第81話 誠のことを何か勘違いしているおっぱいお化け
「すまない、遅れた」
ここでようやく表れたのが誠が待ち焦がれていたカウラだった。
緩んだネクタイを締め直しながら第一小隊の小隊長の椅子に着くとすぐに端末を起動するカウラを見て誠は目でカウラに助けを求めるが、カウラは一切誠の方を見ることをせずにじっと起動する端末の画面を眺めている。
「でも、誠ちゃん。かえでちゃんのおっぱいってどんな味なの?私は自分のは飲んだことがあるけど……ずいぶん昔の話だからアジなんて覚えてないから。ねえ、目の前にそれを聞きたがっているかえでちゃんがいるんだから言ってあげなさいよ」
アメリアは完全に誠を窮地に追い込むためだけに笑顔でそんなことを口にした。
「え?言うんですか?」
驚く誠にかえではいかにも聞きたいという顔で誠を見つめてくる。
「正直……牛乳より少し甘みが強くておいしいです」
それが事実だったので誠は恥ずかしがりながらそう言って俯くしかなかった。
「そうか、それは良かった。僕としても君に僕のことを褒めてもらえてこんなにうれしいことは無い。ただ、最近困ったことがあってね、どこかの小隊長は胸のサイズがマイナスAだというが……僕は大きすぎて困っているんだ。以前も120のMと言うことでブラジャーは特注のものを用意していたんだが、誠君に僕のできるすべてをささげようと母乳が出るようにリンに頼んでからと言うものさらに大きくなってしまってね。今では135のOになってしまった。正直これ以上大きくなると剣振るう時に邪魔になる……平らな胸の誰かが羨ましいね」
かえでは胸をわざとそのパイロットとしては邪魔になるのではないかという輪郭を誠から見えるようにそう言ったあと、端末に何かを入力し始めたカウラを一瞥した。
カウラは聞こえているだろう。しかし、明らかにそれが自分に対するかえでの嫌味と判断したのか一切反応することなく作業を続けている。
「かえでちゃん……135のOって……正直肩がこらないの?私も115のIだけど最近は肩がこって仕方ないわよ。まあ、私の場合はロールアウトした時からこの体形……ああ、子供を産んだ時はもう少し胸が大きくなったわね……でもちょっと面倒よ。特に私は下着は特価品で済ませようとするんだけど、私のサイズは特価品は無いのよね。ちなみにリンちゃんのサイズは?」
デリカシーと言う物の持ち合わせの無いアメリアは得意げにそうリンに向けて訪ねてきた。
「88のDですが……お二人とも胸以外に取り柄が無いとは……悲しい人達ですね」
相変わらず毒を含んだ言葉がリンから飛び出す。その言葉にカウラは一度ピクリと反応した後静かにうなだれた。
「ああ、誰かのようにそもそもブラジャーが必要のない体形と言うのが羨ましいよ。僕なんかもしきっちりとした特注品のものを用意しなければあっという間に型崩れしてしまうかもしれない。そんな事で誠君に見放されたら僕は生きてはいけないよ……僕は君の為ならあらゆる努力を惜しまない女なんだ」
かえでのカウラへの嫌味たっぷりの言葉に事態はさらに悪化の一途をたどっていることを誠は理解した。そして同時にその努力の方向が完全に間違っていること分っていた。




