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白銀妖精のプリエール  作者: 葵 嵐雪
第三章 バタフライフェザーカノン
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第三章 第十九話 戦いの地へ

 駐留地を築いたスノラトは翌日から狼煙と篝火を使って敵と味方を集める。既に何度も行っているのでフライア兵は慣れた手付きで昼には狼煙を上げ続け,夜には篝火を焚き続けた。こうして攻めて来たブラダイラ軍を迎撃し,助けを求めるように近づいてきたフライア兵を救援した。そして周囲に敵味方共に居なくなったと感じたらスノラトは更に奥地に向かって侵攻を再開する。

 途中で何度も駐留する事一ヶ月,すっかり山道に慣れたフライア軍は遂に作戦の終着地,タイケスト山脈の麓に駐留していた。東には高い山々が続くタイケスト山脈の下でスノラトが率いるフライア軍は戦力を八千にまで増やす事に成功していた。

 小隊を少しずつ投入した兵の総数は約一万,それが散り散りに成っていたのをここまで集めたのだから上出来とも言える。だが,素直に喜べない報告がスノラトと将兵達に届いた。それはカセンネも独自の情報網で得た情報であり,エラン達もイブレから聞いていて知っていた。それはブラダイラ軍が四万の兵を率いてスノラト達が居るロミアド山地へと進軍を開始したとの知らせだった。

 報告を受けたスノラトは各分隊長を集めて軍議を開いたが,撤退するか留まって援軍を待つ,その二つの意見に別れて軍議では言葉が飛び交っていた。そんな中でスノラトとイブレだけは何も言う事はせずに唯々沈黙を続けていたために,数日経っても軍議が終わる事はなかった。そんな状況下でエランは山頂に登って南の方を見ているとカセンネとレルーンが,すっかりエランが行きそうな場所が分かっているので話をする為に登って来た。

 タイケスト山脈ぶつかった風が上下に割れると,下に向かった風がそのまま山に沿って進むとエランの髪を揺らし日差しが当たって白銀色の輝きを散りばめる。そんなエランの横に並ぶように立つカセンネとレルーン,二人とも山頂ながらの空気を肌で感じるとカセンネから話を切り出してきた。

「今日も正規軍は言葉で殴り合っているみたいだね。けど,そろそろ決めても良い頃だとあたしは思うんだけどね」

「八千の人間が納得するのは難しい」

「あ~,論点はそこに成っているんだね~」

「少なくともイブレとスノラト将軍はそう考えているみたいですよ」

「まっ,エランと同様にあの二人は最初からそのつもりみたいだからね」

「そういう団長さんも乗るだけの価値があるからここに居んだろ」

「はははっ,そいつは確かだね。それはそうと新しい事が分かったから知らせにきたんだよ」

「何?」

 カセンネが独自の情報網でブラダイラ軍を探っている事はエランも知っているので,短く問い掛けるとカセンネは当たり前のように持っている情報をエランに提供する。

「ブラダイラ軍を率いているのは宿将とも名高いテリング=ウル,そしてテリングの右腕とも言われている弓将軍トジモ=マワ,なんでもブラダイラでは随一の弓使いと言われる程だよ」

「っで,そのテリングって奴が四万の兵を率いてこっちに向かっているって訳だな」

「そうなんだよ~,それに四万の兵が集まったのも『私達』が関わっているから複雑だよ~」

「どういう事ですよ?」

「あたし達がハルバロス軍に参戦してゼレスダイト要塞まで落としちまったからさ。だからディアコス国はしばらくハルバロス帝国に掛かりっきりに成ると読んだテリングがディアコス国を睨んでいた兵を戻して四万もの兵力に成ったんだよ」

「つまりだ,今のディアコス国にはブラダイラ王国にまで構っている余裕はねえって事だろ。形としてはディアコス国はハルバロス帝国に領土を取られたのと同じようなもんだからな」

「あははっ,イクスにしてはまともな意見が出て来たよ~」

「お前だけには言われたくねえよ」

 笑いモノにされたイクスは怒気を含めた声を発するが,そんな事を全く気にせずにレルーンは気楽に笑っているとハトリが大きく溜息をついてから話を戻す。

「それでですよ,そのテリングとはどんな人物ですよ?」

「先代の国王から仕えている将軍で,今では軍事将相って軍の一番上に居る程の人物だね。知っている通りに今のブラダイラ国王は愚王として周囲に知られているけど,それでも反乱が起きないのはテリングがしっかりと軍事と治安を維持しているからだよ」

「そんな大物がわざわざ出て来るなんてよ,何か理由でも有るのか?」

「あ~,やっぱりイズンの存在だと思うよ~。ブラダイラで大きな顔で居座っているイズンを自らの命を張って軍に従事しているブラダイラ兵から見れば面白くないからね~,もっと言うなら疎まれているからだよ~」

