第ニ話 37
蓮は、何とか上半身を動かそうとするが、まるで力が入らず動かすことができなかった。身体中の力が抜け、悪寒までしてくる始末だった。
宗介は、石畳の上に這いつくばるように倒れている蓮を見ながら言動は明るく、けれど、態度は冷たく言い放つ。
「やっと、お前さんの動きを止められたな。後は…まぁ身体が、元に戻るまでじっとしていてくれ」
「…っ。な、何言ってやがる!!てめぇ、調子こいてんじゃねーぞ」
「そうは言っても、データは取れたと思うし。俺の仕事はもう終わりみたいなモンだ」
「っざけんな!!」
「なんで、お前さんが怒る?俺とお前さんが闘った。んで、俺が立っててお前さんが這いつくばっている。それだけじゃねーか」
「っ…くっ、そういうことじゃねぇんだよ!アンタはあの娘に何したんだよ!!刀向けてんじゃねーかよ!!無関係な人間を自分の都合に巻き込んでんじゃねぇ!」
「んな事…わかってるよ。俺がどれだけクズな事したのかも理解してる」
言い方はぶっきらぼうだったが、宗介は、哀しげな表情を浮かべていた。
「だったら!!」
「別に…俺のした事を無かった事にするつもりはないさ。あの娘には、本当に申し訳なく思ってる」
その言葉に、蓮が続く。
「…アンタはそれでいいのかよ?金が手に入れば、それで満足なのかよ?そんなんで、アンタ自身が納得できんのかよ!!俺は納得できねぇ!」
「…お前さんは、真っ直ぐだな」
そう言うと宗介は、恐ろしく冷めた目で蓮を見ながら鞘に収めた刀を抜いて蓮の心臓を刀で突き刺そうとする。蓮は、両腕にありったけの力を入れ、上半身を浮かせる。
避けるためではなく、宗介に攻撃するために。




