魔王転生(5)Moment Reckoning
楽しみにしていた人に謝罪します。(いるかわかんないけど)投稿がかなり遅くなりました!4からかなり期間があいてしまいました。
第1章「悪」
ガープは変わらず玉座にふんぞり返っていた。召使いなどを仕えさせ、兵もかなり強力になってきた。「フン・・・あやつ、生きておったか。あの勇者気取りの厄介な奴め。」ガープの目の前には透明なディスプレイがあり、勇者ケントが映し出されていた。「おい!フェラス!こいつを始末してこい。お前ならできるはずだ。」フェラスと呼ばれたものは見当たらない。と、横の大きくてゴツい鎧が動いた。「はっ!ガープ様。」そう言って重そうな鎧をガチャガチャと鳴らしながらあの巨体で重くてゴツい鎧を着ている人ではないようなスピードで走っていった。「あやつはあの頑丈さ、一撃の重さで素早さも十分にある。見た目で遅いと思わせることができるだろう。」この世界はほとんどが攻撃速度特化である。そこに追加で攻撃力や防御力などを生まれつき持つものが居るということだ。フェラスこと、フェラス・ロートノートはその両方を兼ね備えた強者だった。「さて、アルカイックも出てこい。」正面のドアが開き、何やらまたゴツいやつが出てくる。今度は鎧を着ていないが、皮膚が鱗のように硬い。胸辺りには宝石がはめられている。「はい。私めも罪人ケントを殺す。という命令でよろしいでしょうか。」ガープは頷く。「分かりました。」そう言って、部屋を出ていく。「まずはコイツらだけで事足りるはずじゃ。もしこれで駄目だったらあ奴らを派遣するか、わし自身が出向くことにするか。」ガープはまた玉座にふんぞり返ってディスプレイに移ったケントを見て舌打ちをする。「隣りにいるこの魔力量がとてつもない亜人はなんだ・・・」ガープにそれが分かるのは、まだ先のことだった。
第2章「力」
ティルはいつも通り朝起きて布団をめくって起き上がろうとした。その時、布団が破けたのだ。「は?」驚き、飛び退く。その時も飛びすぎて頭を天井にぶつけた。「なんだ?」ドアを開ける。案の定ドアが外れた。「何?」力が強くなっている。「なんだこれ・・・」自分の手を見る。なんだか昨日よりも手が怪物になっているような気がする。とりあえず1階へと降りる。階段も頑丈なはずだがギシギシと鳴っている。朝食を掴んでも弾け飛んでしまう。「俺の身に何が起こってるんだ・・・?」結局朝食は梨花に食べさせてもらうことになった。手は加えないようにした。今の自分だと梨花を気づかぬうちに殺してしまいそうだ。力をうまく制御できない。頭の中でなにかの声が聞こえる。〔モンスターや人間なんて信用できない。殺してしまえ。〕何を言ってるんだ?〔手始めに、目の前の人間を殺せ。〕背筋が凍りつく。手が出そうになった。なんだ、これ。逆らえないような感覚になる。「どうしたの?お兄ちゃん。ほら、あーん♪」呑気にそうやっている梨花に手が出そうになる。それを必死に抑え込み・・・「梨花、逃げろ」それを聞いた梨花は一瞬キョトンとした。「逃げろって・・・」力が溢れ出してくる。〔全て皆殺しだ。誰ひとり残らず!〕そうか。これは・・・過去の魔王の意識が俺に入り込んでいる。「はや・・・・く」もう自我を保っていられない。腕がひょろっとした細い腕から筋肉質の太い腕に変わる。「お兄・・・ちゃん?」梨花が不安そうに聞く。「グルル・・・」口から出た言葉は唸り声だった。梨花は危険を察知したのか逃げ出した。もう自我はない。〔さあ、全てを全滅させる準備ができた。〕そう謎の声が聞こえた。〔始めよう。〕その声が響いたときに体中に更に強い力がみなぎる。「ふう・・・」その口から出てきた声は、ティルのものではなかった。「1000年ぶりの肉体だ。」そこへ黒霧がやってくる。「なんだお前は。」「俺は1000年前の魔王。ヴァルギリアだ。」黒霧はテレパシーで即座に知らせる。『戦闘要員に告ぐ。ティル様が1000年前の魔王に乗っ取られた。援護を頼む。』すぐに全員が集まる。「ティル・・・」アクリアは少し離れたところから見ていた。後ろから肩に手を置かれてビクッとする。「アクちゃん、大丈夫。お兄ちゃんはそんなすぐにやられたりしないよ。1000年前の魔王だろうときっと内側から倒してくれるよ。」そんな風に明るいトーンで言っている梨花の顔は笑っていなかった。涙をこらえ、自分よりも先に相手を励まそうとしているのだ。「そんなこと言って強がらないで。」アクリアも慰めのつもりで梨花を優しく包む。「私たちは一旦むこうに逃げてよう。」梨花も頷いて二人でシェルターへと急いだ。後ろを振り向くと魔王とみんなが戦っていた。みんな戦いづらそうだった。
