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白銀妖精のプリエール  作者: 葵 嵐雪
第三章 バタフライフェザーカノン
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第三章 第十八話

 情報というモノはどんなに厳重で漏れないようにしていても,時には思い掛けない所から漏れたりするのだから情報は金銭よりも高い品物にも成る。エラン達が次に向かう先をカセンネが見付けたのも,そうした事が折り重なった偶然だ。

 ゼレスダイト要塞を落とした直後にカセンネは戦後処理に追われており,大量の書類に目を通していたら何故が関係が無いブラダイラ王国に関する情報が記された書類を発見し,好奇心から書類の前後を辿ってみるとイブレが報酬として求めた情報なのが分かった。

 イブレが関わっているという事は必然とエランに繋がると考えたカセンネは,書類の内容からブラダイラとの戦いに参戦するのではないのかと推測し,そうなると幾度もブラダイラ王国に侵攻しているフライア帝国にエラン達は付いて何かしら画策していると結論に至った。そうした経緯が有りヒャルムリル傭兵団もフライア帝国に向かうと案の定エラン達の情報を得る事が出来た。

 エラン達と円卓を囲みながら用意した紅茶と甘味を味わいながらレルーンは,ここに至るまでの経緯を説明していた……少し離れた場所ではしっかりと仕事をしている団員達をすっかり忘れて。まったりと紅茶を口にして話し終えると今度はハトリがフレイア軍の現状と行っている作戦について説明したが,スノラトが派手に動いている事は既にレルーン達も知っていたので作戦内容に関しては簡単に説明するだけに成った。こうしてお互いにこれまでの経緯を説明するとイクスが喋り出す。

「それにしても,それだけの理由で追ってくるとは随分と頑張るじゃねえか」

「エランを追っていけばしっかりと儲けられるからね~,団長が言うにはもう一稼ぎしたらゆっくりと休む予定だよ~」

「そのもう一稼ぎが大変だと認識しているのかが怪しいですよ」

「あははっ,その通りだと思うけどエランも勝つ為にここに居るんでしょ?」

「うん,それと目的も有る」

「目的って?」

「秘密」

「え~,エランが意地悪だ~」

「ってか,レルーンの姉ちゃんが入り込み過ぎなんだよ」

「こっちにはこっちの事情が有るですよ」

「そっか~,なら聞かない事にするよ~」

「……相変わらず素直なのか馬鹿なのか阿呆なのか分からないですよ」

「何にも考えてねえだけだろ」

「え~,そこそこ素直で考えてるよ」

「そこそこかよ」

「頑張り過ぎないのが私の生き方だよ~」

「駄目な奴かよ」

「駄目な奴ですよ」

「え~,そんな事ないよ。ねっ,エラン」

「そこそこ駄目」

「そこそこ言われたっ!」

 大声を発した後に自分の事だが笑い出すレルーンにイクスとハトリも同じように笑い出して賑やかに成る。そんな雰囲気に包まれてエランは穏やかな温もりを感じながら瞳の奥でジルコンが輝いていた。笑いが止まるまで充分に笑ったレルーンは今度はエラン達の番と話を振り出す。