「話に聞くだけでも贅沢三昧としか言い様がないのが分かるですよ。そうなるとですよ,ブラダイラ軍としてはイズンの手を借りずに自分達だけで戦功を上げたいと思っていても不思議ではないですよ。だからイズンではなく兵力を出してきたと考えるべきですよ」

「その通りだよね~,余所者に大きな顔をされてたら不公平だと思うよね~」

「って,レルーンの姉ちゃんがそれを言うのかよ」

「無駄だよイクス,レルーンにはあたしが言っても無駄だからね」

「いや~,そんなに褒めなくてもいいですよ~」

「褒めてないですよ」

「ハトリ……寛大さは必要だよ」

「何かレルーンの姉ちゃんが良い顔で無意味な事を言い出したぞ」

「とうとう頭がおかしくなっただけですよ」

「イクスとハトリが虐めるからエラン助けて~」

「そんな事よりもまだ聞いてない」

「そんな事は酷いよ~」

「レルーン」

「んっ,何,エラン?」

「五月蠅い」

「はははっ,確かにその通りだよ」

 エランが放った言葉に貫かれたレルーンは崩れるように地面に座り込み,そんなレルーンとは正反対にハトリとカセンネは笑い,イクスは大爆笑していた。まあ,エランとしては肝心な話を聞いていないので,それを聞く事を重要視した事がレルーンには渾身の一撃と成った。そんなレルーンを放っておいてカセンネが話を続ける。

「それでエランは弓将軍トジモについて聞きたいと」

「うん」

「トジモは弓将軍と呼ばれる程の弓の名手であるのと同時に弓兵を用いた戦術を得意としているブラダイラの将軍だよ。トジモはブラダイラだと並ぶ者が居ない程の弓を得意としているのさ,更に弓兵を率いれば援護射撃や城壁射撃だけじゃなく弓兵だけで敵の一軍を倒した事もある程に油断が成らない相手だね」

「随分と持ち上げるじゃねえか」

「そりゃあ,そうだよ。なにしろブラダイラ軍は弓兵が強い事で有名だからね,だから弓だけで将軍に成る奴なんて居ないんだよ,そのトジモを除いてはね」

「そのトジモはテリングの右腕と聞いたですよ」

「あぁ,その通りだよ。これもブラダイラでは有名な話だけね。そのトジモを見出して将軍にしたのがテリングなのさ,それ以来トジモはテリングを慕い奮闘して,遂には弓将軍と呼ばれるまでに成ったのさ」

「随分と名が知られているみてえだが,俺様達は今さっき聞いたばかりだぞ」

「それだけイズンがスレデラーズを使えている」

「つまりイズンが現れてあっさりと塗り替えられたですよ」

「そして今やブラダイラの守護神様としてやりたい放題って訳だよ」

「でもでも~,この二人はブラダイラでは最も名を馳せている将軍だからね~。油断なんかしてたらあっという間にこっちが全滅だよ~」

 やっと精神的に復活したレルーンがそんな言葉で話を締めくくると,エランは少しだけ前に進み出たら。地面に右膝を付いて生えていた雑草を握り締めるとそのまま抜き取った。そして観察するように雑草を見続けるエラン,何も言わずに動いたエランの行動に何の意味が有るのかとカセンネとレルーンはエランの所まで進むとカセンネがエランに話し掛ける。

「それでエラン,何をしてるんだい?」

 カセンネがそう問い掛けるとエランは立ち上がって,カセンネ達の方へと振り向くと手に取った雑草を突き出した。それからやっとエランは口から声を出す。

「少しだけど乾燥してる,もしテリングがここに目を付けてたら確実に火矢を使ってくる」

「なるほどね,確かに有り得る話だよ」

「けどですよ,それをやるかにはブラダイラ軍もそう簡単にロミアド山地に進む事が困難に成るですよ」

「うん,だからブラダイラ軍にとっては最終手段に成ると思う」

「まっ,そうだろうね。けどそれを考えると……少しは面白いかもね」

「面白い?」

「可能性の話だよ」

「分かった」

 言葉を出し終えたエランが手にしていた雑草を地面に落とすと,ロミアド山地から一気に降りてきた風が駆け抜ける。その風に巻き込まれて雑草は地面に落ちる前に空を流れていく。着地点が全く分からない雑草のように,エラン達も未だに見ぬ敵に感心を向けていた。それはイブレやスノラトも同じだったが,違う点は軍議が大荒れという点だけだ。

 イブレとスノラトが出席している軍議は何日も続いており,既に各部隊長達は論点が何処に有るのすら分からなくなっていた。それでも自分の意見を出し続けるのは四万ものブラダイラ軍が自分達に迫っている危機感から来るモノだから感情的に成っても不思議ではない。そんな軍議の中で沈黙を続けるイブレとスノラト,もちろん結論をスノラトに何度か求めたが,スノラトは結論が出るまで議論をしていないと引き続き議論を続けるように命じた。

