第ニ話 12
「………」
井萩という男は、味覚がおかしいのだろうか?と、宗介は思った。
抹茶なのにコーヒー。しかも、ザクロ風味とは謎すぎる。
「一口飲んでみますか?コレ。なかなか美味しいですよ」
「いや。遠慮しておく」
宗介としては、早く打ち合わせを終わらせて欲しかった。
この男と、向かい合って仲良く談笑など、とても出来そうもない。
「早く打ち合わせしないか…?」
気分を変えるために、コーヒーを飲む。少し、冷めていたが、安定の味だ。得体の知れない、抹茶コーヒーよりも遥かに美味い。
抹茶コーヒーなど邪道なのだ。
「つれない人ですねぇ…。ま、いいでしょ。…私から貴方への依頼は、黒崎蓮という少年のデータ収集です。どのような能力を持っていて、どれほどの力を持っているのか、ああ…弱点など解るとポイント高いですよ。尚、生死は、問いません。貴方にお任せします」
「黒崎蓮ってのはどんな奴なんだ?どうしてデータなんて欲しがる?」
「まぁ、企業秘密と言いますか。そこは深く突っ込まないでくれると嬉しいですねぇ。貴方には彼のデータを取って頂きたいだけなんです。闘って…ね」
井萩は、彼、立花宗介という男に蓮の情報採取を持ちかけた。しかも、闘って、という不穏な言葉まで告げて。
「人使い荒いなアンタ。…データ収集ってのは、具体的にどんな風に取るんだ?」
「特区に、小さめのサイズのドローンを放ちます。それに、データを転送してもらいます。ちなみに、その時は、貴方にはこれを付けて頂きますけどね」
井萩は、そう言って小さなボタンのような物を見せる。




