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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十二章 鯛スキと幼女の友達

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第69話 そして鍋が始まり、白菜が投じられた

 山路老人の声が響くと場は一気に宴会モードへと突入した。


 それでもランの隣には紫の背広を着た男が座り、ランが静かにゆだって来た鍋を見つめる様を見つめている。


「おう、それじゃあ白菜を入れろ。神前、このタイミング……おぼえとけよ」


 そう言うとランは鍋の隣のサラの山もりの白菜に手を伸ばした。誠もまた箸を皿に伸ばす。


「あれ?大根と人参が入ってますね……もう入れたんですか?」


 誠の言葉を聞くと白菜を鍋に放り込みながらランはニヤリと笑う。


「根菜と言う奴は火が通りにくいんだ。だからまずはそれから鍋に入れる。にんじんは……まずこれは口直しってところだな。あまり味は染みねーが今の時期の脂ののった鯛の身の脂を拭うのには役に立つ。そして大根の方はこれは十分に味が染みてから食べる。オメーもおでんは食うだろ?おでんの大根は味が染みた方が上手い……人にもよるが、アタシは味が染み切った時点ぐらいが一番だな……」


 ランはそう言いながら白菜を奇麗に鍋に並べていった。


「そんなものですか……で、こんにゃくとか練り物とかは何時入れます?」


 食通らしいランの言葉を聞きながら誠は皿の上の白みがかったつみれとこんにゃくに目をやった。


「まー待て。こんにゃくもこのつみれ……山路さん、これは鯛のつみれかい?」


 ランは誠を制すると奥から出てきた白いスーツの男から酒を注ぐためのものと思われる土瓶のようなものと杯を受け取っている山路老人に声をかけた。


「さすがは先生。鯛は純粋に鯛の魚としての味をたのしむものですよ。他の魚のまじりっけを入れちゃあすべてが台無しだ。先生、それじゃあこの酒。飲んでくれますよね?」


 老人は杯をランに手渡し鉄瓶のように見える酒の入った入れ物でランのちっちゃな手の中の杯に酒を注いだ。


「いいねえ、まずこの香りが良い。それでいて主張しすぎていない。酒が主で魚が従の時には甘口の主張の強い酒が良いが、こういう上手いものを食う時はそれなりに控えめでそれでいて気が利く酒が良い。アタシの部下の女共もこんくらいの奴が良ーな。アイツ等は主張が強すぎる。まあ、神前でも分かるように言うとパーラみたいな酒だ」


 一口酒を口に含んだランは笑顔を浮かべながら誠に向けてそう言った。そして山路老人から酒の入った土瓶を受け取るとそのまま山路老人に酌をする。いかにももったいないというように丁寧にそれを受ける様に誠はこの老人がいかにランを尊敬しているかを理解することになった。

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