第ニ話 16
『周辺データによると、今日は特別に出かけないと思われますよ。屋敷へ直接出向いた方が、早いかも知れませんね』
「屋敷?」
『ええ。今どこに……なるほど。中央街ですか。そこからすぐ近くに大きな屋敷があります。そこに、黒崎蓮が住んでいるという噂ですよ』
「マジかよ…屋敷とか。ボンボンかよ」
『まぁ、彼の場合、特殊な状態ですからねぇ…。そこなら、確実に会えますよ』
「棲家に、乗り込むとか悪党でしかないが…ま。仕方ないか。…依頼のためか」
『期待していますよ。立花さん。では、データ引き渡しの時にお会いしましょう』
相変わらず、上からの目線でそう言い通話が終了した。
宗介は、スマホをズボンのポケットに入れると、やや不機嫌そうに歩き出した。
不機嫌そうというよりも、不機嫌なのだが、受けてしまったものは仕方ない。とりあえず、蓮が住んでいる屋敷へと向かうことにする。
宗介が今いる中央街は、その名の通り中央にあり、特区の大部分を占めている場所だった。
特区の中で街というなら、ここの事を指すくらい大きなエリアである。
屋敷があるのは、中央街を抜け、緑並木が並ぶ通りを抜けて、高台の上にある大きな公園の敷地内に建っている。
緑並木は、四季によって姿、形が変わり春、夏、秋、冬とそれぞれ違った表情を見せる。
今は、春が過ぎ、葉は緑色になっているが、特区の代表的なスポットとなっている。
「これは…!なかなか…」