第3章「束縛」
目が覚めるとそこは周りが肉壁で覆われた丸い〝檻〟だった。「ここから出せ!おい!」返事はない。「クソ・・・どこかに出る方法はないのか・・・」力は・・・まだ残ってる。「はぁぁぁ・・・・!オラァ!」勢いよく肉壁を殴りつける。なんだか少しダメージが通っているようだ。外ではヴァルキリアがうめき声をあげていた。「なんか知らんが、効いてるみたいだぜ?」べリムが言う。「でも、ティル君は戻ってくる気配ないね。」稲荷も心配そうだ。「クソ・・・出れないか。」ティルは焦っていた。絶望すらしている。「まだ、まだ死にたくない。一回死んで、新しい人生としてこの世界で生きてこれたんだ。こんな所でまた死にたくない!」からだに一段と力が集まる。肉壁に向かって思いっきり拳を叩き込む。ヴァルキリアはまた呻く。「こしゃくな・・・からだがなくても向かってくるか・・・」そこへケントたちも来た。「なんか知らないが加勢する!」「あれってあの可愛い亜人ちゃん?怖くなっちゃって・・・」ハルはなんだか呑気だ。「ハル、何呑気に言ってるんだ。どう見てもティルさんじゃない。面影がないだろ。乗っ取りかなんかか・・・俺もティルさんには恩がある。今まで襲撃したりした償いとして、こんどは俺がティルさんを救う。俺をあの間違った思考の地獄から救ってくれたように・・・」まずティルだったときになかったブイを探す。そこはきっと繋がりがないはずだ。胸についている宝石!ケントはそこに向かって斬りつける。宝石砕け、ヴァルキリアが苦痛の叫びを上げる。「小癪な!なぜだなぜだなぜだなぜだ!」耳がキーンとするほどうるさい。ティルの方では肉壁が迫っていた。「どんどん狭くなってやがる・・・」このままだと押しつぶされる。「うあああああアアアアアア!」体から一筋の光が満ちる。その光の数はどんどん増えていき、爆発した。開放的な空間となり、外が見える。「・・・!ティル様!」黒霧が落ちてきた俺を受け止める。ヴァルキリアは弾け飛んだのか・・・いや、「分離だと・・・肉体はこっちにあるというのに・・・」なるほど。「お前、分離って言ってたな?それはもう俺の体ではない。お前はそもそも体ごと復活したんだよ。だから・・・」そう言って立ち上がる。「ここでぶっ潰す。」ティルの顔は笑っていなかった。
第4章「魔王VS魔王」
「先手必勝!」一瞬でヴァルキリアの目の前まで移動し、斬りつける。こいつ、案外弱い。「まだ復活したばかりだから体がなまっておるな。」と言いながら余裕そうにティルをぶっ飛ばす。こいつ、攻撃はすんなり受け入れるくせに防御力無いと思ったら・・・攻撃が重い!「私をあまり甘く見るなよ?」そう言って特大エネルギー弾を放ってきた。すかさずかわし、戦闘態勢に戻る。「ほう。避けるか。」俺はすぐさま背後に回る。なんだ、こいつ・・・背中の中央に〝目〟がある。手が後ろへと伸び、命中する。「うがっ!」今まで戦ってきた奴らの中で一番厄介なやつだ。黒霧たちはヴァルキリアにバリアに収められ、ただ見ることしか出来なかった。「ティル様・・・」咲良が心配そうに言う。バフを掛けようも、バリアのせいで魔力が吸われて力が出ない。「こんなときに・・・」雷牙もバリアを壊せず焦っている。ティルはヴァルキリアに切りつけ、ヴァルキリアの攻撃を避け、できる限りやっているが・・・さすが1000年前の邪悪と渾沌で満たされた過酷な世界を生き延びた魔王だ。全く引けを取らない。それどころかティルに勝ってまでも居る。「くそ・・・なんでこんな事するんだ!」ヴァルキリアはそれを聞くとククッと嘲笑った。「なんで笑う!」その答えは単純だった。「いやぁ、そんなバカげた綺麗事が言えるんだと思ってね。」その言葉には何も言い返せないほどの圧力があった。「お前らが悪だと言っている物。正義の敵はまた違う正義だ。それなのにそれを分かりもしないで潰そうとする。君は転生者だから分かるだろう?これが差別というものさ。」目を見開く。なんでこいつがそのことを知ってるんだ。誰にも言ってないはず。「おっと、近くに仲間がいる所で話されたくなかったか。分かってるよ?君が転生者だということが分かれば大半は恐れる。この世界での転生者はそちらの世界のアニメとかみたいな英雄なんかじゃない。ただ力を持った悪の塊さ。お前も元は欲望の塊、人間だったんだろう?俺もだ。俺も人間だった。だけどビルの屋上にて誰かに狙撃され、死んだ。向こうの世界で言うなら2025年の夏、8月の2日だ。」なんだって?俺が死んだたった2日前だって言うのか?