水と油(前編)
婚約者シャルルの指定した場所で、アナスタジアーナは慣れないドレス姿のまま待っていた。待ち合わせの時間から二時間以上経過し、体が芯から冷えてしまっているものもいる。
「シャルルとはまだ連絡がつかないの?」
「はい…………」
馬車の窓からは、雪が降り出したのが見える。王都に来てまだ三ヶ月のアナスタジアーナは、待機できそうなこの近くの宿など知らない。それに前回、同じような目に合わされた時、勝手に待ち合わせ場所から移動したことを、シャルルは来なかったくせにねちねちと責めてきた。自分が来たら、どうするつもりだったのだ。非常識だと。
「アナスタジアーナ。どうしてこんな所に」
「ジュリウス先輩。お出かけですか?」
「ああ、任務でちょっとそこまで」
「お手伝いしましょうか。今、手持ち無沙汰なので」
「お嬢様」
侍女にたしなめられる。
「そのあと遠乗りに誘われている」
「お手伝いします!」
「お嬢様」
「それにしても、なぜこんなひなびたところに……」
アナスタジアーナはしばらく考え込んだ後、決心して顔を上げた。
「ジュリウス先輩。相談したいことがあります」
「なんだ? いきなり」
「私が怪我をしたと聞いた婚約者が、学院で会った時に、飴を一つくれたんです。だから『どうも』と返事をしたら、『なんだその返事は。こっちは心配してやったのに。礼の一つも言えないのか』と、十分近く説教されたのです」
「元気いっぱいだな」
「……ジュリウス。そうじゃないだろう」
ジュリウスがあいづちを打つと、一緒にいた三歳年上の同僚、ジェレミーが首を振った。
「お礼をちゃんと言ったのに、どこかおかしかったでしょうか。都会の作法に合わなかったんでしょうか。シャルルはなにが言いたかったんでしょう」
ジュリウスは右を見て、次に左を見て、なにやら頷いた。
「それは…………あれだろう?」
◇◇◇◇◇◇
『アナスタジアーナ嬢。怪我をしたと聞いたが大丈夫か』
『まあ、シャルル様。訓練で少し。でも大丈夫です』
〈アナスタジアーナは頭脳明晰で容姿端麗、学院の人気者で、由緒正しい伯爵家の令息で、武道の腕も立ち、女性にもてて…………なんだっけ〉
「ジュリウス先輩。がんばって」
〈えっと……そんな見目麗しいシャルルを前にして、田舎者の自分を精一杯よく見せようと、頑張って微笑んでみた。シャルルに見て欲しい、頭の中はいつもそのことで一杯だ。〉
『ふうん……それを聞いて、君に見舞いの品を持ってきたんだ』
『まあ。そんなに気を遣って下さらなくていいですのに』
〈愛するシャルルが自分を心配してくれたことに、アナスタジアーナは胸がときめき、身に余る光栄に頬を染めた。思わせぶりに懐に手を入れると、シャルルは中から、ただの飴一個を取り出し渡してきた〉
『……これって』
『どうしたんだい? アナスタジアーナ嬢』
『シャルル様……』
〈にやにやと嫌な笑いを浮かべ、シャルルは見下してきた。想いを捧げている相手に軽んじられ、まるでえぐられたようにアナスタジアーナの胸は痛んだ。鼻の奥がつんとするが、大好きなシャルルに嫌われてしまうかもしれないと思うと、なにも言えない。もしかしたらシャルルは、本当に心配してくれたのかもしれないからだ。
だとしたら飴一個だからと、不満に感じるなんて、自分はなんと卑しい心の持ち主だろう。こんなに醜い自分は、シャルルに嫌われてしまうかもしれない。アナスタジアーナはひきつる顔に、頑張って笑みを浮かべた。〉
『……ありがとうございます。シャルル様』
『いい子だ』
〈シャルルは満足げに笑った。〉
◇◇◇◇◇◇
「……というのを、やりたかったのだと思う」
「ジュリウス。女役、上手いな。泣くのを我慢している場面とか」
