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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十五章 新たなる脅威『隻眼の女ターミネーター』

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第93話 火力至上主義の『女独眼竜』

「じゃあ、みんなその工事現場の野次馬でもしてるんですか?」


 誠は半分呆れながらそう言うしかなかった。


「じゃねーの?今日はランニングをさせようとしたら、鷹司の奴がしばらくはグラウンドは『部活棟』の建築資材を置くから使えねーとか抜かすんだ。アタシ等は部活をする為にここに来てるのか?予算の帳尻が合えば任務なんてどーでもいーのか?だから大蔵省の役人は嫌いなんだ」


 完全にひねくれたモードに入ったランは短すぎて届かない足をぶらぶらさせながら相変わらず将棋盤から目を離さずにいた。


「それより、僕とかえでさんの命が狙われてると鷹司部長から聞いたんですけど……」


 誠にとって祥子に襲われることはすなわち死を意味していた。


「ああ、それも知ってる。アイツのやり口は有名だからな。ともかく戦闘においては派手好き。大の飽和火力で少数の敵を皆殺しにするのが奴の上官に提言する作戦だそうだ。拳銃しか持ってねー相手には重機関砲。ライフルしか持ってねー相手にはミサイル。ミサイルを積んだテクニカル相手にはシュツルム・パンツァーで対抗する。上官は嫌がるけどかかる費用は甲武海軍じゃなくて自分が出すとか言い出すから部下に被害を出したくない甲武海軍陸戦隊の指揮官は若いねーちゃんの伊達の言う通りに作戦を実行する。しかも、あの馬鹿女はその最前線で指揮を出すもんだから自軍のばらまいたミサイルの巻き添え食らってあんな身体になった。西園寺のサイボーグ化には同情の余地はあるが、伊達の馬鹿のサイボーグ化はただの自爆だ。『伊達じゃない』と言う言葉があるが、アイツの場合は『まさに伊達』と言う言葉が必要だな」


 ランは明らかに関心なさそうに相変わらず将棋を指していた。


「拳銃に重機関砲とか言いましたね?ライフルにはミサイルとか言いましたね?リンさんが用意するのは普通の銃弾を弾く程度の防弾性能のリムジンですよね?そんな火力至上主義の人が普通の銃で攻撃してくると思います?」


 誠はランの言葉に命の危険を感じてそうつぶやいた。


「ああ、たぶん対シュツルム・パンツァー用のロケットランチャーとか撃ち込んでくるだろーな。そこはそれ、オメーの干渉空間で何とかしろ。40%くらいの確率で防ぐことができる」


 ランはまるで関心がないというように相変わらず将棋盤をにらみつけていた。


「じゃあ、残りの60%は?」


 誠の口元を引きつらせながらの問いにランはようやく顔を上げた。


「そりゃあ決まってるだろ?成形炸薬の高熱に焼かれて全員で天に召されることになる。今から遺書でも書いとくか?今は出撃時ではないがアタシが副隊長権限で特別に許してやろー」


 ランの完全に他人事と言う調子の言葉にこれ以上このちびっ子と何を話しても無駄だと判断した誠は機動部隊の詰め所を後にして同じ命の危機にさらされているかえで達がいるという『部活棟』の工事現場に足を向けた。

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