第三話 4
「ミラの言うとおりだよ‥ガロア。ここで荒れてたって仕方ないよ」
髪をくるくるといじりながらシャルデウスもダラガロアを制止する。しかし、彼はダラガロアを本気で制するつもりはなく小さな子供相手に言い聞かせるような言い方だった。
「とにかくアイツは気にいらねえんだよ!!」
ダラガロアが吠えると、それに呼応するように、床の底から無数の朽ち果てた骸が、ズルズルと這い上がってきた。
「うざってえ!消えてろ!」
ダラガロアが、骸を蹴り上げると、骨の欠片をまき散らしながら、骸達は再び地の底へと戻っていった。ダラガロアは、肩を大きく震わせ興奮していた。
「まるで獣ね‥ダラガロア。あのボウヤの何がそんなに気にいらないのかしら?」
サラサラの長い髪の毛を撫でながら、 艶のある妖艶な声で、ミラエンテがダラガロアに問うた。しかし、ダラガロアはその質問には答えずどこかへ行ってしまった。ミラエンテは、肩を竦めて軽くため息をついた。ダラガロアがキレてどこかへ去ってしまうのは、彼らにとって日常的な光景であり慣れきっていた。キレている時のダラガロアは、味方だろうが何だろうが構わず無差別に攻撃をする。
下手に刺激を加えて、手がつけられなくなるよりは、そのまま放っておいて好きにやらせておいた方が自身の身の安全の為である。最も、彼の機嫌の良い時など、あまり無いのだが‥
「やれやれ‥いつもイライラしててガロアも飽きないね」
「‥アナタが、彼を刺激するからでしょう?シャル」
「僕はそんなつもりはなかったんだけど」
口元にうっすらと笑みを浮かべながらシャルデウスはそう言い放った。シャルデウスは、場をかき乱すのが得意だった。それも、場をかき乱すだけかき乱して自分はいつも問題から一番遠いところで、傍観していた。そして周りの混乱する様を見て楽しんでいた。
「いい加減、場を乱すのはやめなさい。場を乱すだけ乱して楽しんでいるなんて趣味が悪いわ」
「ヤだなぁ。僕にそんなつもりはないってば。ミラ」
「‥どうかしらね」
ミラエンテは、疑いの目を向けて答えた。しかし、疑いの目を向けられても尚、シャルデウスは笑みを崩すことはなかった。