「泣き声を出しながら、滑舌もいいなんて、役者に向いているんじゃないですか。ジュリウス先輩」
「いや、これは子育ての経験がある人なら、できる人は結構いると思う」
妹のシェリーのお気に入りは、少年が海賊船に乗って冒険に出かけるという絵本だ。子どもの頃、読み聞かせで毎晩、これをねだっていた。
「物語の始めで、大海原に向けて出港する時、少年と相棒の子犬が、声を合わせて櫂をこぐんだ。シェリーが少年、私が犬なのだが、この時の声が揃っていないと、いつまでたっても出港させてくれなくてな。しかも揃っているかどうかがシェリーの気分次第だから、日によってはずっと出発できなくて、その上、最後まで読まないと満足してくれないし、そうすると永遠に……」
「ジュリウス。戻ってこい」
「お疲れ様です。ジュリウス先輩」
「まあ、それでシャルルは自分の思いどおりにならなかったから、腹を立てたのだろう」
「子どもっぽい奴だな」
「じゃあ、私も『嫌われるのが怖いから飴を一個あげる』をすればいいんですか」
「アナスタジアーナ。聞いていなかっただろう」
「多分、聞いてはいたが、武闘派のアナスタジアーナが理解するのは、難しかったんだと思う」
「教科書みたいに整理して頂ければ、なんとか」
そう言いつつアナスタジアーナは途方に暮れている。
「…………理解する必要ないぞ」
「そうだな」
「アナスタジアーナ。よく聞け。シャルルは、心配したから飴をやると言っておったのだろう。だったら心配していたと受け取ればいいんだ。なあ、ジェレミー」
「ああ。ジュリウス。本人がそう言ってたんだから、それ以上、考えなくてもいいんじゃないか」
「なるほど。確かにシャルルはそう言ってました。本人の言ったことを、そのまま受け取るのが一番ですね」
考えるのが面倒だったのだろう。アナスタジアーナは、ぱっと気分を切り替えたようだ。面倒だったのはジュリウスたちも同じだ。わざわざ不愉快なシャルルの真意を、親切に読み取る必要があるだろうか。それもシャルル本人が、口にしたわけでもないのに。
「遠乗りは」
「お嬢様」
「参加したいなら、北の街道が始まる大噴水広場手前の宿に来い。少しくらいなら待ってやってもいいから。ああ、それとそこの宿の揚げ物は旨いぞ」
「やった」
侍女はあきらめ顔になり、アナスタジアーナと付き添いの護衛たちの顔が明るくなった。そしてその日の午後、アナスタジアーナたちは楽しい時間を過ごした。
◇◇◇◇◇◇
「どういうことだ。待ち合わせ場所から勝手に離れるなんて。もし僕がその間に行っていたら、どう責任を取るつもりだ。連絡が付くまで、その場から動かないなんて常識だろう」
混乱した頭でシャルルの説教を聞き終わったアナスタジアーナは、悩みながら学院の廊下を腕を組んで歩き、ジュリウスとジェレミーにぶつかりそうになった。
「これこれこういう訳で、すれ違いになることを考えたら、勝手に動いてはいけない。そんなのは常識だろうと二十分間、責められました」
「二十分……」
「金をやるから話し続けろと言われても、きつい長さだな」
「なにをそんなに怒っているんでしょう」
ジュリウスは迷いなく言った。
「その場所を動いて欲しくなかったと、言っておるのだろう」
「そうだな。単に動くなと」
「では……お二方は、動かない方が良かったとお考えで?」
「そうではない。シャルルが『動くな』と言った。それだけだ。アナスタジアーナがどう考え、どう動くかは関係ない。教練でも言われるだろう。自分の頭で考えない兵士は自滅すると」
「そうそう。アナスタジアーナ。だから今回はシャルルがそう言った。それで終わりだ」
「なるほど。ですが……」
「なんだ」