「そういえば,ワザと目立って敵と味方を集めてるんでしょ~。外から見た感じだと相当な数が集まっているみたいだけど充分に味方は集まってるの~?」

「……充分とは言えない」

「んっ,何で?」

「ロミアド山地はフライア帝国の敵国ブラダイラ王国が有している土地ですよ,奥に行けば行く程に敵は多くて味方が減っているのは当然ですよ」

「ん~,そう聞くと結構厳しい状況だね~。それで今はどれ位の兵力に成っているの?」

「約六千程ですよ」

「少ないね~」

「まっ,ここに投入した戦力は一万程度だからな,この先も合流する事が出来る味方は減ってくるだろうよ」

「っで,ブラダイラは数万の兵を率いてここにやって来るんだね~。かなり不利だけどどうするつもりなの?」

「私に聞かれても困る」

「エランと同じですよ」

「俺様もだ。それにな,それをどうにかするのがイブレの仕事だからな。今はいろいろと考えている最中だろうよ」

「なるほどね~,流石は流浪の大軍師と呼ばれるだけあるね~」

「うん,頼りに成る」

「時々,胡散臭い芝居や見え透いた惚け方をしなければ素直に褒められるですよ」

「イブレの野郎は性格がねじ曲がって捻り曲がっているからな」

「あははっ,相変わらずイブレに関してはイクスとハトリは毒を吐くよね」

「当たり前だ」

「当然ですよ」

 イクスとハトリの言葉を聞いて再び笑い出すレルーンにイクスが調子に乗って喋り出し,ハトリが応戦するかのように言葉を浴びせていると一気に賑やかに成る。そんな賑やかで穏やかな雰囲気の中でエランは甘味をしっかりと味わい,紅茶を堪能してのんびりとした時間が過ぎて……行かなかった。

「レルーンっ! ここに居るんだろ出て来なっ!」

 突如として天幕内にカセンネの声が響くとレルーンが言い訳を言う前に間仕切りを開いて姿を見せると,すっかり諦めたレルーンが苦笑いを浮かべて手に取っていた紅茶が入った茶器を円卓の上に置くのと同時にカセンネが怒りの表情を露わにしながら声に怒気を乗せて話し出す。

「こんな所でエラン達とお茶会とは随分と呑気にしているじゃないかい。どうやら,あんたはあと数日は休みがなくても大丈夫そうだね」

「いやいやいや,団長。ここまでずっ~と山道だったんですよ,だから休みは必要ですよ~」

「なら今すぐ働くか,今日から休み無しで働くかを選びな」

「すぐ働かせて頂きますっ!」

 そう言った割には紅茶を全部飲んで甘味を片手で取れるだけ取って口の中に放り込んでから,逃げるように天幕から出て行くレルーン。そんなレルーンを見送ってからカセンネは大きく溜息を付いてからエラン達に話し掛ける。

「邪魔して悪かったね」

「レルーンの自業自得だから構わない」

「はははっ,確かにね。それはそうとエラン,あんたの為に甘い物を作る材料を買い込んで来たからね。食事の時には一緒にどうだい?」

「それなら喜んで」

「相変わらずエランを甘味で釣るですよ」

「そうさね,それもあるけどさ。あたし達が甘い物を好きだというのが一番の理由だよ」

「凄く分かる」

「即答で同意するのがエランらしいですよ」

「まっ,俺様も賑やかな方が好きだからな。全然構わないぞ」

「それじゃあ飯時に呼びに来るよ」

「分かった」

 エランの返事を聞いてから天幕で出て行くカセンネを見送ったエランは,何事も無かったように紅茶を飲んで甘味を味わう。その間にもハトリはレルーンが使っていた茶器を片付けて再び円卓に付くと,主にレルーンの事を話題にして穏やかな時間を過ごして行くのだった。



 ヒャルムリル傭兵団が合流してから二日後には,傭兵団内では新たな当番が決まっていた。それは迎撃当番,文字通りに敵が攻め上がってきたら迎撃に出る為の当番だ。そしてレルーンは初日にサボった罰として数日程は迎撃隊の隊長として常に備えるようにカセンネに言われて,常に鎧と武器を身に着けながら敵襲に備える事に成った。

 更に一週間後には二部隊と合流,六回の敵襲を迎撃したが負傷者が増えたのは攻めて来た敵の数が確実に多くなっているからだ。それでも被害を最小限に抑えられたのはエランと呼応するように迎撃に出たヒャルムリル傭兵団の働きが大きいのを,フライア兵達は認めざる得なかった。

 本隊とも言えるフライア兵達は陣営の中央に配置されているので出遅れるのは必然とスノラトは自分から兵達の元へと赴いて,本隊とも言えるフライア兵の損害を減らす為だと説いて回ったのはスノラトらしい行動とも言える。その甲斐もあり,兵達がエランやヒャルムリル傭兵団に嫉妬の念を抱く者は出なかった。まあ,スノラトとしては頭を悩ませている事には違いないが,数万のブラダイラがこのロミアド山地に向かって進軍してくるからには兵力を少しでも多く保たなければ戦う事すらままならないというのが本音だ。

