第35話「やりすぎ注意」
雷の音が嫌いでねえ。ユキが一緒にいれば飛びついたもんだ。光だけならマシなんだが。いや、やっぱ駄目だ。落雷で被害を出しちゃうんだからねえ。
「ビリビリ、なのなの!」
「なのなのうるさい。そんなにあんたは小さいのかい」
懐に入られると面倒だ。ハルバードの間合いでやらせてもらう!
「えーい!」
うげ!? 四方八方に雷の雨ときたな。面倒な技を使いやがる。
これは早々に片づけないとヤバい。まともに喰らえばアウトだぜ。
「悪いけど、あんたの雷を攻略させてもらう」
創造の力を舐めてもらっちゃ困る。無限の可能性を秘めた魔法を甘く見られちゃ困る。
「なのなの!?」
動揺してる動揺してる。いい気味だ。
今のボクは、土のバリアを展開してるんだから無理もない。
「そこ!」
身体が全体的にお留守してるぜ。雷を使った戦法ゆえに、肉弾戦はからっきしみたいだねえ。
今のボクは素手。ハルバードは捨てた。長物って扱いづらいんだもん。攻撃する瞬間に破壊した。
「うぐ!」
がら空きの腹に1発。
「ごふ!」
痛みで体勢を低くしたところで顔に膝蹴り。
「ぶは……!」
さらにおまけの首にチョップ。完全に気を失わすことができた。手加減も楽じゃないねえ。
あれ……みんなの目が冷たい。なんでそんなに冷たい視線を向けているんだ?
「なんだ、もっと痛めつけろってか?」
「ミアちゃん……。ワタシ引きました」
「ちょっと度が過ぎましたね、ミア様」
「お姉ちゃん! 女の子に暴力は駄目だよ!」
ええ――っ!? 折角頑張ったのに。褒められるどころか責められるってあんまりだ。
「こわい……こわい……!」
「ほーら。リフェアちゃんも怖がっちゃったよ」
助けてやってこの扱い。報われないなあ。トホホ。
「よくも仲間をやってくれたッス。許さない」
次は筋肉隆々大男の番か。今度は殴りがいがあるねえ。腕が疼いてしょうがない。
「いいだろう。ボクが相手に――」
「――待ってください。次は私にいかせてくれませんか」
「リンさん、どうした?」
「ミア様では過剰になってしまいます。ユキ様には彼女の治療をお任せしたい。ここは私がいくべきなのです」
「それは一向に構わないけど大丈夫かい?」
「ええ。ご心配には及びません。私、メイドとしての全てを得ていると自負しております」
「分かったよ。リンさんがそこまで言うのなら」
「ありがとうございます。メイドとして恥じぬ戦いをいたします」
リンさん、気合い充分だなあ。
でも待て……メイドって戦うもんだっけ?