「シャルルと私は結婚する予定です。夫の言うことに従わないなら、結婚生活は争いが絶えないものになるでしょう」
「どう思う。ジェレミー」
「どう思うもなにも、アナスタジアーナとシャルルは政略結婚なのだろう。仮面夫婦で居れば争いも起きない」
「そうなのですか?」
ジェレミーが口を開いた。
「そうか。アナスタジアーナは、王都の貴族家の暮らしというものが、よくわからないのか。ちょっと時間あるか?」
そういって、説明し始めた。
◇◇◇◇◇◇
辺境に位置するオースティン子爵家の四女、アナスタジアーナは文武両道を買われて、王宮勤めを予定し上京してきた。
その結婚相手として選ばれたのがコリンズ伯爵の三男で、学院の騎士科に通っているシャルルだ。典型的な都会貴族で、それぞれ愛人のいる仮面夫婦の元で育った。外面がよく人気者だが、鬱屈したものを抱え、それを身近な人間にぶつけるところがある。
一方、生き残るためには、協力が不可欠な土地で育ち、物言いも考え方もはっきりしているアナスタジアーナは、シャルルの行動がさっぱりわからなかった。ここでもし頼るものもなければ、シャルルに従うしかないのだろうが、学院の騎士科に通い、公私ともに武闘派に囲まれていると、異質なのはシャルルのほうだった。
◇◇◇◇◇◇
「田舎者のアナスタジアーナは、洗練された僕に夢中だから、寒い中、何時間も黙って待っていたんだ。風邪は引かなかったかい」
言葉とは裏腹にシャルルは、アナスタジアーナを夜会で嘲笑していた。シャルルの友人たちもにやにやとし、何人かは「可哀想だよ」と言いながら、目が笑っている。
「風邪ですか。特にひきませんでした。鍛えているので」
風邪を引いたかと聞かれたので、引かなかったと答えたのに、なぜかシャルルはむっとした。
「…………強がらなくていいよ」
「強がりではなく、ご覧の通り引いていません。北部から来ましたので、こちらの冬は暖かいと感じるくらいです」
「そうじゃなくて…………」
その時、アナスタジアーナの事実だけを述べる回答を聞いて、友人の連れていた女性が鼻で笑った。彼女は人目を引いた後、まずいと思ったらしく、ぱっと目をそらしたため、なにを笑ったかまではわからなかったが、なぜかシャルルはそれを見て鼻白んだ。
「参ったなあ。だから強がらなくていいんだよ。アナスタジアーナ。ねっ」
いらいらしながら、アナスタジアーナを嘲笑するという高等技術を、シャルルは見せた。
「ですから風邪は引いていません。見て分かりませんか」
いらだって唇を噛んだシャルルは、急にアナスタジアーナの二の腕を強くつかむと、夜会会場から廊下に引きずり出した。着慣れない豪華なドレスの裾を踏みそうになり、アナスタジアーナは体勢を崩す。
「いい加減にしろ。君はどうしてそう鈍いんだ。聞かれたことに答えることもできないのか」
「なにを言っているのですか? あなたは風邪を引いたのかと聞いたんです。だから引いてないと答えたでしょう」
「そんなこともわからないのか。どこまで鈍いんだ」
「ではなにを聞きたかったのですか?」
「それぐらい察しろ!」
「わけがわかりません。そんなことは口にしなければ伝わりませんし、頑なに口にしない理由もわかりません。戦場で今まさに殺されようとしている時ですら、ナイフが欲しいのか、剣が欲しいのか、察しろと言うおつもりですか」
「馬鹿馬鹿しい。北部から来た野蛮人め。ここまで気の利かない女は始めてだ」
「…………シャルルはこの婚約について、きちんと聞いていますか?」
「だいたい君はいつもいつも……」