時空が歪んでこれだけの時差が・・・俺が刺されて死んだのが2025年の夏、8月の4日だ。「狙撃って・・・あの事件か・・・」確か殺された被害者の名前は・・・「遠山 唯火か。」名前からして女性かと思ったが、写真を見たら男性だった。そんな感じで記憶に残っている。「そう。その通り。」しかしそれとこれは別だ。「なんでモンスターも人間も根絶やしにしたがる。」その答えも単純だった。「多くの人間に裏切られた。モンスターにもだ。」こう話している間にも戦闘は続き、体力が消耗する。「綺麗事並べて生きるのは楽しいかぁ?本当のことを言ったらどうだ?本音はどうなんだぁ?」いやらしい。「舐めてるのか?」その声は自分でも驚くほど低く・・・そして冷徹だった。それに恐怖を覚えたのか少しヴァルキリアが距離を置く。「・・・またあった時は必ず仕留める。」そう言って空へと消えていった。体の力が一斉に抜け、その場に倒れる。バリアが壊れ、みんなが出てくる。「ティル様!」まず初めに駆け寄ってきたのは刹那だった。「刹那・・・」俺は笑いかけ、親指を立てた。あとから全員が集まり、シェルターからも続々と人が出てきた。しかしまだ安心できない。「また脅威が増えたな。相手は1000年前の魔王、相当の手練だ。手強い相手になるぞ。」そう言ってつかの間の平和な空を見上げた。まだこの脅威は始まったばかりだ。
第5章「月」
一つ、森の奥深くにお寺があった。賽銭の前には巫女と狐が寝転がっている。「ねぇねぇ妖狐さ〜ん、掃除終わったからなんか飲み物頂戴〜」妖狐はやれやれと寺の中から麦茶を持ってくる。「ぷはぁ・・・生き返るぅ〜〜」そう言いながら麦茶を飲み終えた巫女は立ち上がり、「たまには寺の外に出てみない?私出たこと無いからすっごい気になる。」そうか。お前はもう忘れてしまったのか。自分が外から来たことを。申し訳ない気持ちになり、なぜかこちらが切なくなる。利用するだけだと自分に言い聞かせても、駄目だ。やはりこんな事するのではなかった。私が大人しく消えていれば、この元青年は普通の生活を送り、幸せに慣れただろうに。この神社という小さな世界に閉じ込められ、不自由な暮らしをすることなんてなかっただろうに・・・そんなことさえ思ってしまう。「そもそも私の存在意義とは、人を幸せにすることではなかっただろうか。」そう小声でつぶやく。「人の幸せを叶えても、自分が幸せになれなかったら意味ないよ。」そう巫女が言う。「地獄耳だな、君は。」巫女が笑う。「フフッ・・・なんか、行ったことのない外のこと、なんでか思い出してきたよ。」それを聞いてハッとする。まだ間に合う。まだ思い出せるうちなら・・・しかしあれからもう1億年以上経っている。今戻っても帰る場所はないだろう。それに、元の体はきっともうだめになっているだろう。代わりの体を作ろうにも、昔人間を作っていた頃の材料は底をついている。もう、この状態では助からないだろう。だからこの体であることが今の一番いい選択だ。心のなかで謝罪する。本当に申し訳ない。「ところで君、1億年も経って名前がないなんて縁起が悪い。遅いかもしれないが今私が名前をつけてやろう。」使い捨ての駒だから名前をつけるつもりはない。そう考えていた。しかし、よくよく考えると使い捨てのコマと言うよりも自分を支える大黒柱のようなものだった。そう、私は今この者がいなければ生きていけないのである。「お前の名前は・・・」そう名前をつけ終わったあと、二人(一人と一匹)は神社の中に姿を消した。いつも通り神社の中心からはまばゆい光の柱が伸びている。その光は次第に強くなり・・・ひときわ輝いてから、消えた。青年の体が、とうとう終わりを迎えたのだ。それは、巫女が自分の過去を完全に忘れた証拠であった。
第6章「始動」
部屋の中で、ケントとハルがぐったりしている。「はぁぁぁ・・・なんか急に疲れたぁ。」ハルが2つあるシングルベッド両方を使って横たわる。「おい、俺のも使うな。」ケントが叱るが、ハルはそんなことも気にせずに居眠りを始めた。「やれやれ。」そう言ってケントは防具を脱ぎ、私服に着替える。ケントの私服はティルが元いた世界のものにとてもにていた。というか持ってきたのだろう。「ふぅ・・・久しぶりにあっちの世界に帰りたいや。」そうつぶやいて、から我に返って首を振る。「だめだ。そうするとこっちの世界での困ってる人の依頼は誰が受けるんだ。」この世界に冒険者などいても数名。町に1人レベルである。そのところケントは3つの町を掛け持ちで守っている。だからこそ帰るわけには行かないのだ。「ハルを置いてく事もできないし。」ハルは転生者でもなく転送者でもなく元からこちら側の人間で、向こう側へ行くことは出来ない。