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黒崎くんは吸血鬼  作者: 工藤啓喜
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第ニ話 30

蓮は、再び神経を研ぎ澄まし集中する。

上、下、右、左。


だが、何処にも、宗介の気配を感じることができなかった。まるで、屋敷中の景色に溶け込んでいるようだった。

蓮が、ひと呼吸入れ呼吸を整えようとした時、頭上から宗介が現れ、蓮の肩に向けて刀を振り下ろす。


蓮は、どうにか躱すことができたが、宗介は追撃する。

それから、宗介は地面に着地すると同時に、蓮を下から斬り上げようとし、刃を向ける。蓮はそれを無理矢理、素手で掴んで、宗介を蹴り飛ばした。


宗介は、蓮に蹴られながらもわずかに後ろに飛んで着地し、すぐに立ち上がっていた。

蓮の掌からは、おびただしい量の血が流れていた。


「ハァ…ハァ…痛ってぇな…」


蓮は、肩で息をしていたが蓮とは対照的に宗介は涼しげな表情のまま連を見据えていた。

宗介は、息を全く切らせておらず疲労している様子もない。

身体を冷却しないようにする為か、刀を上下に振り、こまめに動かしていた。


「どうした?もう終わりか?黒崎。お前さんは、そんなもんなのか?」

「ゼェ…ゼェ。…うるせー」


連は、精一杯答えているが実のところかなりの疲労をしている。


まず、刀を使う相手と闘ったことがないため慣れていないのと、吸血鬼になってしまったとはいえ、痛覚(いたみ)は普通に存在する。


それ故に、斬られる事の痛みと斬られる事の恐怖が強く、今まで闘ってきた以上に緊張しているためかなりの疲労だった。


「まいった。全く姿が見えねぇ…」


息を切らしながら、蓮は呟く。


「その割には、俺の攻撃も当たってないんだけどな」


宗介は、納得いかなそうに蓮の呟きに返答した。

動きを見る限りでは、速さは宗介の方が上で、力は蓮の方が上だった。


だが、宗介は蓮の動きに注目していた。

体運びは素人、型は無し、体捌きは素人以上。

しかし、勘というのか何なのかそれだけはズバ抜けて優れている。


眼では全く追えていないのに、感覚で宗介の気配や位置を掴んでいる。

普段の状態では、まるで一般人と変わらないのに、いざ戦闘となると途端に変貌する。

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