いかにアナスタジアーナの頭が悪く、気配りがないかをシャルルは罵り始めた。これに対して「どんな点が」や、「具体的に」などと聞こうものなら、「それぐらい自分で考えろ。そんなことも言われないとわからないのか。そもそも君は……」とさらに説教が長くなる。シャルルは答えを言う気がないし、そもそも答えなんてない。説教をすることで、優位に立ちたいだけなのだから。
夜会会場でのお説教は、廊下の端という目立たぬ場所だったが、たくさんの人に目撃された。シャルルが背景だと思った、警備の騎士たちや、裏方で作業していた人々が見ていたからだ。
アナスタジアーナの婚約が上手く行かないことから、ボウエン家のレイモンドが次の候補として選んだジェレミーは、いらいらしながらその様子を見ていた。
「まだ十五歳の女の子に、あんな威圧的な説教をするなんて、どういうつもりだ。可哀想に……。そう思わないか。ジュリウス」
そう聞かれたジュリウスは、たっぷりと間を取った後、しみじみと答えた。
「シャルルだって怒りたくて、怒っているのではない。アナスタジアーナのためを思えばこそ…………」
「あれを見て、どこからその感想が湧いてでたんだ! 正気に戻れ。ジュリウス」
気が付くとジェレミーと、ジュリウスのまわりに、年配の男性騎士たちが集まっていた。
「シャルルだって、頑張っているんだ。温かく見守ってやれ」
「そうだな。砂漠に水をまく気分だとしてもだ」
「例え無駄とわかっていても、将来のためにと手を抜けないものだ」
その時、シャルルの怒声が響いた。
「聞いているのか。アナスタジアーナ!」
アナスタジアーナの目がぴょこぴょこと動き、シャルルに焦点を合わせた。
『言われた通りに受け取れば良い』というジュリウスの言葉に、納得したアナスタジアーナは、それ以来、シャルルの言ったことを、『そのまま』受け取っている。そして『察しろ』『自分の頭で考えろ』は聞き流している。なぜならジュリウスが、『言いたいことは本人が言うものだ』と助言したからだ。
しかし聞いているように見せないと、説教はますます長くなるだろう。だからアナスタジアーナは、シャルルの眉間辺りに焦点を合わせているが、だんだんずれていき、時折、気が付いたシャルルに、「聞いているのか」と怒られる。そうするとあわてて焦点を合わせるが、やはりまたずれていく。
それを繰り返す姿を見ると、ジュリウスはシェリーが八歳の頃、兄の真似をして三本鍬を使おうとし、倒してしまい腕に怪我をしたこと思い出した。泣きじゃくるシェリーを小馬で運び、三針もの傷を医者に縫ってもらっている間、ひどく落ち込んだものだ。傷痕は残ってしまうと言われ、もし嫁の貰い手がなかったら、一生、面倒を見ようと決心をしたし、その後、痛々しく包帯を巻いたシェリーを見る度に、もっと気を配るべきだったと胸が痛んだ。
それなのに本人はけろっとしたもので、まったく反省もなかったことから、かんかんに怒って一時間近く説教した。しかしどこ吹く風で、「聞いているのか」と怒ると、目をぴょこぴょこさせるものの、しれっとしていた。
こっちだって怒りたくて怒っているわけではない。シェリーのことを思えばこそ……。
「結婚するまで気を抜けないとはいえ、無事に大きくなってなによりだ。しかしあれは本当に私の注意不足だったな。今でも後悔している。まさかあんな……」
「おい! 戻ってこい! ジュリウス」
「うちのジャックも、ちょっと目を離した隙に木に登って落ちて」
「男の子はまず話を聞かないからな。徒労に終わるとわかっているが」
「トニーも説教した五分後には、説教されたこと自体、覚えてなかった」
その場にいた全員が、頭の中の思い出にひたって、うんうんと頷いている。
「そうじゃないだろう。ジュリウス。アナスタジアーナが、あんな可哀想な目にあっているんだ」
「可哀想?」
ジュリウスを始めとした子育て経験者たちは、アナスタジアーナを厳しい目で睨んだ。