 だから論点が分からなくなっていても不思議ではないが,ブラダイラ軍に対する対応に関してはそれぞれに意見を出していた。ここに留まりロミアド山地で分断したブラダイラ軍を各個撃破を主張する者,国境線まで退いて分断して攻めてくるブラダイラ軍を叩けば良いと主張する者,四万もの兵に勝てる見込みが無いと本国にまで撤退を主張する者とそれそれ意見を出すが,どれも一長一短であり他の賛同を得られない為に軍議が続く運びとなった。

 最初は怒鳴り合っていたフライア軍だったが,軍議の日数が進む度に元気が無くなり次第に声も小さく成り,今では日常の会話程で使う声量で議論を続けているが,やはり結論などは出はしない。それは各部隊長達も分かってきた事だがスノラトが結論を出さない限りは何も決まらないが,スノラトからは結論が出たら発言すると言われたのでフライア軍の部隊長達は議論を続けなければ行けなかった。

 既に言葉の殴り合いにも成っていない議論会場で声が出る部隊長はそれぞれの意見を主張するが,既に声を出す元気が無い部隊長は頭を抱えて黙り込んでいた。そんな時だった,一人の部隊長がふとイブレに目を向けると,今まで見てきた事が無い程に真剣な表情で黙っているイブレの姿が瞳に映ると,この軍議を終わらせる方法を見つけ出したかのように立ち上がって大声で主張する。

全員傾注けいちゅうっ!」

 突然の声と言葉に各部隊長が議論を止めて立ち上がった部隊長に注目する。そして全員の注目を集めた部隊長が立ったまま自分の意見を出す。

「このまま我らが議論を続けても結論には至らないだろう。ならば,そこに居るイブレ殿の意見を出してもらった方が良いのではないのか。ここまでの作戦もイブレ殿が発案者である事は皆も承知しているはず,それにイブレ殿には既に考えが有ると思われるがいかがか?」

 イブレに意見を求める立ち上がった部隊長,そしてイブレ以外は気付かなかったがスノラトの口元が微かに笑っていた。自分が指名された事で今まで黙り込んできたイブレがやっと発言する。

「それでは言わせてもらいましょう,この地より後退するのは愚策」

「では留まるのかっ!」

「そう焦らないでください,出来れば私の意見を全て聞き終えてから発言をしてもらいたいのですが如何でしょうか?」

「うっ,うむ,済まなかった。それではイブレ殿,続きを聞かせてくれ」

「ええ,もちろんです。それでは,この地に留まるのは無意味。ブラダイラ軍が私達の場所を確認する事が出来てもロミアド山地にまで進軍してくる確率は低いでしょう。むしろ,大軍を見せ付けて私達が退いた背を討つ方を選ぶはずです。ここから後退するのも同じです,こちらの進軍が間に合わなければ国境線に辿り着くまでに多くの兵が背を討たれる事に成ります。最も,これはブラダイラ軍がロミアド山地に辿り着いてから行動を起こした場合です」

「つまりイブレは今のうちにブラダイラ軍に対して備える必要が有るという訳だな」

 今まで黙り込んできたスノラトもここに来てやっと発言すると,イブレはその通りと頷いてから話を続ける。

「それとここに居る全員が知っているようにロミアド山地はブラダイラ領です,なのでブラダイラ軍なら私達も早くロミアド山地を抜ける事が出来るでしょう。ですが,それは私達を見付けられなかった時にブラダイラ軍が起こす行動であり,最初からブラダイラ軍と対峙する形にすればブラダイラ軍は複雑な地形をしているロミアド山地を警戒して進軍を止めるでしょう」

「少し待ってくれるかイブレ殿っ! それはこの寡兵でブラダイラ軍と戦う事を意味しているのではないかっ!」

「いえ,戦う必要は殆ど有りません。上手く行けば全員が無事に本国に戻れます」

「ふっ,そこまで言うと出来過ぎた話に聞こえるぞイブレ」

 スノラトが少し茶化すような事を言い出すが,イブレは軽く笑ってスノラトの言葉を肯定すると話を続ける。

「ですが,そこまでやるには真っ先にやる事があります。それはすぐにロミアド山地の最南端,出口とも言える場所に布陣する事です。そして多くの本陣を建てる事でこちらの兵を多く見せます,上手くブラダイラ軍を騙す事が出来れば敵がロミアド山地に進軍する事は決して有りません。簡単に言えば外連味けれんみを用いる事でブラダイラ軍を足止めする事が出来れば,こちらが上手く退くとも出来ますし,状況次第ではブラダイラ軍に打撃を与えて後退させる事も出来ます」

「ブラダイラ軍をここから退かせる事が出来れば本国からの増援も間に合うという訳だな」

「はい,その通りです。ですが,相手は四万ものブラダイラ軍ですので,何の手も打たないで留まったり退いたりすれば四万ものブラダイラ軍がロミアド山地に入ってくる事になるます。ロミアド山地はブラダイラ軍も知っているでしょうから地の利は無いも同じ,逆に利用される可能性が有ります。それに四万もの兵に囲まれれば撤退する事は出来ないでしょう,だからこそブラダイラ軍がロミアド山地に入らないように手を打つ必要が有る,というのが私の意見です」