 更に五日もすると敵すら攻めて来ないので,ここも終わりとスノラトは侵攻準備をさせて翌日には西南西に向かって侵攻を開始した。侵攻途中で前を進む部隊がブラダイラ軍と接触しては戦闘となり,一時的に進軍を止めたが大した時間を掛けずに掃討戦が終わった報告がスノラトに届くと戦後処理を素早く済ませて再び進軍を開始する。

 奥地に入っただけあってブラダイラ軍との衝突が増えて進軍に時間が掛かったが,スノラトの周囲だけは良い変化が有った。エランと同様にヒャルムリル傭兵団も部下のフライア兵にやっかまれないように,ヒャルムリル傭兵団を進軍中は自分のすぐ後に配置した。そうなると当然の様にレルーンがエランに絡んできて,それを切っ掛けにスノラトともレルーンは気さくに接する事が出来る相手と成っていた。

 戦闘が多くなったという事はそれだけ足止めするかない時間が多くなったので,なかなか先に進めずに野宿する日々が続き,九日目にようやく駐留する事が出来る場所を見付けるとスノラトはすぐに全軍をそこに移動させて駐留地を築き上げるように命じた。イブレが道案内役として各地に配置したフライア兵の案内により,スノラトに同行しているエラン達が駐留地に辿り着いた頃には既に工作兵により木々が次々と切り倒し,切り株を引き抜いて地面を押し固めていた。

 徐々に雑草と荒れ地が広がって天幕を張れる場所が作られていると,すっかり時間を持て余しているスノラトとエラン達は他愛のない話をしていたが,女性だけで構成されているヒャルムリル傭兵団には出番が無いと言わんばかりにレルーンが合流すると自然な流れで会話に加わる。

「それにしても,場所を作るのが早いよね~」

 レルーンがそんな風に話を切り出すとスノラトから会話を続ける。

「最初から木が少ない場所を探していたからな,それだけに低木ていぼくと密集している雑草さえ取り除けば後は数の少ない木を切るだけで済むからな」

「まっ,それだけの場所を選ぶからこそイブレの野郎が自分の目で確かめるんだがな」

「それに六千もの数を駐留させですよ,更に人数が増える事を念頭に置いているからこそ今回は日数が掛かったですよ」

「なるほどね~,だから私達が行っても邪魔と言われるのは当然だね~」

「んっ,どうやら我が兵の無礼があったようだな」

「いやいや,そういう事じゃないよ~」

「その前にレルーンの口から手伝いに行った言葉が出ただけでも驚きですよ」

「俺様もてっきりサボってるもんだと思ってたぞ」

「う~,イクスとハトリは酷いよ。ね,スノラト将軍」

「まあ,力作業だからな。現場としては男手しか必要ないと考えても仕方ないだろう」

「うんうん,さっすがはスノラト~,しっかりと分かってくれて嬉しいよ~」

「ってか,レルーンの姉ちゃんもすっかりスノラトの将軍様に懐いたじゃねえか」

「それに甘えきっているレルーンはどうかと思うですよ」

「ふっ,私としては構わんさ。自分の部下ではないからこそ気軽に話す事が出来るからな」

「そうそう,その通りだよ」

「おっ,ここぞとばかりに調子に乗って来やがったな」

「そういうイクスだって既に調子に乗ってるよ~」

「ぎゃはははっ! 確かになっ!」

「イクス,レルーン,自粛」

『すみませんでしたっ!』

 あまり調子に乗るなと言わんばかりにエランから注意されたので声を揃えて謝るイクスとレルーン,その様子を見ていてスノラトは楽しげに小さく笑い,ハトリは大きな溜息を付いた。そして話題を切り替える為に再びレルーンから会話を再開させる。

「そういえば,まだまだ先の話に成ると思うんだけど~。ブラダイラは数万の兵を率いてこっちにやって来るんでしょ,それが分かっているからにはスノラトは対抗策でも考えてるの~?」

