ソウマの適正
遅くなってすいません何気に三日連続投稿の三日目です
ソウマが属性珠に魔力を放出させながら手をかざす。
ソウマは心臓をドキドキさせながら透明に透けている水晶玉をじっと見つめ、レイもまた自分の弟子となる子の属性がどうなるのかじっと見つめている。
すると属性珠からボウッと色取り取りの光が浮かび上がった。
ーーーその数八色。
二人は目を見開いた。
ソウマは自分も全属性が使え、しかも特殊属性まで使えると分かり顔を喜びにあふれさせながら、目を輝かせ、飛び上がって喜んだ。
「やったーーーっ!」
「ふむふむ、ソウマ君も全属性が使えるのか。
なかなか幸先が良いな。
使える私が言うのもなんだが滅多にいないぞ、全属性持ちは」
レイは内心でだいぶ驚きながら言う。
使える彼女が言うのもなんだが全属性が使えるのは本当に珍しい。
全属性持ちの生まれる確率は約数百分の一と言われている。
複数の属性を持つ者はそこら辺に掃いて捨てるほどいるが全属性は違う。
全属性所持者となるとその数は一気に少なくなる。
だからと言って全属性が絶対的に強いというわけではないが、それでも一つや二つの属性よりも全属性の方が引き出しが多く多彩な戦術ができるということに変わりはない。
持つ属性が多ければ多いほど戦闘の幅が広がる。
無論、その分有利に戦闘を進めることができる。
そしてソウマはそれに加えて特殊属性を所持している。
それを考えればソウマが如何に珍しいかが分かるだろう。本当にレイが言えたものではないが。
レイは今一度属性珠の中を覗き込む。
全属性があると言ってもその中にはやはり優劣が存在する。
ソウマはその中でも火、風が得意なようだ。
「やったっ! 全属性、全属性!」
ソウマはその出た結果にピョンピョンと飛び跳ねながら喜んでいる。
ソウマはレイから隠れて魔力増強の訓練をする程、魔法に興味を持ち、そして魔法を使いたいと願っていた。
その結果全属性という破格の結果を出すことができた。その喜びもひとしおだろう。
「ふむふむふむ、全属性に加えて特殊属性持ち、か。
中々にいない逸材。
加えて魔力も年齢に比べて大分多い、まあそれはソウマ君の修練の賜物だろうが。
まあ、先が楽しみとも言えるな」
レイはそう感心しながら、未だにピョンピョン飛び跳ねて喜んでいるソウマを止めて、これからの指導方針を話す。
「よし、じゃあソウマ君。
とりあえずこれからのことだがどの属性を重点的に習いたい? ただ全属性を均等に教わって器用貧乏になるのもなんだしな。
今の段階としては一つの得意な属性をある程度上達させてから他の属性の熟練度を上げるという方針にしたい」
全属性の利点だけ上げれば戦闘においてより多くの属性を持つ方が強い、と思うかもしれない。
しかし、レイの言った通り多くの属性を持つ程一つの属性に掛けれる時間が減る。
その為下手なことをすれば折角の全属性という利点が、全てそこそこの威力しか持たないということなりかねない。
その分一属性特化型は一つの属性に多くの時間を掛けれる分威力が高い魔法を使えるようになる。
その為余程の才能の差が開かない限りどれだけの属性を持っていようと余り力の差というものは広がらない。
その為レイはより上を目指すため効率よく練習できるようそのような提案をソウマにした。
ソウマは飛び跳ねるのをやめ、一転して真面目そうな顔で考え込む。
「え? うーん、そうだなぁ。
よし! じゃあ最初は火属性にする!」
レイはソウマの言ったことに了解だ、と頷く。
「特殊属性の方もおいおい調べていくか。
じゃあ今日は早いがとりあえずこれまで!」
レイはこれ以上進めると収拾がつかなくなると判断し授業を切り上げる。
「えーっ! なんでっ!」
しかし、そこでソウマは納得がいかないとばかりにレイへと突っかかる。
せめて初級魔法を使いたいと懇願するがそれもレイはダメだという。今日のうちにやろうと思ったら夜遅くまでかかってしまう、と。
