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ヒーローになりたくて頑張った結果警察から国の敵になりました〜丁度いいので復讐します〜  作者: ねぎマイト
旧友に会いに行くだけのごくごく普通のお話
11/31

10話 ヒーローさん攻略開始です

よろしくお願いします

 *悠里サイド*


 ビルの真下には難なく着くことが出来た。ビルの外装はなんとも質素で、窓などがなく、空気をビル内に供給するためだけの小さな穴が無数にあるだけの、ただの四角いコンクリートにしか見えない。


 しかし、普通のビルとは違うところがある。通常は大規模なビルの敷地面積は三千平方メートルほどなのに対し、ハピネスの所有しているこのビルはおおよそ、六ヘクタール、つまりは六万平方メートルあるのだと、以前聞いたことがある。


 実際、最初にここへ来た時、何かの競技のスタジアムに来てしまったかと、見まごうほどだった。

 街外れということもあり、周りには建物はあまりなく、あるのは田んぼや畑、農家さんたちの家くらいなものだ。


 田舎の風景には似合わないその塊は、明らかに異彩を放っている。


 ちなみにハピネスは基本的に家の外に出ることがないため、農家さんたちの家の電子機器類を直すのと引き換えに、食料を頂いている。


 そんなこともあり、あいつはご高齢の方としか、まともに話せない。


 俺と瞬は入り口まで歩いていくと、ある白い物を見つけた。それはロボットだ。顔はマスコットキャラクターのような愛くるしさで、首より下は人間のような体。それなのに下はキャタピラで、前に進んだり、後ろに下がったりを繰り返している。遊んでるのかな?


 それはゆっくりと笑顔でこちらに近づき、機械的な声で話しかけてきた。


「こんにちは!僕、ミルク!この施設の案内人です!今日はどのようなご要件でしょうか?」


「表情が切り替わるのか!?」


 瞬は目をキラキラとさせ、そのロボットの周りをぐるぐると歩き、どういう構造なのかをじっくりと見る。


 確かに、これはすごいな……。テレビでよく見るロボットのぎこちない動きが一切無く、関節部分が滑らかに動いている。それに、表情のバリエーションも豊かなようで、瞬に見られるのを恥ずかしがっているかのような表情をしている。


「きょ、今日はハピネスに会いに来たんだ。アポはないんだけど、悠里が来たって伝えてくれたら……」


「ユウリ様ですね!かしこまりました!少々、お待ち下さい!」


 方向転換は上半身をぐるっと回転させて行うらしい。目の前で急にされるとビックリするな……あとでハピネスに伝えておくか。


「すっげー……」


 瞬がロボットを見送ってから放心したまま、帰ってこない。


「瞬くん〜?大丈夫?」


「──っ!?だ、大丈夫さ。ハピネス……噂程度にしか聞いてなかったけど、こんなに凄いのか」


「まあ、あいつは無償で人助けなんてしないからね。国からの要請を蹴ろうとした時はどうなることかと……」


「お待たせしました!ユウリ様、どうぞこちらへ!」


 ミルクが満面の笑みを浮かべて扉の前で待っている。ああ……読めた。俺は瞬を自分の方へ抱き寄せ、


「瞬、何があっても離れないこと。守れるか?」


「あ、ああ。分かったが、何するんだ?」


 扉はかなり重厚な造りで、客人をどっしりと待っている。

 扉の前に立つや、警報が鳴り響き、アナウンスが大音量で流れる。


『悠里!?ほんとに悠里なのか!?』


 女性が大声で焦ったように言う。って大声!


「ちょっ!?何のために、こそこそ来たと思ってんだ!」


『そんなことどうでもいい!それで、アンダードッグくんはどこだ?いるんだろ?』


「居場所を言ったら、お前、あれに付き合わせるだろ。あれは人が耐えられるものじゃない。というか、あんな事するから知り合い少ないんだぞ?考え直して、今回は別のに」


『ダメだ』


 そうなるだろうなとは思ってたよ。俺は扉から離れ、勢いをつけて蹴破った。強行突破の方が早い。


 なにやら騒いでいるが、気にする必要はない。ここに来たら、だいたいこうなる。悪気はあるが、ここで長々と話していては埒があかない。


『いいさ!あんたがそう出るなら、あたしにだって考えがあるんだ!昔みたいにはいかないよ!』


 警報が鳴り止み、ミルクの顔が怒りの感情を表す。そして、白色のボディが徐々に赤色へと変色していき、扉付近の壁や天井を破壊し始め、入り口は完全封鎖された。


 入り口を塞ぐのもいつものことだな。なんだ、そんなに身構える必要もなさそうだ。


「ちょっと!なんで相手を怒らせるようなことするのさ?」


「んあ?あいつ、頑固だからさ。こうでもしないと普通に会ってくれないんだよ。それにあそこでいいよって言ったら……」


 思わず身震いする。あんなのされたら正気を保てん。


「な、なんなのさ?ねえ、言ったらなんなのさ!?」


 ずかずかと、上に繋がる階段を登る。エレベーターがあるけど、どうせ、あそこの電気は落とされてるから乗れない。


 このビルの内装は階層ごとにバラバラだ。一階はエントランス。二階から五階までは迷路のように入り組んだ通路。侵入者を一生、ここに閉じ込めるために様々なギミックが施されているのが特徴だ。六階から十一階までは研究所。従業員はハピネスが操作するロボットのみ。ここはあいつも壊されたくないらしく、いつもはエレベーターに乗せてくれる。


 十二階から二十階は、あいつの崇拝者が作業している工房。俗世間から隔絶された特殊な環境なため、やばいやつが多い。ハピネスの気まぐれで、場所を提供してあげたらしい。彼らは自給自足しているが、それらの食材はハピネスに渡ることはない。……崇拝してるんだよね?


 ここからは最上階まで動物ゾーン。動物たちとの触れ合いタイムが始まるのです。なんて和やかなのでしょう。


 計二十五階の踏破。そうして、ようやく彼女の部屋のある二十六階に行ける。


「それじゃ、最上階まで攻略開始と行こうか」


 振り返ると、そこに瞬の姿は無かった。

悠里の言う『あれ』……うう、怖い。

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