第二話 4
「確かに、何もしていない方達を一方的に殺すのは、私も良しとしておりません。むしろ嫌悪すら感じますよ…。ですが、私も含め、人ならざるモノ達は、やはり人間からすれば、奇怪で異様で強大で危険な存在なのです。得体の知れない、何者かわからない、自分の理解を超えたものを迫害したがるのは致し方ないことですが…」
「…あいつ等だけなのか?あんな風な、その…やり方は?」
「討伐の方法はどの人外狩りの組織も同じで悪辣なやり方でございます。ですが、比較的に穏健派の方達もいるのは確かですよ。闇の眷属達を討伐だけではなく、封印するのも彼らの役目ですからね」
エルウィンは、そう怒りを露わにして言う。エルウィンは、普段は穏やかで優しい表情をする老人であるが、彼らの話をする時は、決まって怒りの表情を出す。
「過激派の方達はさらに悪辣で、子供、老人、女性、男性問わず殺戮してしまう残虐性…人間と闇の眷属どちらが危険なのかわかったものではありませんな」
「…確かに。人間達も改善するべきところがあるのかも知れない。けど、あいつ等は別だ!殺す事を心底、楽しんでいやがった。そんなこと絶対に許せねぇ!」
蓮は、彼らの言動を思い出し、怒りがこみ上げる。別段、正義感を振りかざすつもりもないし、正義の味方を気取っているつもりもない。ただ、彼らの行動が許せなかった。
人間を守るためといえば聴こえはいいが、実際は、ただの殺戮行為でしかなく、理由はあるのかも知れない。しかし、結局やっていることは他の命を奪うこと。
蓮には、それが許せなかった。
それは、蓮の身体の中に入っている“彼”がそうさせるのか。それとも蓮の内にあったモノが表面化してきたのか、わからない。だが、特区に来てからその湧き上がる思いが強くなっていた。
「…恐らく、彼らはまたここに来るでしょう。特区にはかなりの闇の眷属がおりますから」
「なら、人外狩りをみんなで協力して追い返すことはできないのか?闇の眷属同士で」
「それは非常に困難でしょうな。ここの闇の眷属達は他者と馴れ合うことを非常に嫌い、協力や助け合いなど頑なに拒んでいます。"降りかかる火の粉は自分自身で払え"を地でいく輩が多いですから、到底、協力は望めないでしょう」
「いや、そんなこと言っている場合じゃ…」
「その通りです。ですから、もしまた彼らが来るのであれば、私が全力を持って彼らをおもてなし致しますよ。誠心誠意、真心を込めて、彼らを迎撃します」
と、エルウィンはにこやかに言い放った。
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