第二話 1
彼は、黒崎蓮。吸血鬼である。
やや長めの癖っ毛でエアリーヘアという髪型。髪色は黒色で瞳は茶色。中肉でで身長はおよそ170cmくらい。切れ目だが、目が常に死んでいて覇気がなく、遠目で見ればイケメンに見える時もあるが、何せこの男ガサツで、適当に足が生えたようなものぐさなのである。
数日前に、人外狩りの連中とやりあい辛くも退けることは、出来たが自身も軽くない怪我を負っており、今日まで、大事をとって休養していた。
ちなみに学校は、ここに来てから全く行けていない為、完全に留年もしくは退学コースである。どのみち当人に行く気はないので、あまり重要ではない。
さて、話は少し前に戻るが、数日前に人外狩りを辛くも退けた蓮に、新しい変化がおとずれていた。
瞳が紫色に変化し、その状態で相手を殴ると、相手が動けなくなってしまう現象が起こったのである。
また、瞳が紫色に変化するようになってから、身体がなんとなく軽くなっており、傷の再生速度も速くなっていて、力も強くなり、感覚も鋭くなっていた。
蓮は、この状態をじいやさんことエルウィンに聞いてみた。
すると、“若様”と呼ばれ、連の命を助ける為に真祖の吸血鬼にした人物が使っていた能力の一つかも知れないということがわかった。
「黒崎様のあの時の状態。その紫色に輝く瞳は、“紫色の死毒”(ヴェノム・パープル)という名前の能力でございます。
ヴェノム…毒のことですな。闇の眷属といった者達に対しての毒で、その状態で、相手に触れると毒が廻り四肢を麻痺させることができるそうです」
「へえ。じゃあ、人外以外にやったらどうなるんだ?普通の人間とか?」
「若様によると、普通の人間にやると、完全な四肢の麻痺とまではいかないですが、痺れて数秒動きを止めることができるらしいですよ」
「若様ってのは、人間で試したのか?」
「さあ?そこまでは…何せ、若様のお若い頃は随分やんちゃでしたから…」
エルウィンは、昔を懐かしむように遠い目で、蓮に語る。
「…能力ってのは、これだけなのか?」
「いえ…。私達、吸血鬼には特殊な能力を持っている者もいます。能力の種類や効果は、それぞれですが」
「若様って吸血鬼もか?」
「ええ。若様は勿論。私も持っておりますし、私の知る人物は他の者も持っておりますよ」
「どんな能力なんだ?」
「吸血鬼は、生まれつきに備わっている血継能力と後天的に備わる、異名と同じ名前の能力異名能力の二種類の能力があります」
「ぶ、ぶるーと…?」
「血継能力は吸血鬼の系譜、血統にのみ伝わる能力で、一族でみな同じ能力を持っており王族や貴族と呼ばれる吸血鬼や、王族や貴族ではなくとも名のある血統の一族が持つものです。異名能力は、異名…二つ名のようなものですが、その二つ名の由来になった能力のことですな」