「おいおい,そいつを考えるのがイブレの仕事だろ。だからイブレの野郎に任せておけば良いんだよ」

「イクスはそう言っているが私なりに考えはあるし,イブレも同じ考えを持っていると思うぞ」

「こうしたしっかりとした責任感を持っているからこそフライア帝国の将軍に成れるですよ,最も考える事を放棄している者には分からないですよ」

「え~,それって誰の事~?」

「……」

 お前の事だと言わんばかりに呆れた視線をレルーンに向けるハトリだが,そんな雰囲気にも関わらずにエランが会話に切り込んで行く。

「それよりもスノラトの考えが気になる」

「んっ,そう言われても私の考えも推測に過ぎないのだがな」

「それでも結論が出ているから考えが有ると言える」

「はははっ,これだからエランには適わないな」

 軽く笑いながらスノラトはそう言うと推測から導き出した結論を語り出す。

「こちらの兵力はどんなに合わせても一万には届かないだろう,元よりロミアド山地に投入した兵力は少ないので数万の敵に正面から挑んでも負けは見えている」

「それでもフライア帝国の将軍はブラダイラ軍と戦うつもりだよね~」

「いや,最初から戦う事は考えてはいない」

「じゃあ~,どうするつもりなの~?」

「もちろん戦う事を先延ばしにする」

「先延ばしですよ?」

「あぁ,このまま寡兵でブラダイラ軍を目の前にすればある事が出来る。その後はどうにかするしかないだろうな」

「んっ,随分ともったいぶった言い方をするじゃねえか。俺様としては大軍を前にして出来る事を聞いておきたいもんだぜ」

「ふむ,私はここに居る者達を信頼している。なので絶対に口外しない事を約束してくれれば話すが,どうする?」

「約束する」

「秘密にしろというなら守るですよ」

「私も~」

 それぞれに返事を聞いたスノラトはエラン達とレルーンの顔を一度だけ見回すと話す事に決めた。これは内容が無謀,蛮勇と言われてもおかしくはない内容だからこそ自分の部下達には話す事は出来ないが,フライア兵に伝わらなければ誰に話しても同じだとスノラトが考えたからだ。そのスノラトが自らの策略に付いて話し出す。

「大軍で押し寄せてくるブラダイラ軍に対して私が出来る事はたった一つだけ,皇帝陛下に援軍を請う事だけだ……」

「って,それだけかよ」

「それだけだ。だからこそ,このロミアド山地を上手く利用してブラダイラ軍と戦わずに対峙する。それで時を稼ぐか,どうにかしてブラダイラ軍に痛手を与えて一時的に後退させるか,どちらにしてもこちらが寡兵でロミアド山地に陣取っている事を悟られたらお終いだな」

「その割には随分とお気楽に語ってくれるじゃねえか,この将軍様はよ」

「だから口外しない事を約束させたんだ」

「あ~,確かに,こんな事を聞いたら怖じ気づく兵が何をするか分かったモノじゃないからね~」

「そう言っているレルーンも随分とお気楽に感じるですよ」

「あははっ,私は元からこうだよ~」

「否定が出来ない事を言わないでほしいですよ」

「それはそうとスノラトの将軍様よ,ブラダイラがこっちに付き合って時間を無駄にするとは思えねえし,ましてや追い返す事なんて現実味が無いと言っても良い程だぜ」

「それはイクスに言われなくても分かってはいるさ,だから敵味方共に騙しながら対峙するしかない」

「へ~,やっぱりスノラトはブラダイラ軍と戦うつもりなんだね~」

「まあな,正直に言うと私は最初から味方の救援を諦めていた。それでもロミアド山地に来たのは,ここに居るブラダイラ軍を叩く為だ」

「やっぱりここには血の気が多いのが多いですよ」

「はははっ,確かにな。だが僥倖と言うべきか,エラン達とヒャルムリル傭兵団が加わった事で兵達を動かす事が出来やすくなった。それだけでも感謝しているよ」

「あははっ,どういたしまして~」

「この姉ちゃんはこうした時には反応が早いな」

「私は褒められて伸びる部類だからね~」

「そういうのを屁理屈と言うのを知っているですよ」

「さあね~,何の事だかサッパリだよ~」

「随分と薄っぺらい芝居をしやがるな」

 イクスの言葉を聞いてレルーンが笑い出すと呆れたようにハトリからも笑いがこぼれて,それに釣られるようにスノラトも笑い出したので一気に賑やかな雰囲気に成って行く。その中でただ一人,エランだけはいつもの無表情で瞳の奥には何も無く,レルーンのそれを見抜いていた。