逆にケントは転送者であり、召喚者でもある。自分で行き来が可能なのである。しかしかなり魔力を消費するため、クールタイムは約2日とかなり長い。とその時。窓の外が一瞬暗くなる。「久しぶりだな」低くてよく響く声が聞こえる。ケントは一瞬で恐怖を感じ、おののいて後ろを向く。そこには・・・懐かしき国王が居た。「・・・!」国王は表情を緩めて「何を驚いている。わしは本物じゃない。もう自分の目で確かめておるじゃろ。」そう。国王はもう死んでいた。「じゃああなたは?」国王は少し考えてから「国王の・・・簡単な分身といったところかのぉ。」分身使えたんだあの人。「突然だが、魔王復活はもう知っているな?」ケントは頷く。「胸元の宝石も壊したな?」また頷く。「よかった。あの宝石を壊しておかないと厄介なことになっていたであろうに。かならず奴を仕留めよ。あやつが居る限り人間もモンスターも安全ではない。」いわれなくとも。そう言おうとした時に国王がまた口を開く。「それと、ガープも始末してきてくれ。」あの国王の死体の横にいたやつか。「やつは今城で軍を率いておる。簡単に勝てる相手ではなかろう。それにガープの手下の気配も感じる。気をつけるのじゃぞ。」ケントは静かにうなずき、背を向ける。国王が消えてゆく。ケントの心臓がいつもより強く脈打った。
第7章「激闘」
「準備できたか?」町中にティルの声が響く。「出来てます!」「準備万端だよ!」「こちらもOKです。」全員準備完了のようだ。今回リゲルと稲荷と刹那と雷牙はティルの留守中に町を守るという理由で町に残ることになった。「ティルさん!」ケントも合流する。「皆そろったな。それじゃ・・・ヘルム王国へ出発だ!」魔王一行はとうとう敵の本拠地、ヘルム王国へと向かっていった。「なあ、ケントはなんでこっちの世界に来たんだ?」それを聞いたケントは少し悩んで、「ティルさんなら良いかな。秘密守ってくれそうだし。」俺は頷いた。「俺は実際ティルさんと同じあっちの世界の人だった。そこの梨花ちゃんもこっちへ来たティルさんの妹で向こう側の人なんですよね。」「ああ。」俺はそう答えた。「俺はあなた方転生者とはちがくて召喚されたんです。」召喚・・・か。「誰にだ?」ケントは少しむずかしい顔をして言う。「それは・・・自分自身にです。」自分自身に?向こうの世界ではそんなの無いはず・・・「どういうことだ?」「分からない。でも、実際俺の親は俺が生まれたその日に死んだ。そしてその親は周りが言うに肌が以上なほど白く、少し青がかっていたと。」しろくあおがかる・・・亜人だ。「俺は多分、向こうの人間だけど、こっちの亜人の血を引いてるんじゃないかなって思うんだ。」「だから召喚魔法が・・・でもなんで急に発動したんだ?」「それは・・・」ケントは少し黙ってから、「多分、あの時俺を引き取ったおじと大喧嘩をして追い出されて行き場がなくなった。そしたら足元に魔法陣が出現。ここへ飛ばされた。」なるほど。そんな過去が・・・〈ケントパート〉モンスターを殺していたときの罪悪感もきっとこれが原因だろう。そう考えるのが普通だ。〈ティルパート〉「ところで、ヘルム王国って・・・」そこまで言いかけた時。[ドゴォォォン!]となにかが砕ける音がした。「なんだ?!」すぐ目の前の岩が砕け、激しく飛び散った。「?!」ケントはすかさず全員を囲むバリアを貼る。「ありがとな、ケント。」俺は即座に羅生門の塚を掴む。羅生門を音速で抜き、斬りつける。[キィィィィン!]こいつ、硬い!ありえないほどに硬い。「オラァァァァ!」べリムが燃えさかるハンマーを鎧に向かって振り下ろす。しかし避けられてしまう。「こいつ・・・硬い上に・・・速い!」なんだこいつ。空気抵抗を完全に無視してやがる。「始末対象2人、確認しました。」やべっその騎士が鈍器を振り下ろす。皆を吹き飛ばし、俺とケントだけをのこす。「やるぞ。」「ああ。」まず俺がサンライズで目を怯ませ、ケントが魔法で強化した剣で切りつける。傷がついた。「よっしゃ!」俺が叫んだ途端、騎士の体がありえない方向へと向き、鈍器が勢いよくあたった。俺は派手にぶっ飛ばされ、岩に激突。血を吐き、地面に倒れた。「ティル!」ケントも叫ぶが、届かない。「俺がやるしか無いな。」ケントは体勢を立て直し、剣を横へと向ける。すると剣に魔力が集まっていき、鎧が構築される。「ソーサリー・アーマー!」そう唱え、鎧が完成するのと同時に突っ込む。鈍器と剣が重なり、鋭い音が出る。「大人しく静まれぇぇぇぇ!」そう言って剣を一度離し、敵の上空から突き刺す。「エンドスラッシュ!」