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黒崎くんは吸血鬼  作者: 工藤啓喜
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第三話 6

「それじゃあ、アナタの企みを話してくれる?」

「いいよ。これは僕の勘だけど、きっと面白い事になると思うよ」


シャルデウスは、不敵な笑みを浮かべると、ミラエンテとアマツデュラにひっそりと話を始めた。



☆☆☆


とある屋敷がある。ここ、特区と呼ばれている地区の中ではそれなりに古くからある屋敷なのだが、古いわりにはきちんと綺麗に手入れがされていて、廃墟や廃城のような幽霊がいそうな屋敷にありがちな独特の不気味さや古さを感じさせなかった。まず、屋敷の周りを囲むようにして植えられている青々とした健康的な、植物や薔薇など様々な花が訪問者を迎え、屋敷の正面に向かっていくと、黒くて大きな鉄の門がある。その隣には、黒檀のような美しい黒と周りに細かな金色の装飾がされているインターフォン‥というには余りにも豪華すぎる仕様のインターフォンが設置されていた。このインターフォンは、カメラがついており訪問者の顔が分かるようになっていた。


それだけなら、普通のマンションやアパートにも備わっている機能だと思うが、なんと、客が屋敷に初めて訪問したのかどうかが、分かるようになっている。顔認証システムの応用で、訪問者がインターフォンを押した時点で、顔認証が作動し、過去のデータから屋敷に訪問したのかどうかが、読み取れるようになっている。それを元に訪問者が“普通人”なのかあるいは“人外”的なモノかどうか判断して屋敷にいる使用人が対応するのである。


なぜ、これだけの機能がついているのかというと、この屋敷の主人に対して道場破りのような輩が多数いたからである。もちろん、人間か人外か、危険かそうでないかの判断は屋敷にいる執事が行なっている。最も現在は道場破りもめっきり無くなり、客人も特別訪ねて来るわけでもなく、ましてや大きなパーティーなぞ、数年以上行われていない。さらに屋敷の主人も数ヶ月前に亡くなってしまい、今は、数名の使用人達とメイドと主人を世話していた執事がいるだけになっていた。


しかし、数ヶ月前に一人、そしてつい先日もう一人の少年がこの屋敷に居候する事になった。二人とも訳ありだが、単なる家出などではなく互いにのっぴきならない事情からであった。


「黒崎ー。これはどこに置くんだ?」

「ん?知らん」

「なんだよ。お前さんここにずっと居るんじゃないのかよ‥」


大きな荷物を抱えている赤髪の少年は、立花宗介。彼は遥か古来からこの世に存在している“人ならざるモノ”を退治する退魔の家系“立花”の人間で、彼らの事は退魔師と呼ばれている。現在、本物と呼べる退魔師も数が少なくなっており、彼の家とあといくつかの家系にしか退魔師は存在していない非常にレアな人間である。宗介は数日前に、ある人物に会う為にこの屋敷に乗り込んで来た。それからなんやかんや一悶着あった末に屋敷に住む事になった。


そして、宗介に黒崎と呼ばれていた彼の名前は、黒崎蓮。数ヶ月前にある事件をきっかけに、人間の上位存在である吸血鬼の真祖になってしまった“元・人間”である。しかし実際、吸血鬼としてはまだ不完全で半端で不安定な存在である。本人はおろか、彼に付き従う執事である、エルウィン=デア=セルヴァンティスですらも、蓮の身体の変化を詳しく把握しきれていない部分もあった。彼は、普通の人間ではなくなってしまった為に、ここで暮らしていた。

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