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シルベ=テルミチのチートナシ異世界ライフの物語  作者: なめなめ
第九章 脱出
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両親との会話

 バーバラさんから「両親に会わせる」と言われやって来た黒いフードのアジト。ひょんなトラブルに捲き込まれはしたが、結果的には両親との再会にこぎ着けられていた。


「――――それにしても……再びこうして家族みんなが揃える日が来るとは、嬉しい限りだな」

「ええ、まさに夢のようですね隆一さん!」


 応接室らしき部屋にて、テーブルを挟んで真向かいのソファーに揃って座る父さんと母さん。感慨深く話すその姿からは、記憶よりも若干の歳を重ねた印象を受ける。


「なぁ輝道。こうやって親子の再会を果たしたばかりで訊くのもアレだが……お前、この二年間はどこで何をして過ごしていたんだ?」

「え、二年間?」


 妙な話の切り出し方に困惑してると、そこに母さんが……


「ちょっと隆一さん。そんな話はあとでもいいでしょ!」

「あ、ああ……悪かった。つい気になったものでな」

「もう! とにかく今は純粋に家族での一時(ひととき)を楽しみましょ……ね?」

「そうだな……うん、そうだよな」


 照れ臭そうに頷いて納得する父さん。しばらく会っていなかったせいなのか、どこか緊張している感じがする。


「え、え~と、じゃあ……輝道。何か食べたいものはないか?」

「食べたいもの?」


 唐突に振られても、正直何も思い浮かばない……というより、晩御飯なら既に“暴れ馬”で済ませていので……


「いや、大丈夫だよ」

「そ、そうか……なら、飲み物は……」

「ハイ、ストップ! 隆一さん。いくら我が子と再会が二年ぶりだとしても、さすがに緊張し過ぎです!」


 あーやっぱり父さんは緊張して……ん、二年ぶり!?


「待って、父さん母さん。二年ぶりの再会ってどういうことなの?」

「ん? どうって……お前とこうして再会したのが……」

「そうじゃなくて! どうしてオレとの再会が二年ぶりなのかを聞いてるんだよ」

「はぁ? 聞くも何も……オレ達はあの入学式以来からずっと……」

「ずっと? もしや、父さん達は二年前にこの世界へやって来ていたの!?」


 この疑問に、父さん母さんは顔を見合わせて答える。


「ああそうだぞ。オレと母さん……そして、他のみんなも二年前にこの世界へやって来ている。当然だろ?」


 他のみんな?当然? つまりは両親以外の人達も二年前にこの世界へ!?


「あ、あのね父さん。この際だから言っておくけど、オレはこの世界にやって来てから、まだ一ヶ月しか経っていないんだよ!」

「何だと!?」

「何ですって!?」


 時期の違いに、両親は目を丸くして驚く。


「あと、オレがどこで何をして過ごしていたかについての質問だけど……じつは錬金術師のネイ=サンって人にお世話になっていて、今は訳あって騎士団で生活してるんだ」

「ネイ=サンに騎士団だと? それは間違いないのか!?」

「う、うん」


 話を聞いて考え込む父さんは、しばらくした後に隣の母さんへ耳打ちをする。


「――――フンフン……了解したわ隆一さん。みんなには私から伝えておきます」

「頼む。それと……」

「わかってます。私達の事情で計画を頓挫(とんざ)させられません」

「……すまない」

「では、私はいきますね」


 何かの伝言を頼まれたのか、母さんは部屋から立ち去る。そして、残ったのはオレと父さんの二人だけになった。


「……ねぇ父さん。母さんには何を?」


 目の前で見せられた意味深な行動の意味を知りたくて質問するが、父さんは険しい顔をして黙り込む。


「と、父さ……」

「輝道。ここから先は黒いフードの一員である導 隆一として尋問をさせてもらう」

「え、黒いフード?」


 突然の通告に戸惑うも、話は間を置かずに進む。


「まずは改めてだが……お前はいつこの世界へやって来たんだ?」

「それ、さっきも話して……」

「いいから訊かれたことに答えろ!」

「だ、だいたい一ヶ月くらい前だよ」

「一ヶ月……二ヶ月や三ヶ月前ではないんだな?」

「ないよ。間違いなく一ヶ月前だよ。まぁ……正確な日にちまではその……わからないけどさ」

「そうか……では次だ。ネイ=サンとはどのようにして出会った?」

「どのようにって……彼女とは、オレが森の中をさ迷っている時に偶然……」

「偶然?」

「そっ、そう偶然だよ! 行き倒れ……というか、気を失って倒れていたところを偶然発見したんだよ!!」

「そうか……」


 いちいち突っ込まれるのも面倒で声を荒げてしまうが、父さんに気にする素振りはない。


「ならば、お前が言う“偶然”の根拠とは何だ?」

「根拠?」

「そうだ。お前は実際に彼女が倒れる瞬間を見たのか?」

「そ、それは……見てないけど……」

「……では、彼女が気を失っていたのかはどうやって確認した?」

「か、確認って……そんなのは本人の証言でしか……」

「本人の証言以外の根拠はないってことか?」

「ぐっ……あ、ああ、そうだよ!」


 確かに、当時の彼女が確実に気を失っていた判断はできない。しかし……


「しかし……しかしだよ、父さん!? ネイさんが気を失おうが、失うまいが出会った事実には何の関係もないじゃないだろ!?」


 このもっともな返答に、父さんはタメ息を吐いて言う。


「輝道、お前は気づかないのか?」

「気づかない? 何を!?」

「彼女が気を失ってないということは、彼女はお前に嘘をついたことになるんだぞ?」

「!?」


 嘘……それを聞いた時、オレはネイさんと交わしていたあるやり取りを思い出していた。

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