第ニ話 38
宗介の刀が刺さるよりも早く蓮の下半身が再生し、逆立ちの状態になりながら宗介の顔面を蹴り上げた。
「ぐっ…」
ごばん、と鈍い音が響き宗介は、蹴りを受け流すことができずに顔面にモロに喰らい苦悶の声を漏らした。
蓮と宗介は、互いに態勢を立て直し、互いを見据える。
「来やがれ!立花宗介。アンタを全力でぶん殴ってやる!」
蓮は、紫色の死毒を発動させる。
蓮の感情に連動するように、色が濃くなっていく。
「ぶん殴るのは、無理だと思うがな…」
宗介は、口から出ていた血を拭いながら言った。
「これは…まさか…」
これまでずっと、蓮と宗介の闘いを見ていたエルウィンは何か異変に気が付いていた。
「お気をつけ下さい!黒崎様。彼は…」
エルウィンが、蓮に言おうとしたと同時に宗介が蓮の元へ向かって来ていた。その気配は邪悪な雰囲気を纏っていた。蓮は、動きを冷静に見据え、それを迎え撃つために紫色の死毒の腕を構えた。
「うるぁ!!!」
蓮が、宗介の動きに合わせて、顔面に向かって拳を振るう。
先程までの動きとはまるで違い、人間らしさを無くした、ケダモノのような宗介の動き。その動きがあまりにもストレート過ぎていて、蓮は攻撃を当てやすかったのである。宗介は、蓮の紫色の死毒をまともに受けたのだが、動きが鈍っているようには見えなかった。
それどころか、薄笑いを浮かべ蓮を見つめている。
宗介の身に何が起こったというのか…蓮には知る由もなかったが、今はまず、宗介をぶん殴ったあとにメイドの娘に謝らせるそれだけだった。




