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黒崎くんは吸血鬼  作者: 工藤啓喜
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第ニ話 33

蓮は、ギリギリのところで躱すことができたが、刀で斬られた後がついている。


「ふ――…またか。…完全に斬ったと思ったんだけどな、何でか避けられるんだよな」

「いや。普通に斬れてっから!!ほっぺた血だらけだから!!」

「俺は、お前さんの首を狙ったんだがな…いくら吸血鬼といえど、首を落とされたら動きは止まんだろ」

「そりゃまぁ。確かに?落とされた事はねぇけど」


宗介は生き死にのやり取りをしていたつもりだったが、蓮は、まるでそんな風には思っていないようだった。

そもそも、闘いにおいて死ぬことのない不死の存在である吸血鬼にとって生死を賭けたギリギリの闘いなどは無いに等しいのだが、それにしても目の前の吸血鬼はどうにも人間臭い。


これまで会って来た人外とは一味違う存在だった。だが宗介は、闘いの楽しみとは別の、自身の身体に僅かな違和感を覚えていた。目の前にいる真祖の吸血鬼(れん)をズタズタに斬り刻み血を流させたいという感覚。


宗介は、自分の中に僅かに覚えていたその感覚を押し殺すように続ける。


「まあ…いいや、取り敢えず首はもらうわ。抵抗は自由だ黒崎。」


そう告げると、再び姿を消した。先程と同じで気配を感じる事ができなかった。


「げ。まーた消えやがったな…。紫色の死毒(ヴェノム=パープル)も効いていないっぽいし…どうすっかな」


蓮は、ほくそ笑んでこそいるが、宗介に対して何一つプランを立てていなかった。ほんの数ヶ月前まで、ただの大学生だった少年がただの喧嘩ではなく、本物の生死を賭けた戦闘を経験しているわけもなく対抗策など、思いつかないのは当たり前だった。


ヒュン、という風を切るような音と共に、宗介が蓮の前に姿を現し、長い日本刀が蓮の首を狙っていた。蓮は咄嗟に紫色に染まっている腕を出し、ラリアットの要領で大きく横に振る。姿が見えない以上、蓮には受け身でしか攻撃するしかなかった。


宗介は咄嗟に、斬り付けるのを止め避けようとするが、避けるよりも早く蓮の腕が迫ってきており、一撃を受けてしまった。

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