第ニ話 29
蓮と宗介が、互いに向き合って様子を伺う。
「どうしたよ?俺と闘うんじゃなかったのか?」
蓮は、宗介を挑発するような口調で煽る。
「そうだな。そろそろ仕掛けさせて貰うわ…。死ぬなよ?黒崎」
宗介が、そう言うと同時に、姿を消す。さっき見せた動きだ。
気配も姿も見せないあの動き。
蓮は神経を集中させる。蓮は後ろの微妙な気配を察知する。
すると、鉄と鉄を擦りつけたような鈍い音が響いた。蓮の腕と宗介の刀がぶつかり合い、大きな音が屋敷に響く。
宗介の刀は既に、抜き身になっていた。
「ってぇ…。アンタ、いつの間に鞘を抜いたんだよ?」
「お前さんが、俺の気配を追っている時にだよ。ってか、刃を素肌で受け止めるか普通⁉︎」
「ッ。確かにーーなっ!!」
蓮は、勢いよく腕を横に振り宗介を振りほどく。
宗介は、軽く宙を舞い、緩やかに着地する。
蓮は半端とはいえ、真祖の吸血鬼である。皮膚の頑丈さも硬さも普通人とは、まるで違う。
だが、蓮の腕にぶつかった刀は刃こぼれ一つしておらず、むしろ蓮の腕にかすり傷ができていた。
「なんか痛ってぇと、思ったら微妙に斬れてんじゃん!」
そう言いつつも蓮の皮膚は既に再生され元通りに戻っていた。
吸血鬼の特性である、超高速再生。
吸血鬼が、不死と言われる所以でもある。
「へっ。こいつで、斬れないモンがあるなんてな…。吸血鬼ってのは、皆そうなのか?」
「知らねーよ。じいやさん以外の吸血鬼に会った事ねぇし!」
「へぇ…そうかい!」
再び、宗介は姿を消す。どうやらこの闘い方が宗介の戦闘スタイルらしい。
以前に闘った人外狩りの井萩とは、また違う。井萩よりも、もっと暗殺向きな闘い方だった。