騎士、フェラスは真っ二つになり、地面に倒れた。「ふぅ・・・なんとかなったな。」ケントは即座に他の皆を回復し、旅を再開した。「いやぁ、ケント。おまえすごい強いな!」俺は純粋にケントを褒めた。「そんなことない。魔力量ではティルさんの方があるし、それにあれは・・・前世でゲームやってたら分かると思うけど見たこと無いぐらいの長いクールタイムがあるんだよ。」なるほど。切り札的なやつね。「大体どのくらいの?」そう聞くと意外な答えが帰ってきた。「週一回。」一回使ったら結構な間使えないんだな。「ところで、あいつは?」影からずっとこちらを見ている皮膚の硬そうなモンスター。そう、アルカイックだ。「なんか面倒そうだから遠くから仕留め・・・」いない。ついさっきまでそこにいたはずなのに・・・まさか!急いで飛び退く。こいつ、いつの間に裏に!咲良、黒霧、べリムがふっとばされる。「うわぁ!?」「きゃぁ?!」「うわぁぁぁぁあ!」「3人とも!」俺が叫ぶと、敵のヘイトがこちらへ向いた。「いいぞ、こっちに来い!」アルカイックが走ってきた時、「今だ!」俺は合図をする。裏からケントと黒霧が2人合わせて斬りつける。裏から切りつけられ、怒り狂ったアルカイックは闇雲に拳を動かし始めた。「こいつ、けっこうめんどくさいな。」そう思いながらも魔法を唱える。「アブソリュート。」アルカイックを一瞬で飲み込み、エネルギーにしてしまった。「ごちそうさまでした。」俺は少し笑っていった。「ティルさん・・・」ケントは少しひいていた。「で、なんでこんなのが2体も居るんだ?明らかに普通のやつより魔力量が多い。」それでもらくらくと取り込めた。確実に強くなっているな。「何だこの違和感・・・今取り込んだものにはコアがなかった。」大体の生物は取り込んだ時にコアを感じる。でも、今のやつは全く感じなかった。「分身・・・か。」そうとしか考えられない。「分身・・・?あんな殴ることしか能のなさそうなやつがそんな事できるものなのか?」黒霧、軽々と相手をディスるな・・・「とりあえず皆警戒していこう。」そう言ってティル一行は再び歩き出した。
第8章「騎士団」
だいぶ歩いた先に少し開けた場所があった。「なんか、ここ意図的だな。」「ああ。」魔王の勘がそう言っている。来る!俺は羅生門を頭上に構えた。何かが刃に当たる。とても重い。上を見上げると・・・奴だ。あの分身と同じ見た目。やっぱりか!「おりゃっ!」相手を押し返す。「ぐっ・・・我を押し返すか。やるな。」喋れるのか。そう思ったのもつかのま、すぐさま突進してきた。「うおっ?!」すぐさま避けるが少しかすった。「ぶねぇ・・・」咲良に回復してもらい、黒霧とケントが相手をする。「うおりゃぁ!」ケントが切りつけたあとに、「礎乱舞・・・」と黒霧が技を放つ。あっという間に倒してしまった。「こんなもの私達の相手ではないな。」黒霧ほんと強くなったな。さて、先に進むか。俺等はまた歩き出した。途中、川で水分補給をしている時、どこからともなく[ガチャン]という音が聞こえた。「なんだ?」[ガシャン]まただ。まるで鎧のような・・・「・・・!」恐怖。まず感じたのは恐怖だった。そして怒りが湧いてくる。これは・・・「騎士団だ。」その瞬間背後から飛びかかってきた。「アドラフレイム」俺はノールックで敵を焼き殺す。「お前らは絶対に許さない。ロンのこと、忘れたわけじゃねぇからな・・・」そういって歩き出す。「展開。クリスタル・プリズン。」俺と騎士団だけがクリスタルのみの空間へと移動する。「な、なんだ?」騎士団は全員戸惑っていた。「終わりだよ。クリスタルスパイクウォール・・・」壁からクリスタルのトゲが大量にはえ、騎士団を刺していく。展開を解除し、騎士団を向こう側に閉じ込める。「さあ、生き地獄を味わうがいい。」俺はまだ満足していない。「流石にやりすぎじゃ・・・」ケントが言うが「いや、これでいいんだよ。」と言い返す。「奴らは俺達から大切なものを奪った。」その目には、明らかな怒りが宿っていた。「さて、咲き進みますか!」ケントの顔には明らかに恐怖が浮かび上がっていた。
第9章「派遣」
「クソ!あの役立たずどもが!」そう言ってイスを叩く。ガープは明らかに機嫌が悪い状況にあった。「おい!helldoll!クエス!出てこい!」怒鳴りつけるような声で呼ぶ。「はい。ガープ様。なにか?」「どうせ勇者一行を殺せ・・・でしょ?」ガープは黙って下を向き、「そうだ。」と一言だけ言った。「お前らはアルカイックやフェラスのようなヘマはしないだろう。必ず仕留めてこい。もし仕留めれず生きて帰ってきたものはわしの手で・・・」拳から赤いオーラが出る。「分かりました。必ずしも仕留めてまいります。」「分かったぁ!楽しくなりそうじゃん?」そう言いながら2人は正面の扉の先へと消えていった。その後ガープが口を開いた。「そして・・・魔王よ。お前は本当にわしを手伝ってくれるのじゃな?」玉座の裏に魔王が現れる。「もちろんさ。その代わり君も僕の願いを聞いてもらうからね?」その声は優しながらどこか狂気じみていた。