「……ふむ」

 少しの間を置いて考える仕草を見せるスノラト,まあ本心では既に決まっているが先程エランが言った通りにスノラトは八千の兵を率いる責任がある。その責任を無視して勝手な行動を起こせば兵は言う事を聞かなくなっても不思議ではない,まあ兵を無駄死にさせる将軍には誰も付いては来ないという事だ。だからこそ決断をしないスノラトに各部隊長が意見を出してくる。

「スノラト将軍,どうかご決断をっ!」

「ここはイブレ殿の策が最善かとっ!」

「イブレ殿の賢策を聞いたからには時間を無駄にすべきではないと考えますっ!」

 それぞれにイブレの策に同意する言葉を出してくる部隊長達だが,ここはあえてスノラトはイブレに問い掛ける。

「だがイブレよ,ブラダイラ軍が我らのはったりに付き合ってくれるとは限らないのではないか?」

「まず,それは無いと考えております」

「その理由は?」

「ブラダイラ軍を率いているのは宿将と誉れ高いテリング軍事将相,そのテリングは手堅い戦をします。確実に敵軍の情報を得てから勝てる策や戦を仕掛けて来ます,そのテリングが不確定要素が多いロミアド山地へ簡単に入って来るとは思えません。そう言った意味でもロミアド山地は我らにも有利な地形と成り,眼前に四万の兵を布陣させてもすぐに動かさずにテリングは我らの情報を得ようと画策するでしょう」

「それは逆に言えば我らの情報が漏れれば一気に逆転されると言っているのと同じではないか?」

「そうとも言えますから,絶対に我らの情報が漏れない様にする必要があります」

「その手段とは?」

「幾つかありますが,最も適した手を打つ為にはこちらが先に戦場に辿り着く必要があります。実を申し上げれば実際に行って現場を見てから手を打った方が確実だからと言うだけです」

「なるほどな,良く分かった。……さて,これでイブレの策を全て聞いたと思えるが他に意見がある者は居るか?」

 その様に各部隊長達に問い掛けるスノラトに対して声を上げる者は居ない。それもそうだ,スノラトはこれを狙っていたからこそ誰も何も言えない。

 最初からスノラトはイブレに頼っている,形的にはイブレは何ヶ月もスノラトの配下でフライア軍に従事していたとも言えるからだ。だからこそ自分を含めてイブレ以上の策は誰も出せない事は分かりきっている,かと言って最初から形だけの軍師であるイブレに頼る訳には行かないのは軍議に集まった部隊長達にもフライア軍としての矜持を尊重する必要が有った。だからスノラトは軍議を数日に渡って続けたのは自分からではなく,部隊長達からイブレの策に頼るように仕向ける為に沈黙を続け,イブレもそれが分かっているからこそ今に至るまで自ら発言をしなかった。

 スノラトもイブレも自然な形でフライア兵がイブレの作戦を受け入れるように取り計らう必要が有ったという事だ。そうする事で部隊長達も自分の意思でイブレの作戦に従う必要が有ると自覚するようにさせなければ,とてもではないが四万ものブラダイラ軍と対峙する程に士気が高まる事は無い。特に兵達をまとめる部隊長達の気合いが充分でないと怖じ気づいた兵が何をするか分かったモノではないからだ。だが,事はイブレとスノラトが考えた通りに進み,今ではスノラトの決断を待つばかりと部隊長達がスノラトに視線を向けていると遂にスノラトが決断したかのように見える為に立ち上がると一気に命を下す。

「よしっ! 他に意見が無いという事はイブレの作戦が最も優れている事ならば,各部隊長はいつでも出立が出来るように準備を開始せよっ! ひとまず南に向かってロミアド山地の出口を目指す,ブラダイラと何処で対峙するかは周囲の地形を見てから決めるっ! その為にも迅速な移動が必要だっ! 総員すぐに準備に掛かれっ! 明日には出発が出来るように準備せよっ!」

『はっ』

 各部隊長が返事と共に敬礼をすると一気に軍議の天幕から出て行った。そしてイブレとスノラトだけが残ると,スノラトは疲れたように椅子に座って背もたれに寄り掛かりイブレはいつも微笑みを浮かべながらスノラトに話し掛ける。

「長い軍議,ご苦労様でした」

 そんなイブレの言葉を聞いたスノラトは溜息を漏らしてから話を続ける。

「まったくだ。四万もの兵を動員したブラダイラもそうだが,そんなブラダイラ軍と対峙させる為だけでも疲れるモノだな。特に何処の誰かが何もしないのだからな」

「さて,それは誰の事なのでしょうかね」

「……イブレ」

「冗談ですよ」

 再び溜息を付いたスノラト,流石に長い軍議で気を遣って疲れているスノラトだからこそイブレの冗談に少し怒りを感じるが,ふとイクスとハトリが言っていた事を思い出して怒りを水に流す事にした。こうした嫌味のような冗談を平然と言ってくるのがイブレだが改めて認識した,とも言える。そんなスノラトが今後に付いて話し出す。