 それからしばらくは他愛のない話を続けるが,スノラトの天幕が完成した知らせとカセンネがレルーンを呼び戻す為に団員を送ってきたので,スノラトとレルーンはエラン達と別れてそれぞれの場所に赴く。そして残ったエランは振り返ると歩き出して,見晴らしが良い場所で未だに日が高い時刻を示す中で雄大なロミアド山地を見ながら瞳の奥ではイルカチドリが羽ばたいていた。



 団員と共にヒャルムリル傭兵団が割り当てられた場所へと戻ったレルーンは,既に高い柵が建てられているのを目にしながら動き回っている団員達を無視してカセンネの下へと戻るとそのまま話し掛ける。

「団長,やっと聞き出してきましたよ~」

 レルーンがその様に言うとカセンネは指示役を交代して他の団員に引き継ぐとレルーンと柵の近くまで移動した。既に高い柵が完成しているという事はこの周辺にはフライア兵が居ない事を示しているので,密かに話すには打って付けという訳だ。そこでカセンネとレルーンは一応,周囲を警戒してから話し出す。

「それじゃあレルーン,話を聞こうじゃないか」

「はいは~い,団長の読み通りにスノラト将軍はブラダイラ軍と戦う気は満々でしたよ~。まあ,エランには悟られたみたいですけど~」

「はははっ,そいつは仕方ないだろうね。それで肝心な所はどうだったんだい?」

「このまま行けば確実にこのフライア軍は寡兵のまま大軍のブラダイラ軍と対峙するのは確実ですよ~,少なくともスノラト将軍はブラダイラ軍と戦う気が満々でしたからね~。後はイブレ殿がどう動くかですね~」

「それで,やっぱりエランの目的は分からなかったのかい?」

「あははっ,やっぱりそう簡単には教えてもらえないみたいですよ~」

「なるほど,ね。どう見ても戦況はフライア軍が不利,というよりも窮地に陥っている言っても過言じゃないみたいだね。そんなフライア軍にエランが参戦しているという訳はフライア側に付かないと行けない理由が有るみたいだけど,どうやらスノラト将軍が記載した通りにエランはブラダイラのイズンと戦う事を望んでいると見るべきだね」

「ですよね~,少なくともスノラトは嘘が上手な部類じゃないですかね~。逆に真意を見せる事で支持を得てる感じですよ~」

「それに関してはあたしも同意見だね。まあ,探るのはここまでにしておこうかね」

「おや,もういいんですか~?」

「あまりエランの方を探る過ぎて嫌われるのは嫌だろう」

「あははっ,それは確かに」

「ここまで分かれば上々としておこうかね,何にしてもあたし達がフライア軍を出し抜いて活躍するには窮地に陥って士気が下がっている時が打って付けという訳だよ。ブラダイラと対峙する時には場所はこちらが選べるはずだからね,その為にいろいろと動けるように準備だけはしときな。時間はまだ余裕があるみたいだからね,いろいろな手が打てるようにしとくんだよ」

「りょ~うか~い」

「さて,それじゃあ戻って作業を続けるとしよか。逃げるんじゃないよ,レルーン」

「あははっ,ここで釘を刺されたら逃げようがないですよ~」

 その様な会話をした後に元の場所へと歩き出すカセンネとレルーン,そんな二人の姿はエラン達にも見せた事がない姿だ。レルーンは普段の言動からハトリが言うように頭が軽いような印象を受けるが,これでもヒャルムリル傭兵団の副団長でもあり,副団長として動く時には情報収集と決まっている。これはレルーンが人懐っこい性格をしている事も有るが,それを巧みに見抜いて副団長に抜擢したカセンネの決断が大きい。

 そもそもレルーンがエランに絡む事でスノラトに近づいたのは,スノラトがブラダイラ軍を相手に何処まで戦うつもりが有るのかを確かめる為だ。そんな時に役立つのがレルーンであり,そんな役目を理解しているレルーンもカセンネから密命を受けてスノラトに近づいた。

