第66話 なぜこの組が豊かなのか……その主な金の使い道である幼女は熱く語った
「でも、それじゃあどうやってこんな立派なビルとか……クバルカ中佐への『使ってくれ』と言うお金は出てるんですか?」
誠は『特殊な部隊』に入って毎日のように『予算』とばかり連呼される日々によりそんな思考を身に着けていた。
「なあに、この街の心ある人たちが山路さんを慕って寄付をしてくれているんだ。それでこの組は成り立ってる」
ランは迷うことなくそう即答した。
「でもそれっていわゆる『みかじめ料』って奴ですよね?一応、豊川署の研修に行った時に暴力団の主な収入源としてそう習いましたよ」
誠の言葉にランは不機嫌そうに誠をにらみつけた。
「『みかじめ料』だ?アレはやくざが店を出向いて金をむしり取ってるからそう呼んで犯罪になるんだ!ここの街で商売をやっている人間の所に山路さんの所の若いのが顔を出すのはその店の商品を買いに行くという客としてだけだ!そん時に『金の話はするな!』と山路さんは強く言っている!アレは善意の寄附だ……確かに隊長から言わせれば『それって十分ヤバくない?』とか言うが、隊長もそんなヤバい金の稼ぎ方なんか年中してるだろうが!」
急に激しい口調になったランはそう言って鍋に殴りかからんばかりに小さな腕を振り回した。
「でも、それじゃあなんで街の人はここに寄付をくれるんです?そんな立派なことをしてるんですか?ここの人達」
誠はランの勢いに気おされながらも拭いきれない疑問からそんなことを口にした。
「週の金曜日!この組の若いのは街の主要道路の清掃を自主的にやってる。感謝されるだろ?祭りがあればそこでの出店の縄張りをやるのもこの組の仕事だ。酔って暴れる酔客を相手にするのもこの組。あと、豊川署のサーバーにアクセスすればすぐに分かることだがこの豊川市では空き巣や強盗なんかの犯罪発生率はほぼゼロに等しい。それもここの若い連中が昔ヤンチャをしていた時の仲間に山路さんとアタシの事を話して恐れをなして近づかねえからだ。そんな社会貢献をしている人を感謝するののどこがいけねーことなんだ?」
今度は逆にランが誠に向けて質問してきた。確かにランの言う言葉の通りなら感謝されるのも当然かもしれない。しかし、日常的にランが食べている食事や『特殊な部隊』の隊員達が月島屋でランのおごりで飲んでいる金額を説明するのにはそれだけでは足りそうにないことくらいは誠にも分かった。
「ああ、それだけじゃねえな。『人夫出し』これもここの重要な収入源だ。建設会社や工務店なんかの職人だが……最近の若いのはみんな根性がねーからすぐ辞める。その時に社長たちの相談に乗るのが山路さんだ。まずはここの若いので手が空いてる奴を派遣する。それでも足りないようなら山路さんの顔で流しの職人を呼び寄せて紹介する。立派な仕事だろうが」
ランはそう言って胸を張って見せた。
『あのー、先週でしたよね?クバルカ中佐が『職業紹介許可制度』について僕に説明してくれたの……その許可……たぶんここ捕ってないですよね?それって違法行為ですよね?』
誠はそんなツッコミを入れたい思いを必死になって堪えていた。