第10章「旅路」
出発3日目。魔王一行は全員今の簡易飯に不満を感じ始めていた。美味しくて栄養が取れるのだが・・・腹持ちが良くなく、すぐに腹が減る。「普通の・・・ご飯が・・・食べたい・・・よ・・・」梨花が今にも死にそうな声で言う。「耐えろ・・・梨花・・・あと数日だ・・・」栄養などは大丈夫だが、状態的にお腹が空いている状態がずっと続いているのだ。黒霧や咲良は空腹という概念が無いらしい。「いいなぁ黒霧と咲良は・・・空腹でも平気だって・・・」そしてケントとハルはなぜか空腹を感じていないようだ。そういえば・・・「私も大丈夫だよ?」アクリアはそもそも食事をしなくても生きていける。「アクリアはどうやって栄養取ってんだ?」アクリアは少し考えてから、「栄養と言うか・・・なんというか・・・私は植物みたいに光合成で栄養作ってるんだよ。」驚きの事実。ここに来て初めてなことが分かった。やっぱりずっと一緒にいる仲間でも知らないことはあるんだな。「で、べリムはもう歩けないと・・・」俺は背中におんぶしていたべリムを見る。「・・・ははっ・・・すまねぇな。」まあ仕方ない。しっかりした食事は川辺とかの魚とかがいる場所で野宿しているときしか食えないからな。実際俺も魔王のくせに空腹で嫌な感じだ。少し背の高い草の中からガサガサと音が聞こえた。「なんだ?」そう言って草むらに近づくと・・・巨大なドラゴンが顔を出した。「どわっ?!」俺は驚いて飛び退く。が、即座にロンの言葉を思い出した。〈回想〉「見た目や表面の硬さの割には柔らかくて美味しいぞ?」 考えただけで涎が出る。草むらに居たドラゴンは唸りもせず口を開け、ブレスを放った。妄想をしていたティル以外は避けたがティルはモロに喰らい、焼け焦げた。「・・・お前・・・・美味しく調理されたいか。」ティルの顔にはなぜか笑顔が浮かんでいた。一瞬にして赤い線が出たと思うとドラゴンが倒れる。「よっしゃ・・・食材ゲットだぁ!」べリムが駆け寄ってくる。「ドラゴンだ!一回しかくったことねぇけどめっちゃ美味かったのだけは覚えてる!」梨花も目を輝かせている。咲良は空腹を感じないが、ドラゴンを見ると手を伸ばし食べようとした。黒霧は遠慮していたがやはり食べたそうにしている。鬼人ってこういうの生で食べるんかな・・・俺はすごい形相で黒霧に停められている咲良を見て少し苦笑いした。「まてまて、今日の夜な!」そう言って俺はドラゴン肉をカバンにしまった。アクリアはその風景を見てクスッと笑った。また俺達は歩き出した。
第11章「戦」
「・・・なんだこれ?」俺達は一つのあからさまに罠な看板の前で立ち止まった。看板には・・・[ここから右に行ってね☆]と書いてある。「左行こう。」「だな。」「だね。」と全員無視。そして右へ行くと・・・また同じ看板があった。「こんどは右か・・・左行こう。」「うん。」「その方が良さそうですね。」皆右へと行った。すると裏から、「ちょっとぉ?!せっかく道案内してあげようと思ったのに!」と聞こえてくる。「誰だ?」と言いながら俺は裏を向く。そこには人・・・ではなく悪魔なのだろうか。そのような見た目の女性が居た。まだ子どものようだ。「遊びに付き合ってるひまはないんだ。」そう言ってまた前を向いて歩き出す。「ちょっと!」女性がそう言った瞬間目の前に紫色の鉄格子が降りてきた。「黒霧!」俺はとっさに合図をした。黒霧が女性を斬りつける。が、避けられてしまう。「helldoll!出てきていいよ〜!」女性はそう言って呼んだ。するとロボのような近未来デザインの奴がでてきた。「お前らは・・・」そう言いかけると2人は名乗りだした。「あたし達?あたしはクエス。ガープ様の側近小悪魔で〜す!」「私はhelldoll。機体番号:G001。ガープ様によって作られたサイボーグです。」ガープ・・・あいつからの使者か。「邪魔するんなら・・・叩き潰すのみだ。」そう言って皆が戦闘態勢に入る。「こわぁ〜」笑いながらクエスはバカにしたような口調で言った。「クエス、あまり奴らを甘く見るな。分析結果が未知数だ。」そういった瞬間、helldollはティルの眼の前に一瞬で移動し、「一番厄介なやつを先に始末します。」