第98話 『砲撃系』法術師と軍用車両ハンヴィー
「まあ、あれを『砲撃系』と呼ぶのならそうなんでしょうね。私と一緒に居た時もすでにその力はあった……というか私も『光の剣』は使えますし、『干渉空間』は展開できる。それに対して祥子さんのそれは『光の剣』のそれが狙った方向に一直線に伸びて行って標的を破壊する……しかも、たまたま遊びに来ていたかなめさんの銃を祥子さんが勝手に持ち出して撃ってみたら裏庭の山が吹き飛んだ」
茜の何気ない一言が一同を青ざめさせた。
「西園寺さんがちっちゃい頃から今のスプリングフィールドXDM40を持ち歩いていたとは聞いたんですけど……あの銃の弾ってそんな威力ないですよ……山が吹き飛ぶって……」
誠は恐怖した。
祥子はここ武器の規制が厳しい東和共和国でも合法的にいかなる武器の所持も認められた甲武の官位『蔵人守』の官位をかさに対シュツルム・パンツァー用ロケットランチャーや毎分2000発の連射速度を誇る7.62ミリミニガンを持ち歩いているという。そんなもので拳銃弾で山が吹き飛ぶような威力の法術を使用されればこの豊川市は火の海になる。
「そうだよね……アイツ、軍に入る時俺に連絡してきて『先生!俺の銃は何がいいですか?』とか言ってきたから、どうせお前さんはその力で命中した相手を粉みじんにするんだから別に中の威力なんて関係ないんだからFN57にすればと答えたの。あれって5.7ミリ弾という小口径弾……ああ、ランの使ってるライフルのFNーP90に使ってるのと同じ弾なんだけどマガジンに20発入るからな。弾が多い方が火力大好きなお前さん向きだろうって……」
嵯峨のその言葉に一同は大きくため息をついた。
「隊長、そんな人に多くの弾が入る銃を勧めて何が楽しいんですか?確かに味方ならそうですけど……今回は僕とかえでさんを拉致しに来るんですよ!」
誠の叫びに嵯峨はまるで悪びれる様子はない。
「なんで敵って決めてかかるの?だってアイツもお前さんとかえでと気持ちいいことがしたいだけなんでしょ?じゃあ、敵じゃないじゃん」
この『脳ピンク』には双方合意でエロい事が出来れば後のことはどうでもいいらしい。誠はその事実を再確認した。
「しかし、あの派手好きが今まで誰にも知られずにこの豊川市に居た?変だな……って叔父貴の事だ。知ってただろ?」
今度はかなめが嵯峨をにらみつけた。
「うん、知ってたよ。まあ、いくら化石燃料を使った車が主流だからって黒塗りのあの目立ってくださいと言っているような巨大な軍用車両であるハンヴィーを乗り回している奴なんて見かけたら馬鹿でも分かるわな」
嵯峨はいかにも満足げにかなめにそう言うとタバコをふかしてニヤリと笑った。




