第ニ話 13
「コレはなんだ?」
「ドローン用の小型カメラです。貴方はそれを付けて黒崎蓮のデータを取って下さい」
「こいつは、どこに付けたらいい?」
「どこでも。ご自由にどうぞ」
そう言って、井萩は、再び得体の知れない飲み物を飲む。井萩が飲み物を飲む度に甘ったるいような、抹茶のような、コーヒーのような訳の分からない香りが漂う。
その匂いがきつくて、宗介もコーヒーを飲む。
この喫茶店も、よくこんなものを出せたものだ…と、宗介は思った。
「話は分かった。で?いつ闘えばいい?」
「それなんですけどねぇ。実は、私、上から別の任務を任されてしまいましてねぇ。しばらく特区に立ち入れないんですよ」
「なら、いつならいいんだ?」
「貴方が、都合の良い時に、特区へ行って下さい。その時に、私に連絡をくれれば、準備しますから」
「完全に、人任せなんだな。アンタ…」
「こちらから依頼しているのに、すみませんねぇ。ご迷惑おかけします」
井萩は、宗介に謝罪をしてはいるが、誠意というか気持ちの込もっていない、口先だけの謝罪に聞こえた。
どちらにしても、宗介は井萩という人間はあまり信用できる男ではないと思ったが、とりあえず意味の無い井萩の謝罪を受け取っておいた。
それからの二人は、あまり会話が弾むこともなく、井萩の方から任務だとかで席を立ち店を出て行った。
その際、井萩はキチンと二人分の伝票を持ち会計を済ませていたので、一応の大人の対応は持ち合わせているんだと、宗介は初めて彼に感心した。
そして、宗介はもう一度コーヒーを頼み直し、特区へ向かう日取りを確認していた。
黒崎蓮という男に全く怨みなどない。
宗介は、熱いコーヒーを飲みながらスケジュール帳を確認していた。
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