第11話「雨上がり」
レイダスにも闇はある。1つ1つは小さな闇も集まれば大きな闇になる。それはとても脅威で憎くて。
ボクとユキの両親を殺したのもそんな闇の1つ。ボクとユキにとって闇は仇そのもの。この世界から消すべき存在だ。
「お姉ちゃん……お姉ちゃん!」
「――うお!?」
「どうしたの? このごろボーッとしていることが多いよ」
「悪い悪い。雨の日は調子が悪いみたいだな、ボク」
「あんまり1人で抱えないでね。わたしにも分けていいんだよ」
「バーカ。変な勘違いすんなって。余計な心配かけちまったな」
ユキの長く伸びた金髪を撫でる。まっすぐ伸びた髪の感触は気持ちいい。ずっと触っていたいくらいだ。
「そう? それならいいけどね」
駄目だなボクは。いつまでも下を向いているんじゃなくて、そろそろ上を向いてもいいだろう。天国にいるであろう父さんと母さんに笑顔を見せてやらなくちゃな。
それにはやっぱり、闇を消さなくちゃいけない。気持ちよく笑顔を浮かべるためには。
雨がやんできたな。雲の裂け目から太陽が覗きだした。このモヤッとしたのを吹き飛ばすには、おもいきり光を浴びるのが一番だ。
「ちょいと日光浴したいもんだねえ。街をふらつくかな」
「散歩に行くの? わたしも一緒に行きたいよ」
「当然構わないぜ。1人よりも2人だ」
「――そのお散歩、私もご一緒してもよろしいですか?」
一旦席を外していたリンさんが戻ってきた。
たまにはユキ以外と一緒に出掛けるのも悪くないかな。
「もちろん。どこか行きたい場所はある?」
「いいえ。ミア様にお任せいたします」
「わたしもお姉ちゃんに任せるよ」
よし、じゃあ行きますか。ぶらりと。
※ ※ ※
こうしてお姉ちゃんと散歩するのは楽しい。何気ないこともイベントに変わる。
街はいつも賑やか。雨が降っていてもお構い無しに歩いている。傘を差せば問題ないからね。
店の人たちはみんな優しい。活気のある商店街みたい。わたしはこの雰囲気が大好き。
「ユキちゃん、もっていき」
真っ赤なリンゴをくれたり。
「おあがり」
惣菜をくれたり。
「ほれほれ」
綺麗な花をくれたり。
「通るたびに増えていくなあ。ユキは人気者だねえ」
「人徳なのでしょう」
「我が妹ながら誇らしい」
「人は人を結びつけるものです。縁ほど強いものはありません。一生大事にしていくべきものです」
「縁、か。ボクにあったかな?」
「お姉ちゃんにはわたしがいるよ」
「私もいます」
お姉ちゃんは優しくて、わたしを安心させてくれる無二の存在。誰がどう思おうが関係ない。ずっとずっとずーっと、わたしはお姉ちゃんの味方だよ。




