはぐれていた子鳥と運悪く遭遇してしまわれて……。
幸いな事にベアリーチェ侯爵令嬢様は使用人が身を呈して庇われた事もあり怪我をせずに済みました。
ですが、興奮状態で危険なセブラミゼードドを庭園で暴れさせておく事は出来ず……使用人達が深傷を負いながらも倒しました。
倒したセブラミゼードドの親鳥と子鳥の死骸はベアリーチェ侯爵令嬢様が自ら埋葬し弔いたいと仰られ……。
今朝早くに大怪我を負った使用人達を馬車へ乗せて病院へ連れて行かれたのです 」
本来の使用人達は、各自の部屋でセフィの熟睡魔法によってガッツリと眠らされている。
セフィが〈 テフ 〉で構成した使用人の肉体
当然の事、涙は臨場感を出す為の仕込みである。
何




