第一話 11
音を立てて、鶴田は吹き飛んでいく。
鶴田は、咄嗟に受け身を取っていた為にあまり吹き飛ばなかったが、蓮達からは離されてしまった。
「クソ!!…あの野郎!!」
鶴田は立ち上がり、そう呟くと急いで彼らの元へ戻る。
「やれやれ…遅かったようですね。恐れていた事が起こってしまいましたよ…全くもう」
そう言いながらも、さして恐れている感じではない井萩は、エルウィンをうすく開いた目で見ている。
エルウィンの表情は、読み取りにくいが、怒りは間違いなく井萩と鶴田に向けられていた。
「初めまして。“人外狩り”の井萩さん。そして鶴田さんでしたかな」
「鶴田サンは貴方が吹き飛ばしてしまいましたけどね。…私も貴方をよく存じていますよ。エルウィン=デア=セルヴァンテスさん?」
「ほほう!それはそれは!私も有名になったものですな。私は大変嬉しゅうございますな」
エルウィンを一瞥する。言動はいつもの通り丁寧で、優しいものだったが、言葉の一言一言に怒気が込められているのを感じた。
巨体の鶴田をいとも容易く、吹き飛ばしたことにも驚いているが、怒りをあらわにしているエルウィンに何より驚いていた。
「折角、お目にかかれたのに何の手土産も用意できず、申し訳ございません」
エルウィンの一言一言には、井萩に対して挑発と侮蔑が混じっている。
「いやいや。突然の訪問に関わらず、手熱い歓迎でしたよ?こちらのヒト達は。ま。ヒトではないんですがね?」
井萩の発言を聞き、エルウィンは笑みを崩さず井萩に質問をする。