とだけ言い、右手を突き出した。次の瞬間極太の光線が右手から発射され、ティルを襲った。「うおっと?!?!?!」ギリギリでかわし、負けじと反撃をする。「アドラフレイム!」赤い光線が放たれる。しかしhelldollは軽くかわした。「あたしのこと忘れられたら困るな〜」しまった!いつの間にかクエスに背後を取られていたのだ。「残念でしたぁ」クエスは小声でそうささやいてから後ろから突き飛ばしたのだ。「ティル様に何をする・・・」黒霧がクエスに切りつけ咲良がバフを掛ける。「俺達もただ見てるだけじゃ駄目だ。加勢するぞ。」ケントもhelldollへと切りつけ、高く飛んだと同時にハルと梨花の魔法が飛んでいく。クエスの方ではべリムが自分とティルにバフを掛け、コンビネーションで総攻撃をしている。「なに・・・こいつら!」クエスがわめき声を上げる。「予想外の状態。」helldollも混乱している。「helldoll!アレ発動して!」アレってなんだ?「分かりました。バーストモード、発動。」helldollの外部パーツがいくつか剥がれ、バーナーがでてくる。「そしたらアタシが・・・」helldollの胸部が開き、人が一人入れる大きさの空間が出来た。「よいしょっと!」なんだ?標的が一つになったのは良いが、なにやら厄介そうだ・・・「「よそ見してるひまがあったら周りをよく見な!」」背後からこえがした。まずい・・・!俺は即座に体をそらし、避けた。「「隙アリィ!」」俺は背中を蹴られ、勢いよく中を舞った。パワーが上がっている!空中で体勢を立て直すと、間髪も入れずにすぐ攻撃が入ってくる。が、急にhelldollとクエスの動きが止まった。「ティル!今だよ!」アクリアが束縛魔法で止めているのだ。俺はうなずき、勢いよく言い放った。「羅生門・・・開門!」羅生門から赤い覇気が出る。開門の能力、人の思いの量だけ威力が上がる。ここに居る総勢7名・・・その思いをこの一撃に乗せる。「終わりだ。カオス・ナイトメア!」羅生門の赤い覇気が黒色の炎へと変わり、その炎が悪夢のように襲いかかる。「ふぅ・・・なんとか、倒せたな。」俺達は疲れ切り、その場で野宿することを決めた。
第12章「ドラゴン肉パーティー!」
俺達は捕まえたhelldollとクエスの横でドラゴン肉を調理していた。クエスは食べたそうに見ているが、特殊な檻で抜け出せない。helldollはシャットダウン状態になっている。「さて、出来たぞ!」こんがりと焼けて油でテカテカしているお肉が焚き火の上でジュージュー音を立てている。皆は1人一個ずつ(一個と言っても一個一個が頭よりも2〜3倍デカい。)「うまっ!」「おいし〜」などと言ってるやつらや、無言で食べてる奴らも居る。「おい!アタシにもよこせ!」図々しくクエスが檻の隙間から手を伸ばす。俺はクエスに近づいていく。「な、なによ。」急に近づかれて戸惑っているみたいだ。「ガープの今の戦力、ガープの弱点、魔王は今どこにいるのかを教えてくれたら解放はしないが一つあげてやる。」クエスはよだれを垂らしながらも・・・「じょ、情報は・・・やらん。」「なら肉はやらんぞ。」そう言うと慌てて「ま、まて!分かった!情報言うからそれ頂戴!」7人全員がクエスを見る。「「「「「「「言ったな?」」」」」」」クエスはそのご、取り調べのように全て聞かれた。その後、ドラゴン肉にありついてまあ幸せなようだった。そして夜が明け・・・「出発するか!」俺達は歩き出した。「ちょっ・・・!アタシたちの事はどうすんのよ!」後ろで何やら騒いでいるが気にしない。「そこでちょっとは頭冷やしとけ〜」そう言ってクエスとhelldollはその場においていった。
第13章「王国」
俺達は王国へとついた。「ここが・・・ヘルヘイム王国・・・!」想像よりもかなり大きく、人で賑わっていた。「皆、モンスターだとバレないよう、人間に変身しておいてくれ。」ティルは新しく覚えた変幻自在の人間変身を使った。見た目は中年男性。壱だったころと見た目は似せている。もともと人間である三人は別に変身しなくてもいいが、ガープに顔を覚えられているので仮面をつけることにした。王国のいたるところに騎士団がいて、見張りをしている。その横をすっとすり抜ける。「案外バレないもんだな。」そうべリムが言う。「まあ実際この国内は騎士団が守ってるから来るはずないって言う理由で守りが弱いからな。」ケントが言う。「とりあえず城まで行くぞ。」俺はそう言って歩くペースを少し上げた。クエスが入っていた通りなら・・・あった。「城の裏口か。よく教えてくれたな。流石に肉が食いたいだけでここまで教えてくれるとは。」