第ニ話 11
「まあ、私の方も暇では無いですからねぇ。打ち合わせしましょうか。とはいえ、概要は、貴方にすでに伝えた通りなんですけどね」
「なら、何も会わなくても良かったんじゃないか…」
毒を含んだ口調で、井萩に言う。宗介は、井萩を見た時、どうにも言い表せない不快感を感じた。
まるで、害虫を見た時に感じた不快感に似た感じだった。
宗介は家柄の都合、様々な人間に会ってきた。勿論、人間だけではなく、色々なタイプの人外とも会った。その時、不気味だと思うことがあっても、不快感を感じたことはなかった。
背筋に何かまとわりつくような感覚。
その感覚に近い。恐怖とも悪寒とも違う妙なモノ。
「確かに。ですが…顔も知らない相手と仕事など、信用できますかね?…私なら、信用できませんね。怖くて」
…その通りだと思った。この男には不快感を感じるが、正論を吐いている。
顔を知らない相手との依頼ほど信頼できないものはない。
顔も知らない相手に、どれほどの信頼が置けるというのか。
「ま。そうかも知れないな。アンタは随分イメージとは違ったが」
「そうですね。声と後ろ姿とは裏腹に童顔ですもんね。貴方」
「…………」
宗介は僅かに井萩を睨む。
しかし、宗介の表情を気にする風でもなく、井萩は、注文していた自分の飲み物に口をつけた。
井萩の飲んでいる飲み物は、得体の知れない色をしている謎な飲み物だった。
宗介は、少し苛立っていたが、井萩の飲んでいるものが、気になる。
「…何飲んでるんだ?」
「?オヤ?気になりますか。これはですね、期間限定発売の、抹茶コーヒーラテ・季節のザクロ風味ですよ。私、気になっていたんですよねぇ。前から」




