第ニ話 6
そんな話があり、蓮はあの後しばらく養生していたのである。紫色の死毒の毒はその日のうちに消えたのだが、しばらく四肢が動かなくなっていた為、蓮は部屋の中で引きこもっていた。
外に出たのは、この日が久しぶりだった。
蓮が、毒を調節する練習していると、ずっと黙っていたエルウィンが口を開いた。
「貴方の紫色の死毒を見せていただいて、私、考えていたのですが、どうもその力と私が知る若様の七色の万華鏡は少々、違う能力のような気がします」
「と、言うと?」
「若様の紫色の能力は、相手の四肢を麻痺させ動きを制限する能力でした。ですが…」
「俺のやつとは違う…ってことか…?」
「若様の力は、黒崎様ほど毒が強力ではなかったように思えるのです。若様が自分で試したのかどうかまでは定かではありませんが」
「俺の調節が下手だっただけなんじゃないか?」
「ええ。それはあるのですが、何か違うような」
何故、能力に違いがあるのか蓮には、わからなかったが、蓮としては、どちらでも構わなかった。
どんな能力でも、誰かを助け、守る事ができるのなら。
それに、人外狩りとの闘いの後ぐらいから、蓮の身体が以前よりも軽くなっているのを感じた。
養生していたから体重が減った訳でない。確かに身体が馴染んでいる感覚があった。
一方で、エルウィンは、若様とは違う能力に、不安と危機感を感じていた。
それは、エルウィンも知らない未知の能力が覚醒していっているのではないかというものである。
蓮は、吸血鬼になった条件が普通とは違っている。“親”にあたる吸血鬼の血を使わず、“親”である吸血鬼の身体の一部を移植して変化した存在である。吸血鬼として不安定で不完全な状態であると同時に、エルウィンにも予測できない危険もはらんでいた。
同時に、能力が覚醒することによって、蓮が更に過酷で危険な闘いに巻き込まれる可能性があることも、良く思っていなかった。