「四万対八千か,兵の数だけ見れば全く目も当てられないな」

「えぇ,その通りですが,相手を目隠しで見なくしてしまえば良いだけの事ですよ」

「軽く言ってくれるな」

「それだけの準備を前々からしていたと言っておきましょうか」

「私には何も告げずにか」

「ブラダイラ軍がここまでの兵を揃えてくるとは私自身も思ってはいなかったモノで,ほんの少し後手に回ったかもしれませんが,エラン達の働きで私達の動きは掴めてはいないでしょう」

「つまりエランがいろいろと動き回ったという事か?」

「いいえ,エラン達には私から一つの事だけを頼み事をしました」

「それだけか?」

「えぇ,エランはああ見えても簡単には人を信用しない性分ですが,一度信用を得たら理由が理解に及ばなくても動いてくれるんですよ」

「ふむ,それは意外だが,そう聞くとイブレは相当エランから信用されているようだな」

「まあ,エラン達とはいろいろと有って長い付き合いですからね」

「そのいろいろに付いては話してくれないのだろう」

「ははっ,もちろんですよ」

 スノラトの言葉にいつもの微笑みを浮かべて言葉を返すイブレ,スノラトはその後にイブレがエランに頼んだ事を聞いたら随分と抽象的な事だと感じた。それもそうだ,なにしろイブレがエランに頼んだ事とは,ロミアド山地でブラダイラ軍とぶつかったら一人たりとも逃がさずに仕留める,たったそれだけだからだ。だが,この頼み事が今の結果へと繋がっているのは確かだ。

 最初からブラダイラ軍との戦いを視野に入れてフライア軍に参加したイブレだからこそ考えついた事だが,敵地に乗り込むからには少しでも有利な状況を作りたいのは両軍共に同じ,だからイブレはロミアド山地に入った最初の日にエラン達にそう頼んでいた。 エラン達としてもイズンを引きずり出す為にはイブレの知恵が必要なのは百も承知だからこそ,エランは理由も聞かずに出来る限り戦場に居る者を斬り伏せた。まあ,動きが速いエランとイクスだからこそ誰一人として逃れられた者が居ないのも確かだ。だからこそブラダイラ軍を率いるテリングには何一つとしてエラン達の情報が伝わって来なかった。

 ブラダイラ軍に自分達の情報を渡さない,イブレはロミアド山地に入って複雑な地形を目の当たりにするとすぐに自分達の情報が漏れないように配慮した。ブラダイラ軍から見れば情報が来ない限りは少数でも軍を編成して動かしてくると考えたからだ。だがイブレの予測を大きく外す程にテリングは切れ者だと言えるのは,相手の事が分からないからこそ最大限の戦力を当てる,という行動に出たからだ。

 並大抵の将軍なら複雑な地形をしているロミアド山地だからこそ大した事は出来ないだろうと高を括り,少数の兵を動かして自分は動かずに様子見に出る。だがロミアド山地をフライア帝国に対する重要な防衛線と考えているテリングは,決してフライア軍にロミアド山地を越えられないように最大限の兵力を投入してきた。その一点だけ見てもイブレにすれば易々と倒せる敵ではないという事は承知している。だからこそ尚更に情報の重要性をイブレはスノラトに伝える。

 イブレがスノラトと話している間にフライア兵達が一気に動き出したのでカセンネとレルーンにも連絡が来たから戻って行った。そしてエラン達だけが居る山頂ではタイケスト山脈から降り下りた風がエランの髪で遊ぶかのように揺らすとエランはそっと呟く。「動き始めた」

 イクスとハトリには何の事かと全く分からなかったが,エランには今まで停滞していた戦争というモノが渦を巻くように動き出したのを感覚で感じていた。そんなエランが乱れた髪を左手で軽く直すと,再び遠くから感じる何かに意識を向けたらエランにはしっかりと敵意が見て取れた。まだまだ敵が遠くに居るとはいえ煙のように漂ってくる敵がハッキリと見えるエランは未だに見えない戦いの地に向かって唯々,時を待つばかりだ。



「おかえり」

 イブレがスノラトと細かな仕事を片付けると外はすっかり夕暮れに成り,自分の天幕に戻ったイブレを出迎えたのは円卓を囲みのんびりとしているエラン達が居てエランがイブレに気付くと言葉を発した。間仕切りでエラン達とイブレの空間は区切られてはいるが,そんな事は関係ないと言わんばかりにエラン達はイブレの所に置いてあった紅茶を煎れて,エランは干して甘くなっている干し芋を口にしながらくつろいでいた。そんなエラン達を見てイブレもいつもの微笑みを浮かべて言葉を返す。

