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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二章 『マリア・テレジア計画』の生み出した母子

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第7話 かえでの『マリア・テレジア計画』は今度は誠を中心に動き出す予定らしい

 狭い町営球場のお世辞にも奇麗とは言えないベンチの前には明らかに不似合いな高級感あふれるスーツ姿のかえでとそれにふさわしい執事の格好をしたリン、そしてワインレッドのこれもまた胸を強調するかのようにデザインされたあつらえたと分かる立派な生地のスーツに身を包んだ女性とその息子だか娘だかよく分からないショートカットのこれも高級感あふれる根のジャケットと半ズボンの姿はあまりに目立つものだった。


 四人は親し気に会話を続け、笑顔が絶えることが無い。


 明らかに貧相な紺のブルゾンにジーンズと野球道具を背負った誠は気おくれしながら仕方なくかえで達の方に向って言った。


「あら、これは神前曹長……お初にお目にかかりますわね……鷹司華子と申します……ごきげんよう」


 誠の姿に気付いたワインレッドのスーツの30代半ばで丁度、『特殊な部隊』の行きつけの焼鳥屋である月島屋の女将の家村春子と同じくらいの年の女性、鷹司華子はそう言って丁寧に誠に向って頭を下げてきた。


「風と言います!よろしく!」


 鷹司の隣に立つ息子だか娘だかよく分からない子供も又、母親の丁寧に頭を下げる姿に合わせるように誠に向けて礼儀正しく一礼した。


「はあ、神前誠です……階級は曹長で……パイロットですけど一応平隊員なんで……明日から管理部の部長を去れる人からそんなに丁寧に頭を下げられると……」


 誠は鷹司のあまりに丁寧な態度に恐縮しながらそう言って荷物を置いて剣道場の息子らしくきっちりとした礼を返した。


「ああ、誠君……そんなに恐縮しなくていいよ。華子さんは僕の二番目の女性だからね……最初は姉さん……僕の初めてをささげたのは姉さんだけど……まあ、おかげで華子さんとも楽しい時を過ごすことができてこうして風も生まれることになったんだ」


 笑顔のかえではそう言うと自分と同じくらいの背の高さの鷹司の腰に慣れた感じで手を回した。鷹司もそれを拒む様子もなく逆にそのままかえでの唇を奪いかねないような情熱的な瞳をかえでに向け、そして同じように好意に満ちた視線を誠に向けてきた。


「神前曹長……あなたのお話はかえで君から色々聞いてるわよ……なんでもかえで君の『許婚』なんですわよね?私の追い出したあの宿六に比べたら随分立派で……ああ、神前曹長はあそこも立派でかえで君も満足できるほどだって聞いているけど……今度見せてくれないかしら?かえで君が子供を作る時は私達はその殿方の子を産もうって決めてるのよ。かえで君を支える24人の女の同盟による血のつながった素敵な約束……どう?かえで君がいかに魅力的なのかはこれまでの付き合いで良く分かってるでしょ?なんであなたが今すぐにでもかえで君を選ばないのか……私にはちょっと理解できないわ。そうすれば私達も安心してあなたの子を産んでかえで君の将来をサラに明るいものに変えて見せる……風も弟や妹が沢山増えたらうれしいわよね?」


 鷹司はそう言って誠からかえでのクローンと言うことは娘である風にそう声をかけた。


「うん!でも、僕も16歳になったらお兄ちゃんの子供が欲しいな……僕は法術が使えないから僕の子供には法術が使えるようになってほしいんだ」


 風と呼ばれた少女はあっけらかんとしてそう言った。


「そうね、あんな力のない宿六に大事な娘の子を産ませるくらいならかえで君が認めた神前曹長の子を産むのはお母さんも大賛成。みんな仲良く暮らしましょうね……神前曹長……あなたもそう思うでしょ?」


 鷹司の誠に対して向けられた善意に満ちてはいるものの東和人の性倫理を完全に破壊しているその発言にただ茫然と立ち尽くしていた。

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