ああ。ガープは気の毒だな。俺達は裏口から入り、監視を避けながら最上階の王の間、現在のガープの部屋まで来た。「行くぞ・・・」皆頷く。扉を開き、「観念しろ!」と叫ぶ。玉座にふんぞり返っていたガープが驚き落ちる。「お主ら・・・」ガープは顔に手を当てた。「helldollとクエスは何をしている・・・あの役立たずが。」そう言ってすぐにケントを見てティルを見る。「お前らは生かしちゃおけんのだ。ここで叩き潰す!」そういった瞬間・・・ガープが消えた。「ここまでご苦労さん。」玉座の裏から姿を表したのは・・・・・「ヴァルキリア・・・!」ティルは押し殺した声で言い放った。「私の計画がやっと達成される。さあティル君、私と一緒に世界を作り直さないかい?私たちが全てを従えることのできる世界を作ろう。」「嫌だ。」ヴァルキリアは顔をしかめた。「なら、力ずくでも君を奪う。君の力が必要なんだ。死んでも構わない。支配者が私だけになるだけだ!」一瞬にして俺とヴァルキリアだけが別ディメンションへと移動した。「さあ、決着の時だ。」「ウオォォォォ!」2人の魔王がぶつかり合う。その時・・・白い光が生まれた。その光は時を超え、世界を超え・・・あの壱が死んだ日へと戻る。そして・・・壱に宿った。それは現の終わりでもあり、異の始まりでもあった。
第14章「決闘、そして帰還」
俺とヴァルキリアは激しくぶつかり合い、両者どちらとも引いていない。「クソ・・・このままだと決着がつかねぇ・・・開門!」羅生門を開門する。しかしヴァルキリアも強化の手を持っていないわけではない。「ならば・・・死者の鼓動!」紫色のオーラがヴァルキリアの体中から立ち上る。そしてさらに激しい戦いが始まった。その間にも白い光は大きくなっていく。「うおぉぉぉ!」「うあぁぁぁぁ!」2人の全力がぶつかる。「クリスタルナックル・グランドフィナーレ!」「ナイトメア・ヴァロラント・フィニッシュ!」白い光が最高潮に達した時・・・勝負が決まった。ヴァルキリアはディメンションの底へと落ちていき、ディメンションは崩れ始めた。「まずいな。ここにいたら俺も消える!」そう考えたときにはもう遅く、俺は崩壊に飲み込まれた。白い光りに包まれ目を覚ますと・・・底には自分が居た。名前をつけられる前の自分だ。「なんで・・・」俺の言葉を遮るようにもう一人の俺は「もう死んだのか?情ねぇなぁ。」どう考えても俺じゃない「お前は・・・」「俺はお前だ。ただ一つ、俺はお前だが・・・意識などはお前とは違う。俺はこの身体自体だ。俺が生きているってことは体も無事。そしてお前が生きてるってことは普通に大丈夫ってわけだ。で、戻り方は俺が知ってる。ここから戻っても、体に任せれば良い。」それだけ言うと白い光が遠のいていく。俺は目を閉じ、体の動くままに身を任せた。気づいたときには俺は地面に横たわっていた。「お兄ちゃん!」「「ティル!」」「「ティル様!」」「ティルさん!」皆が集まってきた。「は、はは・・・やってやったぜ。」俺は横たわりながら空に向かって拳を突き上げた。意識が遠のいていく。もう、十分頑張った。そう思った。
第15章「いつまでも」
俺はいつも通り起きて、階段を降り、朝食を食べ、外に出る。周りからは挨拶などが飛び交う様子が聞こえる。今日も・・・平和だなぁ。裏からは黒霧や梨花。べリムや稲荷だったりとみんなが声をかけてくれる。いつものように咲良と刹那は俺を独り占めするために張り合い、黒霧は俺とまた新しい仕掛けの物を試行錯誤して、アクリアは自分の研究室にこもり研究を。いつまでも、こんな日々が続くと良いな。
エピローグ
俺はあの騒動から数日後、ある術を覚えた。「リ・ブート!」目の前に黄色い光が現れ・・・二人の人間が現れた。ロンとその姉、ナギだ。「・・・ボクは・・・」そう言ってロンはあたりを見回して・・・姉を見る。「姉ちゃん・・・!」ナギも生き返ったのが不思議なようだった。そこへ俺が抱きつく。もう涙を抑えられない。「「・・・!」」2人ともこれで状況が把握できたのか・・・「おかえり・・・」「ただいま・・・」とだけつぶやく。その言葉は小さく、周りには全く聞こえなかったが、心のなかには大きく、そして広く響いた。
〜完〜
ここまで魔王転生を読んで頂きありがとうございました。登場させておきながらティルたちに干渉しなかったキャラや、出てくるような描写をしながら出てこなかったキャラなどが数名いますが、そこのところは優しい眼力で見つめてください(?)。魔王転生は一旦これで完結します。まだ続き出すかもしれないので、その時はまた、よろしくお願いします!




