第90話 当然ついてくる副官はかえでを超える法術師
「でも、あの完全に誠君のストーカーとなることに命を賭けている祥子さんを前にしたら誠君は正直無力だわ」
鷹司の諦めかけたようなため息に誠は恐怖にかられた。
「でも、かえでさんと僕とリンさんの三人で立ち向かえば……」
そう言う誠に鷹司は静かに首を振る。
「祥子さんにはかえで君にリンちゃんのような副官が居るように命を賭けても祥子さんを守るという忠臣が居るわ……『原田千代』元大尉。祥子さんが少佐で海軍を辞めた時も一緒に辞めて常に祥子さんと行動を共にしている」
鷹司の言葉には少々感情がこもりすぎていて恐れをなした誠は隣の風に目をやったが、隣の風はすっかり誠の股間にばかり目が行っているのでああこの子は明らかにかえでの遺伝子を継いでいるのだなと全くどうでもいいことを思いながら再び鷹司に目をやった。
「でも、所詮地球人でしょ?サイボーグはそれこそ上流貴族の特権だって西園寺さんが言ってましたからその伊達さんだって自分の分の義体しか用意できないでしょうし……」
誠のそんな言い訳に鷹司は非情に首を横に振った。
「その千代ちゃん。遼州系のハーフよ。伊達家の重臣である原田家の前当主は武家なのに軍ではなく外務省に勤務して長年東和共和国大使館に勤務して最終的には在東和甲武国大使にまでなった人物。その奥さんは東和人の法術師。法術師と元地球人の子供が高確率で法術師になるということは誠君も知ってるわよね?」
ここで誠は確信した。自分は完全に積んでいる。そしておそらくかえでの愛人になることも希望している証拠はそのおそらくリンと同じように証拠の愛人でもある千代と二人して誠達を襲って拉致し、調教する機会を虎視眈々と狙っている。
「でもそうなると……隊長でも対応できそうにないですね。相手は最強クラスのサイボーグな上に法術師にそれに遂になる法術師がいる……こういう時のパターンとして法術師としての実力はその原田元大尉の方が上だったりしません?」
誠はこれまでのゲーム体験の経験からそう尋ねてみた。
「さすが誠君察しが良いわね。恐らく千代ちゃんの力はかえで君より上。まあ、クバルカ中佐でも祥子さんと千代ちゃんの二人掛かりとなるとそれこそ『法術師の戦いにおいて先に手札を見せた方が負け』と言う原則を破るような裏技でも使わない限り対等には戦えないレベルよ」
完全に終わった。誠とかえでは間違いなく祥子に拉致され、リンは無残に殺される運命だろう。
非情な『女独眼竜』変態ストカーの存在に誠は恐怖するほかに無かった。




