第一話 12
「一つ。質問して良ろしいですかな?…何故、貴方達は何の罪もない彼らに火を放ち殺害したのでしょう?貴方がたのやり口はよく存じていますが、過去、ここまで無節操なやり方は、なさらなかったと記憶しておりましたが?」
「それは、貴方に説明する義務は無いと思うんですけどねぇ。奴らを始末するのが私達の仕事ですから。…まぁ。強いて言うなら、手っ取り早く始末できるやり方が、コレだったってだけの話ですよ。特別、深い意味は無いんですよ?コレは」
「…左様でございますか」
エルウィンがそう言うと、ものすごい殺気が膨らみ始める。井萩の殺気とエルウィンの殺気が、正面からぶつかり合い蓮は呼吸をするのも、息苦しいほどだった。まるで、首筋にナイフを突きつけられている感覚。身体中から、嫌な汗が流れる。
「ははあ。コレは光栄ですね。最強と謳われた最古の吸血鬼と殺り合えるとは。存分に斬り刻んであげますよ?」
井萩も、抜刀の体勢をとる。それとは、対象的にエルウィンの方は、構えという構えをしていなかったが、戦闘の準備は出来ている印象だった。二人が、睨み合っていると、吹っ飛ばされた鶴田が戻って来た。
二人に負けじと鶴田も殺気をあらわにし、三者の殺気が混じる異様な空間。
誰かが、動けば始まる。それは、昔見た、西部劇のガンマン同士の決闘のシーンに、似ているなと蓮は思った。
そんなことを考えていると、鶴田がこちらに視線を向け、井萩に言う。
「このガキは、俺が殺っていいよなぁ?俺に殺らせろ!!井萩!!」
「ええ。願ってもない。是非お願いしますよ。鶴田クン」
ニタァと笑うと、鶴田は、もう何度目かの拳を握り腰を低く落とす。
次はない。これで終わる。
蓮の身体は、満足には動かないが小さな傷は再生しており、骨折していた箇所も治りかけていた。右腕も再生が終わっており、痛みはあるが、動かそうと思えば、動かせる程度まで、完治していた。
不思議なことに、一番初めに攻撃を受けた時よりも、身体から力が漲っている。また、心なしか、再生速度も速くなっているような気もする。
身体が、少しずつ吸血鬼として、変化していっているのかも知れない。問題は、いくら身体に力が漲っていても、鶴田の攻撃をかわせなければ“死”ぬだけだった。




