第ニ話 32
その気になれば、簡単に命を奪うことができてしまう。宗介はそれが怖かった。怖かったから避けられる闘いは避けてきた。一族や同業にバカにされてもそうしてきた。
しかし、今は…純粋に、ただ純粋に闘うことが楽しいと思ってしまっていた。
「どうした?アンタから挑んできたんじゃなかったか?もしかして。へばってんじゃねーか?」
「何言ってやがる。息が上がってんのはお前さんの方だろうが」
「へっ、俺はまだやれるっての!」
「俺もやれる…ってか俺は、お前さんを倒す算段を立ててるんだよ!」
「そうかよ!!」
そう、言い今度は蓮の方から仕掛けた。
今更、話し合いで解決できるとは思っていない。だったら、勝負して勝てば良いだけの話だ。それが一番早い。蓮は立ち上がって一気に、宗介の元へ駆けた。走りながら蓮の眼が紫色に輝き、紫色の死毒を発動させた。
だが、蓮の予想では宗介は人外ではない…が、一瞬くらいは動きを止められるだろう。
宗介が、膝を着くなり、動けなくなるなりすれば、強烈な一撃を入れる事が出来る。話し合う余地がないなら拳で語るしかない。
…蓮は、そう決めていた。宗介に接近した蓮は薄っすらと紫色になっていた拳を宗介に向け殴りつけた。
「おおぉぉぉお!!!」
宗介の右側の頰に蓮の拳が、鈍い音を立てて入った。だが、宗介は蓮が殴った方向に勢いよく回転し、攻撃をいなすと、カウンターの要領で、蓮を斬り付ける。
蓮は、刀をかわし損ね、頬に線状の傷が付き頬からは血が流れている。