そう言われてソウマはもうすぐで夕方になりそうな時刻だということに初めて気づいた。
流石にここまで言われれば反論できない。
ソウマは納得はしたが今日魔法を使えないということにシュンとする。
「まあ、そうがっかりするな」
そこでレイはしょんぼりと落ち込んでいるソウマの頭をポンポンと撫でながらある提案をする。
「明日、どこか大きめの街に行かないか?」
「街?」
「そうだ、どうする?」
レイはいつまでもここに居たままじゃ、いくら本がたくさんあるとはいえ世間の常識が身につかないだろうと思いそうソウマに提案する。
しかし、ソウマはここで疑問に思う。
「え、 街? ここら辺に街なんてあるの?」
ソウマは今日初めて結界を出て今何気なく住んでいるこの島の環境はとてつもなく危険だということがわかった。そもそも雰囲気からしてやばそうなことを戦闘の素人であるソウマでさえわかったのだ。
その為ソウマはそんな森の近辺に街があるのだとはとても思えなかった。
「いや、ここら辺、というかこの島には街が無い。
だがもちろん他の大陸には色々な街がある。
明日はその内のどれかの街に行くぞ。まあ、行く街はもう大体決めてあるがな」
「あ、そうなんだ。てか街が無いってここってどんだけ未開なの? けど街には行きたいですっ!」
レイは思っていた以上のソウマの食い付きに少々面食らいながらも機嫌が直って良かったと微笑する。
「ふふ、まあ明日を楽しみにしておけ。
じゃあ家に入るぞ。ソウマ君は椅子を持ってくれないか?」
「わかった」
レイとソウマは机と椅子をそれぞれ持って家の中へと入っていった。
こうしてレイの魔法講座、その一日目が終わった。
☆★☆
「ふんふんふふーん」
鼻歌を歌いながらレイは料理を作っている。
肉が焼ける断絶的に弾けるような音が響きその音は空腹によって増大された食欲が多大に刺激される。
現にソウマもこの音を聞きながら今か今かと料理が出てくるのを待っている。
誕生日パーティーのあった昨日の今日ではあるがレイはささやかなパーティーを開くつもりであった。
それはもちろんソウマの全属性記念祝いである。
もはや何かあるたびにパーティーを開いているような気がするが余りレイは気にしていない。
むしろ楽しければ楽しいほど良いと考えるレイはこうして料理を準備しているときすら楽しんでいる。
そこでふとレイはあることを思い出してその料理をしている手を止めた。
「あれ? そういえば街に入る時何か許可証のようなものが必要だった気が……」
レイは街などに入る時は自分の身元を示すための身分証のようなものを門番に提示する必要があるということを思い出す。
「ムムム、どうするか。身分証はあるにはあるが使えるかな?」
レイが今持っているのは約数十年前に作られたもの。使えるかどうかの確率は半々だろう。
いや、もしかしたら使える確率の方が少ないかもしれない。
こういう時レイの出来ることはとても少ない。
彼女はこれまで自らの害となる権力をその圧倒的な力で捻り潰してきたことが幾つかある。武力で解決できることならレイは確実にそれを成すことができるだろう。しかし、権力の影響のある元で何かを成すことに関してはただの流浪の身であるレイにとって取れる手段は余りに少ない。
そこでレイは極力とりたくなかった手段をとることにする。
「ハァ、仕方ない。あいつの手を少し借りるか」
レイの身元を保証しているのは魔国ディートレス、即ちシャルの治める国。
「ハァ、憂鬱。シャルの手はあまり煩わせたくないんだがなぁ」
レイはこういう時頼りにならない自分のことを少し恨みながらどうシャルに頼もうか、と頭を悩ませながら料理の手を再び動かし始めた。
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次話はある程度のストックができたら投稿します