「どこがだ」
「まったく」
「満場一致だ」
「どう見ても父親の説教を、まるで聞いていないではないか。なんてふてぶてしい態度だ」
「……いや」
「あれは絶対に、明日のお弁当のおかずについて考えている顔だ。手持ちの二シリングを賭けてもいい。それともお昼の食券一週間分を賭けるか」
「いやいやいや、なあ、ジュリウス。アナスタジアーナのことが心配じゃないのか」
「そう言われても二人は、最初っから水と油だったからな」
「わかりあえないという意味か」
「……アナスタジアーナはもう割り切ったのだろう。言われたことをそのまま解釈しようと。そう決めた相手にシャルルのやり方は通用しない。彼のやり方は、それに合わせてくれる親切な人間でないと。そしてそう決めたということは、ジェレミー、君の出番ではないか」
「シャルルも……同じことを言うにしても、自分の気持ちをわかってもらおうと、せめて努力すれば違ったかもしれないのに」
◇◇◇◇◇◇
シャルルに置いて行かれ、一人で夜会会場に戻ると、その孤独な姿をシャルルとその友人たちが、遠くから笑いものにしているのがわかった。戦場のような命がかかる場所でも、無能な上司にあたることもあれば、厄介な部下を引き当てることもある。だからそれなりに上手くやっていく方法は、兵士なら誰でも身につけている。だが伴侶となると話は別だった。
「アナスタジアーナ」
「ジェレミー先輩」
「あっちに知り合いが集まっているから行こう」
「はい」
心配してやってきたジェレミーについていくと、その先には妻のブラックウェル伯爵と一緒にいるジュリウスがいた。アナスタジアーナのような田舎者には、お目にかかれない高貴な方で、緊張で胸がドキドキする。まるで子どもの頃に読んだ、絵本に出てくるお姫様のようだ。
今日は忙しくないのか、ジュリウスは知り合いと気楽なおしゃべりをしているようだ。その場にはジェレミーのような騎士や、軍人、現役の騎士科の生徒らがいて、ほとんどがアナスタジアーナと知り合いだ。
「アナスタジアーナ。婚約者はどうしたのだ」
「ジュリウス先輩。聞かれたことに答えたら、機嫌が悪くなるという例の現象で、怒ってそのまま……」
「今日はどんな?」
「待ち合わせ場所で何時間も待たされて、風邪を引かなかったかと聞かれたから、引かなかったと答えたら機嫌が悪くなりました。そして聞かれたことに答えろと言われ、なにを聞きたいのかと言ったら、それぐらい察しろと……」
意図せずアナスタジアーナの口から、大きなため息がでた。
「意味が分からん」
「なにがしたいんだ」
「面倒だな」
「子どもか」
アナスタジアーナにも、ここにいる肉体派たちにも、シャルルがなにをしたいのかわかっている。嫌みや皮肉は別に頭脳派の専売特許ではない。問題はそれを婚約者にやることに、なんの意味があるのか、という点だ。
「シャルルはなにが聞きたいんでしょう」
その時、セレスティーナが心持ち首を傾けた。それだけでジュリウスと、なにか意思の疎通ができたようだ。ジュリウスはセレスティーナのほうを向いていなかったが、自分の左腕にかけられている彼女の手を優しく包んでいる。
アナスタジアーナは横目で見て、あれぐらい以心伝心なら、戦場でもためらいなく命を預けられるかもしれないと思った。シャルルは……。
「答えが聞きたいわけではないの。アナスタジアーナ。あなたに嫌な気分になってほしいだけよ」
セレスティーナが落ち着いた声で告げた内容に、今までの疑問が腑に落ちた気がした。ただの嫌がらせだと。
「…………でも。それなら、なんのためにそんなことを?」
しかしアナスタジアーナの頭の中に、また新しい謎がわいてしまった。




