第一話 14
「ハッ!棒立ちか?吸血鬼!!!…なら、とっとと砕けちまいな!!!」
蓮の左腕は、がっしりと鶴田の拳を捉えていた。拳を捉え完全に離さないようにしている。鶴田は、引き離そうとしているが、外れる気配がない。
それどころか、右腕の力が抜けていく。鶴田は、蓮を見る。すると、蓮の両眼が紫色に輝いていた。
妖しげで、気高く高貴な瞳の色。
まるで、夜闇に向かう空の色のようで、一瞬吸い込まれそうになる。
「ちっ…」
鶴田は、力任せに振りほどき、攻撃体勢に入る。しかし、右腕に全く力が入らない。拳を握ることもままならない。
力を込めようとしても力が入らない。必死に、拳を作ろうとしていると、蓮の右ストレートが鶴田に決まる。
「ウグッ」
蓮のラッシュ攻撃が、次々と繰り出される。鶴田は、ラッシュ攻撃を捌く。しかし、身体に力が入らない…どころか逆に力が抜けていく。
いや?抜けていくというよりも身体が、動かなくなっている。
鶴田に焦りの色が見え始めていた。
(ぐっ…何だ。身体が動かねぇ…!!くそっ!!!)
ラッシュ攻撃は、止む事なく続いている。
「うおおおおおおぉ!!!」
咆哮と共にラッシュが激しくなっていく。蓮は、ありったけの力と怒りの感情にまかせて、打撃を与えている。
鶴田の表情が、苦悶に歪んでいく。
少しずつ、だが確実にダメージを蓄積させていた。鶴田の膨れ上がっていた頑強な筋肉の鎧が、普通の生身の肉体に戻っていく。