「ただいま」

 自分の場所でエラン達が好き勝手にやっていると言えるのだが,イブレは常に紅茶は必要以上に用意していたうえ,エランが口にしている干し芋はイブレが手配して配給してもらった物だ。もちろんエランの為に用意していた物だからイブレは何一つとも表情を変える事なく,心の何処かでは安心感を得ながら持っていた杖を天幕の隅に立て掛けると当然の様にエラン達と同じく円卓を囲み,紅茶を煎れてくれたハトリにお礼を言って少しだけ紅茶で身体を潤し心を濯ぐとイクスが喋り出す。

「そういやイブレよ,外のフライア兵がこんな時間まで動いてるって事は軍議の殴り合いは終わったんだよな?」

「まあね,次の行動に出る事は出来たけど僕達を含めてフライア軍は上手くブラダイラ軍を騙さないといけないからね」

「それならイブレの得意分野だから何とかするですよ」

「ははっ,それはハトリの勘違いだね。僕は結構正直者だよ」

「どの口が言うですよ」

「それに本当の正直者なら自分の事を正直者とは言わねえよ」

「いやいや,イクス。それはイクスの勘違いだよ」

「それこそテメーの勘違いだよ。それにな」

「そんな事より,イブレ。軍議で決まった事を知りたい」

 エランが会話に割り込んできたので仕方なく黙る事にしたイクスを含めて,エランの質問に答えるイブレの言葉をしっかりと耳を傾ける。

「まずはロミアド山地の出口を目指して進軍する,こちらが先にロミアド山地の出口に布陣をすればブラダイラ軍は仕方なくフライア軍の前に布陣するしかないからね。だから出来るだけ速く布陣する場所を決める必要が有るからね,明日の朝には既に出立するという訳だよ」

「それにしても相手は四万も居るですよ,軍を別けても不思議ではないですよ」

「まあ,それも含めてブラダイラ軍を騙さないとだからね。騙す理由は三つ,こちらが八千の寡兵である事を知られない為,本陣がどころ有るのか悟らせない為,最後に大軍だと勘違いをさせる為,それらを完璧に出来ないとブラダイラ軍は一気に全軍をロミアド山地に突入してくるからね」

「面倒極まりないですよ」

「ははっ,確かにね。けど,最も難しいのはこんな綱渡りのような戦況で勝機を見出さないといけないって事だね」

「それを考えるのがイブレの仕事ですよ」

「確かにそうなんだけどね,今回ばかりは行き当たりばったりで対処するしかないだろうね。なにしろブラダイラが四万もの軍を出してきた時点で勝敗は決して居るようなモノだからね,それをひっくり返して逆転を狙うんだから僕だって簡単には行かないよ」

「でも楽しそう」

「……ははっ,これだからエランには敵わないね」

 少しだけ笑ってから,そんな事を述べたイブレはエランに心境を見抜かれた事を察する。イブレは自分の中で今の状況を楽しんでいる自分が居る事をハッキリと認識しており,それはイブレが大軍師と呼ばれる素質でもあり,そうした気質が有るからこそイブレの頭は自然とそれについて考える。既に負け戦と成っているのを勝ち戦する快感を知っているからだ。

 そんな自分の心境を惑わすかのようにイブレは話を続ける。

「そんな訳だからね,僕はしばらく防衛に忙しいと思ってもらえるとありがたいね」

「おっ,やっとイブレの奴が仕事をする気に成ったか」

「イクスも酷いね,ここまで結構な仕事をこなしてきたつもりだよ」

「だったら,そう見えるようにするですよ」

「おやっ,ハトリは勘違いしているようだね」

「言い訳は聞かないですよ」

「なら反論は?」

「当然却下ですよ」

「ははっ,どうしようかエラン?」

「おい,イブレの奴が遂にエランに助けを求めたぞ」

「大丈夫ですよイクス,その為に有る干し芋ですよ」

「うん,甘くて美味しい」

 しっかりと一つの干し芋を食べ終えてから,そんな言葉を発したエランは次に紅茶で喉を潤し香りを楽しむと茶器を置いて次の干し芋を手に取るとイブレに向かって話を続ける。

「それでイブレ,私達の役目は?」

「どうにかしてブラダイラ軍を追い返してほしい,ってところかな」

「随分と簡単に言ってくれるですよ」

「敵の総大将を担っているテリングを討ち取れ,と言わないだけマシだと思ってほしいな。っと,そういえばテリング=ウルとトジモ=マワに付いて話したかな?」

「昼間にカセンネ達から聞いた」

「なら僕から話す事は何も無いかな。一つだけ言うなら相手が火を使う前にブラダイラ軍を撤退に追い込まないと,こっちが火達磨に成るって事かな」

「火達磨とは随分と物騒じゃねえか」

「ロミアド山地の木々が全て常緑樹じょうりょくじゅとは成っていないからね,季節の変わり目が近いから枯れ葉を利用して山ごと僕達を焼き払う,って事ぐらいは考えているだろうからね」