 何気ない会話でも得られる情報は多い,大多数の者は何気ない会話から情報を汲み取るなんて真似は出来ない。だがレルーンは意識せずとも情報を汲み取り,意識すれば得たい情報を汲み取る事が出来る。それがレルーンの人間性が成せる特技であり,会話を好む性格を活かした情報収集に戦闘での指揮能力を総じて考えるとレルーンは確かに秀でている人物と言えるが,それを感じさせない性格もまたレルーンが秀でている気質とも言える。

 これだけ揃っているのだからカセンネがレルーンを副団長にしたのも当然だが,団員達の中にもレルーンが副団長を任せられた理由を知らない者が多いのもレルーンの特技が遺憾無く発揮されたからだ。そんなレルーンが側に居るからこそカセンネは傭兵としての稼ぎ時を探すのにレルーンをスノラトに近づけるように命じた。まあ,エランがスノラトの護衛として側に居る限りでは自然とスノラトがレルーンを受け入れるのも時間の問題だが,カセンネとしては少し急ぎたいからこそレルーンにスノラトの真意を探らせた。

 理由はたった一つ,完全に負けると思われるフライア軍にエランが参戦しているからだ。エランの実力をしっかりと自分の目で見ているカセンネとしてはエランが参戦している理由が分からなかったが,逆に考えるとエランが居るからこそ負ける戦いも勝つ事が出来る。そう考えたら勝てるのなら乗らない手はないという結論に至ったが,戦争は一人で出来るモノではない,多くの将兵が居るからこそ戦争は成り立つ。つまりスノラトに戦う意思がハッキリとしないと稼ぐどころか,これまでの経費が無駄になる可能性が有るのでカセンネは自分がもたらした情報を聞いてもスノラトに戦意が有るのかを確かめたかった。

 当然ながらカセンネとしてはエランがわざわざフライア軍に参戦した理由も知りたかったが,先程レルーンが言った通りにエランにはレルーンが情報を得ている事が分かった。というよりも,エランもレルーンを知っているからこそ感じた違和感に思考を加えると,レルーンは意図的にスノラトの考えを知ろうとしているという結論に至った,と言った方が正しい。

 充分な情報を得たカセンネは憂いが晴れた事により,ブラダイラ軍との戦いに挑む事が出来るが,どう考えても状況は不利どころか勝ち目が無いと言ったところだ。そうなると気になってくるのがイブレの動きだが,カセンネもイブレの事を知っているからこそ下手な事は出来ない。だったら正攻法で行くべきだと今後について考えていた。

 その一方でエランは山々が連なるロミアド山地を見ながらのんびりとしていた。まあ,エランに言わせれば敵すらも居ない状況であれこれやるのは自分の性には合わないとイブレに任せっきりだが,このロミアド山地を抜けたら待っているのはブラダイラの大軍なのは分かっている。だからと言って今から気負っていても仕方ないと今は唯々,目の前に広がる雄大な自然を前にのんびりと時間が過ぎるのを待つばかりだった。




 さてさて,後書きです。いやね,理由は分からないけど,いきなりPCがぶっ壊れました。私が使っているPCは自作ですからね~,いろいろと問題が有りそうなパーツを交換する為に購入したりと時間と財布に痛手を喰らっていました。そして,やっとPCが安定して使えるように成ったので『更新をしよう』と思った次第でございます。

 さてはて,今回もエランの感情表現はかなり独特な使い方をしておりますので,気になる方は石言葉とか鳥言葉で調べてもらえれば分かると思います。まあ,エランは常に無表情ですからね~,それをより強く表現する為にあえて調べなければ分からなそうな言葉を選んでおります。

 さてさて,花粉症の時期ですね~。……ってか,この時期は花粉症の症状で体感温度というか身体が熱っぽい症状もありますからね~,だから風邪をひいていた事に気付いた昨日から一週間前。何か調子が悪いな~,なんか暑いし花粉症かなとか思っていると風邪だったり,その逆も有ったりといろいろと私にとっては厄介な時期です。まあ,そんな訳なので,毎年のように書いていると思いますがこの時期も気長にお待ちくださったら私がありがたいです。という,自分勝手な言い分を述べた所でそろそろ締めましょうか。

 ではでは,ここまで読んでくださり,ありがとうございます。そして,これからも気長によろしくお願いします。

 以上,やっぱりUBISoftさんのゲームにはハマる葵嵐雪でした。



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