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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十五章 新たなる脅威『隻眼の女ターミネーター』

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第89話 目の前には『女独眼竜』、頼れるのは爛れた生活の『駄目人間』

「アンタ等なんて言う化け物を用意してくれたんですか?実力はかえでさんより上?じゃあ僕は誰に守ってもらえばいいんですか?西園寺さんですか?あの人戦闘に特化したサイボーグですからね。法術は僕のごまかしで何とかして白兵戦に持ち込めば……」


 うなだれていた誠はなんとか自分の活路を見出そうとそう鷹司に言った。


「ああ、義体の性能?かなめさんのは所詮、官給品の戦闘用義体だから性能は知れてるわね。この前、司法局では無かったことにされていた『法術ハック系法術師事件』の時にかなめさんを一方的に倒した米軍の特製重量級サイボーグ。東和の戦闘用サイボーグの性能は米軍のそれを遥かに凌駕してるわ。まあ、『アナログ式量子コンピュータ』のおかげで特許技術は守りたい放題のこの国ならではの特権ね。祥子さんは面接の一週間後、すべての甲武での資産整理が済むと東和に入国して川西製作所の本社を訪ねてるのよ。まあ、あの人は極秘任務のとき以外の日常生活は派手好きだから行動記録なんてすぐ追える。そこでこれ見よがしに最新鋭の戦闘用義体を注文してるわ……おそらく対抗できる義体の持主は東和でも公安調査庁か司法局の公安機動隊の幹部クラスしか所有していないわね」


 鷹司の言葉が誠の絶望に止めを刺した。


 相手は法術においてはかえでと互角、サイボーグとしての白兵戦等能力においてはかなめのそれを凌駕し、戦闘経験でもかなめのそれに匹敵する。


 誠には逃げ道は無いように見えた。


「でも、祥子さんのことだから誠君を拉致してお互いにありとあらゆる調教を行って……そうなるとその間うちの機能が止まっちゃうのよね。それは管理部長としては見逃せないことだわ」


 いつの間にか誠より先に親子丼を食べ終えていた鷹司はそう言って誠を見つめて笑顔を浮かべた。


「かえで君クラスの法術師と戦う方法を知っていて、知り合いに公安機動隊の幹部が居る人……誠君の身近にいる事。なんで気付かないのかしら?」


 ぽつりと鷹司はそうつぶやいた。


「隊長……ですか?」


 誠は助けを求めるようにそう言った。鷹司は満足そうにうなずく。


「隊長はかえで君をはるかにしのぐクバルカ中佐に勝つことは出来なくても負けることは無かった。そして今は公安機動隊の隊長とは同棲中。つまり、隊長なら祥子さんの野望を挫くことができる」


 鷹司の言葉に一瞬光明を見出す誠だが、すぐにその考えは絶望に包まれることになる。


「それって寮から隊長の家に行けってことですか?今の寮は……かえでさんと西園寺さんの喧嘩で居づらいですけど、あの羞恥心ゼロで性欲の塊で、愛人として他に元甲武の花街の花魁のお蔦さんが同居している上に月島屋の女将まで出入りしているあの家で僕に暮らせと?年がら年中隊長と安城少佐とお蔦さんと春子さんが抱き合ってる様を僕に見続けろと?言ってることが無茶苦茶ですよ」


 誠は親子丼ぶりの中に残っていた最後の肉の塊を口に入れながらそんな泣き言を言った。

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