「それに気づける程,テリングという将軍は?」

 紅茶の入った茶器を手にしながらエランがそう問い掛けるとイブレは黙って頷いた。それを見たエランは茶器に入っている紅茶へと視線を落とすと,ゆっくりと口に近づけて味と香りを楽しむと再び干し芋へと手を伸ばす。そしてイクスが何気もない話をし出すとすっかり賑やかに成りエラン達は日が暮れるまでの時を過ごした。

 夜になるとハトリは荷造りをして荷物を一つにまとめると,それが終わるのを待っていたエランはイクスとのんびりとした時間を過ごした。そしてハトリの荷造りが終わるとエラン達は布団の中に入るのだった。



 翌朝,夜明け前から慌ただしく動き出したフライア軍の喧騒で目を覚ましたエランがゆっくりと身体を起こすと,動いたエランに気付いたようにハトリも目を覚まし眠そうに軽く服の袖で目の周囲を拭う。エランは時間を確認しようと時計がある方へと手を伸ばそうとしたらやっと気付いた,天幕に日の光が全く入ってなく未だに暗闇に閉ざされている事に。すると暗闇の向こうからイクスが話し掛ける。

「随分と早起きじゃねえか,まあ俺様達の出番は遅いだろうから,もう一眠りしたらどうだ」

「うん,ありがとうイクス」

「早朝から迷惑極まりないですよ」

 文句を言いながら再び目を閉じるハトリに寄り添うようにエランも上半身を横たえると目を閉じる。外から聞こえて来る喧騒を無視するように。それから数時間後,今度は空腹を感じて目を覚ますエランとハトリ,周囲はすっかり明るく成っており日の光が朝を告げているようだ。

 同時に上半身を起こすエランとハトリは,エランは身体をほぐすように伸ばしている隣でハトリは大きな欠伸をしてから喋り出す。

「随分と久しぶりによく寝た気がするですよ」

「そいつは良かったじゃねえか,なんせあの日から」

「おはよう,イクス,ハトリ」

「っと,おはようさん」

「おはようですよ」

 イクスの言葉を遮るように挨拶を出してきたエランの声を聞いて,イクスは余計な事を言い出そうとしていた事を察して黙り込む。エランは意図的に無視し,ハトリは何も気付かないままに支度を開始する。

 エランが布団を片付けている間にハトリは身なりを整えて鏡の前に座ると,櫛で髪をしっかりといてから整った髪を頭の両側で縛る。その間にエランも立ったまま自分の櫛で白銀色の髪を梳くと,すぐに寝癖は取れていつも通りに流れるような髪に整えると鎧を身付ける為に歩き出す。そんなこんなをしながら朝の身仕度を終えるとエランは間仕切りを開くが,エランが思っていた通りにそこにイブレの姿は無かった。

 二度目に目覚めた時にエランは隣から感じていたイブレの気配が無くなっていた事に気付いたので,既に動き出しているとエランは思っていた。だからイブレに何の気遣いをする事もせずにエラン達はそのまま朝食を貰いに出かけた。

 配膳の列に並んでいたエラン達を見付けて,まるで合流するかのように列に割り込んできたレルーンにイクスとハトリが嫌味を言葉にして出すが,それすらも会話という流れで流してしまうレルーンにイクスとハトリはそれ以上の嫌味を出す事が出来なかった。そしてレルーンと合流したという事は自然な成り行きでエラン達はヒャルムリル傭兵団の天幕で朝食を取る事に成った。

「おやっ,エラン達にしては随分と遅い朝食じゃないかい」

 天幕に入るとカセンネがその様な言葉を掛けてきた。

「二度寝した」

「はははっ,そういう事かい」

 豪快なカセンネの声が天幕内に響き渡ったのは他の団員が誰一人として居ないという珍しい状況だったからだ。他の団員は荷造りに精を出している雰囲気だったので,自然とカセンネの近くで円形に座って朝食を口にするエラン達。するとカネンセがイクスに向かって話し掛けて来た。

「それでイクス,次の仕事は何をするんだい?」

「随分と率直に聞いてくるじゃねえか,カセンネの団長さんよ」

「今更に成って遠回しにはしないよ,それにエラン達なら信頼して話してくれると思っているからね」

「ぎゃはははっ,そりゃそうだ。ならこっちも簡単に言ったら,というよりもイブレが考えでは俺達でブラダイラ軍を追い返してやれって事らしいぞ」

「そいつは随分と難儀な事を言われたもんだね。けど,エラン達ならそれが出来るとイブレ殿が判断したからだろ?」

 会話を聞いていたエランは口の中に有る朝食をしっかりと咀嚼そしゃくして食べ物が消えてから,カセンネに向かって会話に割り込む。

「さあ,それは分からない」

「分からないって,作戦すら無い程の状況なのかい」

「うん」

「ったく,どうなっていやがるのやら。それでエランはどうするつもりなんだい?」

 問われる事が分かっていたエランは朝食を一旦止めてカセンネの問い掛けに答える。

「私達,というよりもフライア軍はブラダイラ軍に勝つ必要は無い,撤退に追い込めば良い。その時に四万と八千の兵数がフライア軍に対して優位に作用する」

「……へ~,なるほどね」

 短い説明に納得の表情をカセンネが見せたので,エランは再び朝食を口に運ぶとカセンネとイクスの会話が再開される。

「何か企んでいるような顔をしてるぞ,カセンネの団長さんよ」

「前にも言ったけど傭兵だからね,稼げる時に稼ぐのが当たり前なんだよ」

「その稼ぎの中に俺様の分を入れてくれるなら協力するぜ」

「あ~,イクスは剣を食べるんだってね。話には聞いていたけど実際には見てはいないからね,それはそれで面白いモノが見られそうだからね,承諾しても良いけど確実に手に入るとは言えないね」

「ぎゃはははっ,それで構わねえよ。なにせ俺様は美食家だからな,半端な剣は喰わねえんだよ。やっぱり喰うからには,俺様に相応しい剣じゃねえとな」

「また駄剣が意味不明な事を言っているですよ。それとごちそうさまですよ」

「おい,クソガキが食後の開口一番がそれか」

「なにか文句でもあるですよ」

「あぁ,たっぷりとな」

 それからイクスとハトリの口喧嘩で賑やかに成り,その様子をカセンネは面白そうに眺めていると朝食を終えたレルーンが参加してきて更に賑やかに成り,そんな中でエランは静かに朝食を食べ続けた。

 エラン達とレルーンが朝食の食器を返しに行く途中でエラン達を探していたフライア兵達と出会い,スノラトがエラン達を連れてくるように命じていた事を知る。なので食器をフライア兵の一人に預けてエラン達はスノラトの下へと向かうのを,レルーンは手を振って見送った。

 フライア兵の案内でスノラトが待っている所まで歩みを進めると,日向で自分の馬を撫でているスノラトと合流した。スノラトからはイブレから軍議の内容を聞いているかとだけ質問された後は,今回はスノラトは最初の第一陣として出立する事が告げられるが,スノラトの気質から何となく察していたエランは頷くだけだ。それからはイクスとハトリも交えてほのぼのとした会話が続いた。

 敵が迫っているからにはほのぼのとした時間は短いと示すようにイブレと一人のフライア兵がスノラトの下まで来ると出立の準備が整った事を告げる。それを聞いたスノラトは一気に将軍の表情に成ると馬の手綱を解き騎乗する,同じ場所にエラン達が遠征中に与えられた馬も有るのでエランも手綱を解いて騎乗するとハトリを乗せてスノラトの後を歩かせる。

 第一軍として整列しているフライア兵達の前までスノラトは馬を進めると兵士達の空気が張り詰める。そしてスノラトが出立の指示を出すと,第一軍の端から歩み出しのでエランはいつも通りにスノラトの傍にまで馬を進ませる。それから少し遅れてイブレが合流する頃には第一軍は半分程が出ており,そろそろスノラトが出立する頃合いと成っていた。

「では,行くぞ」

 スノラトの言葉に頷いたエランとイブレを見てから,エランとイブレに挟まれるように馬を進めると第一軍の中へと入り進軍を開始する。こうしてエラン達は勝ち目が全く無いロミアド山地の出口に向かって歩み出すが,イブレは既に幾つもの策を考えており進軍の最後尾に居たフライア兵達を大いに驚かせる事に成った。



 

 さてさて,……一年以上も開けて申し訳ありません。私自身の心身,主に心の方が問題に成りまして一年以上も空ける結果と成りました。まあ,問題も完全に癒えた訳では無いので更新は二週間ぐらいに一回ぐらいに成ると思います。何と言いましょうか,本当に精神的に何も出来ない時が有りまして,ちょっと長いお休みをしておりました。

 さてはて,病は気からと言うように……その通りっすね。本当に気が滅入っていると完全に何も出来ないのですよ。……いや,本当に。最近ではまた,小説を書こうという気持ちが出て来たからこそ,こうして更新をしましたが……今回は本文を完全にチェックしていないので,何か有りましたがご報告をお願いします。

 さてさて,近況報告というかお休みの報告と言いましょうか。それが終わりましたので,ちと考えた事があります。やっぱり自分で書こうと思えない限り,無理して書いても長続きはしないという事ですかね~。そんな訳ですので本当に精神的な病と成っておりますので,それを踏まえて続きもお待ちして頂けるとありがたいです。と,説明が終わった所で今回は締めますか。

 ではでは,ここまで読んでくださり,ありがとうございます。そして,これからも気長によろしくお願いします。

 以上,本当に気長に待たせてしまった葵嵐雪でした。



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